軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:瓶で流された手紙といえば

「釣れたああああ!」

「おめでとう」

12回目にしてやっとお魚が釣れました、キーナです。

【釣り】スキルも習得してひと安心。

安心してから魚が釣れるまでに引っ掛けた微妙なアイテム達を見て、その内のひとつを手に取った。

【手紙の入った瓶】…品質★

誰かの手紙が入った、栓のされている瓶。

「……この瓶の手紙なんだろね?」

「出してみたら?」

そうだね。何が書いてあるのか気になるし。

瓶はくたびれてこそいるけど、それほど年季が入ってるようには見えない。

……って、そりゃそうか。この世界は最近まで人間がいなかったんだし。

「……コルクギュウギュウにねじ込んである上に折れてて取れないや。コルク抜きあったっけ?」

「割っちゃえば?」

それもそっか。

飛び散らないように、ボロ布で包んで岩に叩きつけた。

バリン! 割れた破片の中から、丸まった羊皮紙を取り出す。

「……あれ? これって、地図?」

出てきた羊皮紙を広げると、そこにあったのは見覚えのある雰囲気の地図だった。

あれだ、魔道具使って描く地図。

「裏に何か書いてあるよ」

「え? ……あ、本当だ」

地図の裏面には、指先で書いたような文字が……

『そうなん しました 助けてください ルビィル・ロズ』

「……あかんやつ」

「わぁ……」

* * *

とりあえず、遭難SOSを出すのはNPCだろうって事で、僕らは釣りを切り上げて、クエスト受注テントに手紙を届けに行った。

状況を説明して、手紙を渡す。

……テントは蜂の巣をつついたような大騒ぎになった。

漏れ聞こえてくる会話によると、結構偉い人が遭難してるっぽい?

「すみません、ちょっと上の判断を仰がないといけませんので……ピリオノートの城へコレを持って行っていただけますか?」

「あ、はい」

そうだね、まだ船が建造中なんだもんね。

港予定地は、造船所も出来上がって、今は大型帆船の建造と、港の倉庫群の建築が進められている所。

つまり、捜索隊を出そうにも船がまだ無いから出せない事になる。

……そもそも、この遭難した人はどうやって海に出たんだろうね?

ピリオのお城に行ってみればわかるのかな?

僕らは転移オーブでピリオに向かった。

とりあえず、変装はしないでそのままね。

テントをあれだけ騒がせておいて、手紙を変装状態で持って行ったらおかしな事になっちゃう。

城の入り口の兵士さんに手紙を見せて軽く話すと、兵士さんはひっくり返りそうな勢いで中に走って行った。

……そしてまたすごい勢いで戻ってきて、中に案内された。

再びの応接室。

焦ったようにやって来たのは……いつもの魔術師団長さんと……あれ? 騎士団長さんだ。

魔術師団長さんは、すごく焦った顔で駆け込んで来て……僕らの顔を見てスンッと平静になった。

「……そうか、手紙を見つけたのはお前達か」

「あれ? ロズさん、この方達と面識あるんです?」

魔術師団長さんはヒラリと手を振って騎士団長さんにも着席を促す。

そして扉をしっかりと閉めた。

「ラッセルにも話すぞ、いいな?」

『何を?』なんて、まぁ言わなくてもわかるよ。

相棒と目を合わせて頷き合う。

「まぁ、秘匿にしておいてもらえるなら」

「安心しろ、口が固くなければ騎士団長など務まらん」

何か内緒話があると察した騎士団長さんの表情が引き締まる。

そして……魔術師団長さんから、僕らがパレードに乱入したフッシーの主で、最近色々依頼でお世話になった二人だって事が説明された。

「ああ! 貴方達だったんですね! 斥候クロウ隊の件、誠にありがとうございました」

嬉しそうに明るい笑顔を浮かべて一礼する騎士団長さん。

いえいえ、こちらこそお世話になりました。

……で、本題。

SOSのお手紙をテーブルに置いて、手に入れた経緯を説明する。

……僕が瓶を釣った下りで同情的な生温い笑みを浮かべるのはやめてくれませんかねぇ? ちゃんとその後でスキルとったからぁ!

大した量の無い経緯を話し終えると、騎士団長さんが気遣わしげな顔で魔術師団長さんを見た。

「……ロズさん、大丈夫ですか?」

「問題無い……なに、あの兄はそう簡単にくたばりはせんよ」

……兄?

「えっ? 遭難してるのって、魔術師団長さんのお兄さんなんです?」

「そうだ、ルビィル・ロズは私の兄だ。先日、本国から唐突にやって来てな……『お前は忙しいだろうから勝手に見て回る』と言って出かけて行ったのだが……」

「そのまま音沙汰が無くなって、心配していたんです」

「子供ではないからと油断していた……まったく」

なるほど、魔術師団長さんの苦労の種の内のひとつなんだね……

「……しかし困りましたね。おそらく、手紙が書かれているこの地図が居場所なんだとは思いますが……」

全員で、表面の地図を覗き込む。

……描かれているのは、絶海の孤島だった。

周りをぐるりと海に囲まれた島。

「……どうやってここまで行ったんですかね?」

「……あの兄は無駄に多趣味だからな……そこらの木で小舟でも作ったのだろう。魔法で海に探索に出て……不測の事態に遭遇して、現在位置が分からなくなったといった所だと思う」

ハァ……と、魔術師団長さんは溜息を吐いた。

騎士団長さんは、申し訳なさそうな顔で頭を抱える。

「帆船が出来上がるにはまだ日数がかかります。それを待っていては手遅れになるやも……」

「いや、あの兄は帰れないだけでそうそう死にはせん。ひと月くらいなら余裕で生存できるから、そこまで緊急ではない」

いやぁ~、遭難は緊急でいいと思うなぁ〜?

「しかし、何処にいるのかわからない以上、探す時間も考えると早めに捜索するに越したことは……」

「だが今は大型船も無しに兵は海に出せんぞ。やけにモンスターの襲撃が来ているからな……例の使徒が来ないとも限らん」

「……まぁ、そうなんですよね……防衛を考えるとピリオノートも港も余裕は正直……」

……なるほど、これはあれだね。クエストですね?

ここで僕らが受けない場合は、たぶん冒険者ギルドに話がいったりするのかな?

(どうする? 捜索クエストっぽいけど、受けてもいい?)

(いいよ。でも海の移動どうする?)

(それはまぁ、一応考えはあるよ)

じゃあ受けようか。

「……あのー、僕らが探しに行ってみましょうか?」

二人は渡りに船って感じで顔を上げた。

偉い人の立場も大変だねぇ。