軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ユ:更新されていくピリオノート周辺地図

謎の幻獣からクエストなのかよくわからない要請を受けた俺達は、ひとまず遠出の準備を整えてピリオノートにやってきた。

キーナももう怯えなくなって、元通り帽子を被っているからひと安心だ。

「……一応【満ち夢ちトマト】も持ってきてみたけど、普通に会話してたよね?」

「してたね?」

「ただ、トマトの記述見ると、本当は会話できなさそうな感じだよね?」

「それな」

よくよく考えるとおかしいんだよな。

……まぁ、会ってみればわかるとは思うが。

まず向かうのは冒険者ギルドの地図コーナー。

しばらく見ていないから、東の確認と一緒に最新の周辺情報も見ておきたい。

「あ、南が結構変わってる」

相棒が指すピリオ南の大森林は、以前はどこまで行っても森という感じになっていたが、蛇精霊の封鎖が解けたからかまったく違う姿を見せていた。

大森林と言うだけあって、確かに森は広大なんだが、途中から弧を描くような細長い入り江が食い込んで、その南の海へと繋がっている。

どこまでも続く森という感じではない、川と森と入り江が複数の蛇が絡み合うように混在している、あの精霊らしい感じの海辺の森だった。

「……全然違うな」

「これ、飛行出来る種族も気付かないように騙されてたって事だよね?」

「だろうね」

なんなら地図の魔道具も騙されてたって事だ。

さすが精霊とでも言うのか……あの蛇精霊、実はかなり派手に遊んでたな?

「他にもこういう所があるのかもね」

「かもね」

地図全体は、ある程度の広さから先には中々広がって行かないようだった。

既存部分の更新がかかったのも理由のひとつではあるんだろうが。そもそもピリオノートを中心にした地図は、遠くなればなるほど円周の距離が長くなる分、円状に広がるペースは落ちる。

報告するのに往復する事を考えれば、遠征先で都合よく転移登録出来るプレイヤーの街があるとも限らないから、また同じ所まで行くのも大変だ。

それでもプレイヤーが伐採して作ったらしい道が大街道で繋いだ街からさらに伸びていたりするから、少しずつプレイヤー全体の行動範囲は広がっているんだろう。

「東は……あれ? ブリックブレッドってこんなに大きかったっけ?」

「ん?」

一緒にピリオノート東を見ると、ピリオの第一防壁に近いくらいの広さを持つ防壁が新しく建てられたブリックブレッドがあった。

「……前はもっと小さかったと思うけど」

「だよね? ブリックブレッドめっちゃ成長早い」

すごいな。コロニー経営が得意なプレイヤーの街はこんなに早く大きくなるのか。

南のサウストランクもそこそこ大きいが、森のど真ん中だからか広さでは一歩劣る。

さて、そうなると問題は俺達の目的地がどこになるのかって事だ。

俺達が幻獣に言われたのは、『人の子の巨大な巣から、日の昇る方にある森』という情報。

ここまでブリックブレッドが大きくなっていると、『巨大な巣』に余裕で該当しそうな気がする。

「……ピリオとブリックブレッドの間にそんなに大きな森が無いんだよね。平地と斑になってるから……ブリックブレッドより東の、この辺とかじゃないかなぁ?」

相棒が指すのは、ブリックブレッドよりさらに東の大きな森だ。

「……うん、そうだね。最初にこの森に行ってみるのでいいんじゃないかな」

「じゃあ露店広場に寄ったら、転移広場に戻ってブリックブレッドに行こうか」

それでその森が外れだったら、また戻って探し直せばいい。

そこまで急ぎの用事ってわけじゃなさそうだったからな。

* * *

次は用事を足すために露店広場へ。

軽くうろついて目当てのシイタケさんを探す。

「……どーも」

「こんにちはー」

「はいどーもお二人さん。できてるっすよー」

シイタケさんから早速出来上がった新しい装束と、以前の装束を受け取った。

【 微睡(まどろみ) の森人の隠草布装束】…防御+24、俊敏+2

微睡(まどろみ) の森の木と葉で染めた隠草を織った布で仕立てた、不死鳥の紋章入の装束。

全身を覆う一式で、要所に革の補強が入っている。

丁寧に施された刻印により、各種ステータスと隠密にボーナスが入る。

【 微睡(まどろみ) の森人の魔草布装束】…防御+16、魔力+4

微睡(まどろみ) の森の木と葉で染めた魔草を織った布で仕立てた、不死鳥の紋章入の装束。

全身を覆う一式。

丁寧に施された刻印により、各種ステータスと隠密にボーナスが入る。

俺と相棒で別に作ってくれたらしい。実に助かる。

刻印で強化した今の装備と遜色無い仕様だ。

見た目はここで広げられないから確認のしようがないが、見本まで渡してたから心配はしていない。

「……製作者名無いですけど、良いんですか?」

「デザインは奥さんなんで、さすがに俺は名乗れないっすねー」

技術者としてはシイタケさんなんだけどな……まぁ本人がそう言うならいいか。

「またどうぞご贔屓にー」

見送られながら店を後にする。

これで、とりあえず突発で何かあっても安心だ。

「それじゃ行こうか」

「うん」

転移広場からブリックブレッドへ。

……さて、幻獣がすぐに見つかると良いんだけどな。