軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:あわやホラーかと思ったら

ログインしました。

変装用の衣装の作り直しをお願いしてるから、うっかりムービー沙汰に巻き込まれるのは良くないって事で。

最近連日ゲーム三昧だったし、1日休肝日ならぬ休ゲーム日を挟んでのログイン。

日曜日を挟むからね、シイタケさんが日曜日休みで長時間インするならいい感じに完成してるかもしれない。

というわけでインして、いつものゲーム内朝ごはん。

野菜スープとパンをもぐもぐしていると、相棒が思い出したように僕の帽子を見て言った。

「……そういえば、相棒の帽子って何か聞こえるって話じゃなかったっけ? 何か聞こえた事ある?」

僕の帽子。

これだね

【キキミミズクの三角帽子】…防御+3

森の木の実で染めて、キキミミズクの羽角を飾った三角帽子。

時折、森の噂話が聞こえる。

製作者:ハニーカプチーノ

『時折、森の噂話が聞こえる』って部分を言ってるんだろうけど。

「ふふふ……これね、聞こえるよ」

「どんな話聞こえるの?」

「ASMR」

「んん?」

森の噂話って……要するに、小鳥の声の事だったんだよね。

だから時々、チュンチュン可愛い鳴き声が聞こえてくる。

「へぇ、そういう感じ」

「うん」

あ、ほらまた……聞こえてきた。

──『チュンチュン、チーチチチ、チュピ』

──『ふむふむ、なるほどそれは困ったわねぇ』

…………ん?

──『しかし、今この森で代わりを手に入れるのは難しいわ』

──『チピチュピッ、ピーピピピチュン』

──『そうねぇ、確かに外へ探しに行くのはねぇ……』

初めて人の声っぽい物が聞こえてきたぞ?

しかも流れ的に、小鳥と喋ってるのかな?

誰だろう?

……不思議に思いながら聞いていた時だった。

──『……ああ、それなら手を借りてみようかしら』

──『チュピ?』

──『ええ……聞いているでしょう? 人の子よ』

……ん? この言い方だと、この声の主は人じゃない?

そして近くに人がいるのかな?

──『何をキョトンとしているの。 貴(・) 女(・) よ(・) 』

──『 羽(・) で(・) 盗(・) み(・) 聞(・) き(・) を(・) し(・) て(・) い(・) る(・) 、 貴(・) 女(・) の(・) 事(・) よ(・) 』

えっ

待って?

待って、なんで

僕はホラーが大の苦手。

完全に画面越しとかの、自分を認識していないはずの相手に認識されるのはかなり無理寄りの無理案件。

ザァッと血の気が引いた僕は

「■#%◎=%:▼~Φゞ<●&*※T◇→!!!」

「何!? どうした!?」

奇声を上げながら帽子を投げ捨てて相棒の腕の中にダイブした。

* * *

「……はい……はい……まぁ、探してみます。……はい」

ギブアップした僕の帽子を代わりに被った相棒が、知らない誰かさんとの会話を終えた。

なお、僕は相棒に抱きしめられ背中をポンポンしてもらいながら、相棒の胴体に抱きつく……と言うよりはしがみついている。

「……どうだった?」

「大丈夫。オバケじゃなかったよ」

「ほんと……?」

「うん」

相棒はリアルだと知らない人との電話が苦手なんだけど……こっちを人の子って呼んだから相手は人間じゃないなって出てくれた。ありがとう、好き。

「なんか幻獣らしいよ」

「幻獣?」

「うん。頼みたい事があるから来てくれって言われた」

「……どこに?」

「『人の子の巨大な巣から、日の昇る方にある森』だって」

……アバウト!

「……たぶんピリオから東だよね?」

「だと思う。俺達の拠点は巨大ってほどじゃないし」

森の噂話で聞こえただけあって、森以外の事に全然慣れていない感じがする。……そう考えると、本当にフッシーは慣れすぎ。

……よし、ホラー案件じゃないってわかれば、メンタルが元に戻ってきたぞー

「ん? もう大丈夫?」

「うん、ありがとう。好き」

「知ってる」

こういうね、苦手な事とか怖い夢見た時とか、馬鹿にしたり呆れたりしないで助けてくれる相棒本当に好き。愛してる。

「とりあえずシイタケさんから装備出来てるって連絡来てるから、受け取ったら東に行ってみよう」

「オッケー」

ピリオ東って事は……ブリックブレッドの街の方角だね。

あっちは森と平地が入り乱れてて、ブリックブレッドの先もそんな感じが続いているはず。

「……ピリオで冒険者ギルドに寄って、最新の地図見てから行かない? 森の広さとか見て、だいたいの目星つけておいた方が良い気がする」

「なるほど、良いんじゃない?」

もしかしたら、ブリックブレッドよりも東の森の事かもしれないし。

「移動はどうする? 徒歩? ネビュラ?」

「あー……徒歩の方がいいんじゃない? あんまり早く移動したら気付かないで通り過ぎるかもしれない」

「『ようこそ人の子よ……』バビューン『はっや』みたいな?」

「そう」

それに、僕の三角帽子を被らないといけないかもだから変装できないしね。

前のバードウォッチング旅みたいに探しながらの旅だから、数日かかる可能性を考慮してテントとか野宿の支度をする。

「夏のアウトドアじゃん」

「人で混みそうな海イベント前にはちょうどいい」

そうだね、フィールドってあんまり人と会わないからね。