軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

キ:責任感は苦労と隣り合わせ

「……やはり私よりも『鎮魂の魔女』殿が行った方が良いのでは?」

「僕らそんな頻繁にピリオノートこないんで、主がずっと会いに来ないのは寂しいかもしれないですし。あと、僕がやるとフッシーみたいにめっちゃフランクな不死鳥になるかもしれないですよ?」

「「「それはちょっと」」」

「コラー、どういう意味だ人の子らー」

「そういう所だよ」

なんてコントみたいなやりとりを経て、魔術師団長さんが不死鳥の霊を呼ぶことになりました。

うん、絶対その方がいいよ。

真面目な場所にいるNPCの威厳って、大事だと思う。

魔術師団長さんは解せぬって顔をしていたけど、骨の籠の前に来たら一瞬で表情を引き締めた。

「……では……【住居登録】」

【住居登録】っていうのは、縁を引っ張る術なんだって。

術者と、作られた家とを元に、最も相性の良い誰かの意識に呼びかける。

占いとかダウンジングとかに近い物なんだそう。

不死鳥の骨で作られた鳥籠だから、当然、一番相性が良いのはその骨の持ち主。

風が渦を巻いて。

籠の中に、半透明の不死鳥が現れる。

……すごい、フッシーよりディティールの細かいめっちゃ威厳のある不死鳥が出てきた!

「そなたが我が魂を保護せし術者で相違ないか」

「……ああ。私はククロスオーヴ王国の異世界開拓特務魔術師団長、サフィーラ・ロズと言う」

ものすごくシリアスな雰囲気のやりとりをする、不死鳥と魔術師団長さん。

……これもしかして、またムービーになったりするシーンでは?

あっぶなーい! 壁際の相棒の方まで下がっててよかったー!

隣で映り込んだりしたくないからね! セーフセーフ!

僕らはエキストラですよー。

「では、お前の名は『フィライラ』とする」

「……よかろう。我が名はフィライラ。『滅び』と戦う一手として、ここで人の子を導く役目を負う事。確かに承った」

「感謝する」

よしよし。これで『不死鳥の間』に常駐してプレイヤーがいつでも相談できる不死鳥ちゃんが出来たって事だね。

今はまだ大街道敷設っていう特別な任務の真っ最中だから、お披露目は大街道開通祝いのお祭りの時にって事で話はまとまった。

イベント中はイベントに集中してもらうって事かな。

そうだね、新しい施設なんて出来たらプレイヤーが押し寄せて、他がほったらかしになるのが目に浮かぶよ。

区切り大事。

じゃあひとまずクエストのお仕事はここで終わりかなー。

……なんて思っていたら、台座の不死鳥フィライラさんがグルッとこっちを見た。

「時に主よ。そこな人の子が連れておるのは我が同胞であるな?」

「……だと思うが?」

「では、しばし失敬」

そう言うと、フィライラさんはスゥーッと息を吸った。

……なんか見た事あるこの流れ。

あのあれ、コダマ爺ちゃんがうちに来た日にこんな流れが……

「お前ぇえっ! 散々修行をサボって異世界旅行にかまけておった同胞ではないか!! せっかく安全地帯におったというのに、何をむざむざ『滅び』にやられておるかぁあっ!!」

あ、フッシーが怒られた。

ものすっごい怒られた。

フッシーはなんかうんざりした顔で籠からニュッと頭だけ出してフィライラさんと会話を始める。

「やれやれ、修行ガチ勢はこれだから……光魔法をゴリゴリに鍛えておった同胞らでどうにもならん相手ぞ? 我にどうしろと?」

「状況把握と同時に異世界へ取って返してどこぞに助けを求めるくらいのことはできたであろう!? 大方、ズレた次元ならば追って来れまいと高を括って移動し、あっさり追いつかれて死んだのだろうが!」

「おお……見て来たかのように言う……」

「大体お前らは昔っから……」

クドクドバサバサと続くお説教。

ちょいちょい言い返すフッシー。

フッシー……不死鳥の中ではだいぶ自由人だったんだね。

どうしたもんかなこの状況、と思って周りを見渡すと……見学に来ていた魔法職さんとか研究者さんが納得顔でうんうん頷いてた。

「すごい、ロズ魔術師団長が激昂された時にそっくりですよ」

「なるほどこれが主ナイズ」

「やはりロズ様にやっていただいて正解でしたな」

当の魔術師団長さん、ものすごい『解せぬ』って顔してますけど??

「まぁ何をどう言おうと、最初に人の子にこの世界の危機を伝えたのは我よ。死んで身動きとれんかったそちらと違って、我きちんと仕事しておったわ」

「ぐぬぅ……」

「あとな、そちらが叱りつけるべき相手はたぶんもっと他におるぞ」

「何?」

「我が主のご主人が言うにはな、人の子の中には我らの骨を煮込み、出汁を薬として飲む輩がおるらしい」

「今すぐそやつを此処に連れて来い!!!」

「ハッハッハッハッハ!」

いつのまにか自分のペースを取り戻して大笑いしているフッシーからそっと目線をそらしつつ、僕は頭を抱えている魔術師団長さんに言う。

「とりあえず出汁取ってた人は、お披露目より前に呼んで会わせた方が、トラブルが減って良いと思いますよ」

「……そのようだ」

──指名クエスト

──『不死鳥の間の入魂』をクリアしました。

はい、お仕事完了。

お疲れ様でしたーって挨拶し合いながら手を振り、相棒が外に出る扉を開けて……すぐにそっ閉じした。

(どしたの?)

(めっちゃ人いる)

僕もちょっとだけ扉を開けて隙間から覗くと……わぁお、街人っぽくない多分プレイヤーがいっぱーい。

芸能人の出待ちってこんな感じなのかなぁ。

「……人多いんで、直接帰ります」

「そうか、また何かあれば頼む」

拠点に直接転移!

お疲れ様でしたー。

* * *

479 鳥料理専門店

(´・ω・`)ただいまー

480 スケルトン♂

あ、帰ってきた

481 インスタントポタージュ

森夫婦に続いて出頭命令を受けた鳥料理専門店さん!

不死鳥の間一番乗りどうでしたか!?

482 鳥料理専門店

(´;∀;)めちゃんこ怒られた

483 ファラオ

当たり前だろ

484 大神官ロスティ

なんでお前が被害者面してるんだ

485 レオン

泣きてーのはお前に煮られた不死鳥サンだよ