軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

チートにチートを重ねようとも

魔法少女ホワイトの特殊能力はチート級でした。

てか勝利条件をキャンセルできるとか意味不明。これは審議する必要もなく反則じゃないですかね!

憤慨する俺はクマさんではなくなった。だからシヴァのガワを外して大手を振ってハルト・ゼンフィスとしての姿を晒したのだ。

そうして気づく。

べつに儀式を終わらせんでも俺の陣営が退場したら、シャルを惑わす『クマ』は存在しなくなるのでは? 実際、今この瞬間、それは達成できたよね?

なんだか晴れやかな気分だ。

よおし、それじゃあシャルちゃんを応援するぞ!

「どうして嬉しそうなのかな?」

屋敷の中でこっそり眺めていたら、イリスがとぼとぼやってきた。

お前はよくやったよ。これからはゆっくり休んでいてくれ。

「やはり貴方がイリスフィリアさんのサポーターだったのですね」

そしてびっくり。なんと魔法少女パープルはテレジア学院長だったではないか! てかあんな格好させちゃってすみません。俺のせいじゃないんです本当なんです!

「これでようやく解放されましたが、貴方にはいくつか訊きたいことが――」

「そんなことより学院長! ピンクを応援しましょうよ!」

「ぇ? ぁ、しかしもう私は儀式に介入できませんよ?」

「いいえ、学院長。俺たちの真摯な応援こそ、魔法少女ピンクの力となるんです! さあ!」

とりあえずボンボンを持たせてみた。イリスにもね。そしてチア衣装にも早着替え完了。あとでぜったいに怒られるがそれでいろいろ誤魔化せるなら御の字だ。

「早く戻してください!」

「早く戻してよ!」

今すぐ怒られました。ですよねー。仕方ないので元の姿に戻して作戦を修正。

「フレー! フレー! ピ・ン・ク! あ、それ!」

ふだんはこんな恥ずいことはせんのだが、学院長にいろいろ問い詰められるのを回避するためには必要だと自分に言い聞かせる。

ていうか、魔法少女たちの戦いは一方的だ。

ピンクちゃんは上空で無数の魔法陣を生み出して数多の魔法弾を撃ち下ろしている。

ホワイトは防戦一方。さっきまでの余裕はどこへやら、険しい表情で防御魔法陣を展開しては砕かれ、さらに展開していくも、防ぐだけで精いっぱい。攻撃へ転じられない。

そしてピンクちゃんは魔弾を乱れ撃ちながら、ステッキを謎時空へしまうと、両手を前に突き出した。

さあ出るぞ! ピンクちゃんの特殊能力が!

おや? ホワイトがにやりと笑いやがりましたよ?

「それの対策をしていないとでも?」

防御に徹しつつも、ホワイトは謎時空から何かを取り出した。筒状の何かだ。

「正直、これだけでは不安が拭えなかったのですが」

ぽいっと前方に投げる。自身のほんの二メートルほどの距離だ。

「今の自分は、さらなる力を得ましたからね!」

意味不明なことを言った直後、筒状の何かから煙がぶしゅーって!

「煙幕だ!」とイリス。俺が言おうとしてたのに。

「ピンクの特殊能力を無力化するつもりですね」と学院長も観戦モードか。

もくもくと煙が完全にホワイトの身を包むも、見た感じ大したことなさそう。魔弾の嵐で簡単に掻き消え――ん?

「煙の勢いが急に強く!」イリスがまたも俺のセリフを取る。

もくもく具合はすさまじく、魔弾では消しきれないほど大きく広がっていく。

「あの魔法具は王国軍で採用されている一般的なもので、あれほどの効果は……まさか!?」

学院長は驚きながらイリスに顔を向け、

「貴女の特殊能力は『道具の効果を増す』ものではありませんでしたか?」

「ええ、正確には『道具の概念を強化する』ものだけど……まさかホワイトがそれを使っていると?」

「間違いありません。彼は、その……特殊な力を持っていまして、倒した相手の能力を奪うのです。それが今回の儀式では『宝石を砕いた相手の特殊能力を奪う』ものに変換されているようなのです」

なんだそりゃ? つまりホワイトはブルーから奪った『道具の意味を拡張してやるぜぇ』で煙幕の効果を激増させちゃった、と?

「魔法少女以外の、特殊能力みたいなものなのか?」

「ええ、彼自身が本来持つ特性です。後ほど説明しますけれど、ともかく今、彼は自身の特殊能力の他にグリーンとブルーから奪った特殊能力の三つを保有しているのです」

そういやグリーンの宝石を壊したのもホワイトだったな。

てかこれピンクちゃんめっちゃピンチなのでは!?

俺は気が気ではなくなり、儀式とかもうどうでもよくなって加勢しようとした、けど――。

「なるほどです。わたくしでは突破できそうにありませんね。ならば――」

ピンクは魔弾の嵐を止めることなく、そのまま急降下。ホワイトがいるであろう場所へ突撃した。

「わたくしたち 二人で(・・・) 突破します!」

びゅおーっと突風が吹き荒れる。てか寒っ! 出所を見れば、しなやかなネコちゃんが冷気を吹き出していた。煙幕が一瞬にして消え去る。

「バカな! サポーターの攻撃は効かないはずでは……」

ルール上はそうなんだけど、今のってべつに魔法少女への攻撃じゃないからな。煙を冷たい突風で吹き飛ばしただけだし。

ホワイトは煙幕に紛れて逃げるつもりだったらしい。元いたところから煙幕の端まで移動していた。

追いかけるピンクちゃん。無数の魔法陣を引きつれている。

逃げ惑うホワイト。常に突風が吹き荒れているので煙幕は張れない。

だがこの追いかけっこは、長くは続かなかった――