軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

また俺の知らないところで魔法少女が決定してたよ?

いくらシャルが心配だからって、過保護に過ぎるのはいかがなものか。

だからいつもいつも四六時中、注意を払っているわけではない。

もちろん何かあっては大変なので、二重三重どころか百ほどの異なる護りをシャルの衣服やアクセサリー、小躯や髪の毛に至るまで施してはいる。

それでも十分とは言い切れないので、シャルに何かしら悪意が迫ればアラートでお知らせするくらい、世のお兄ちゃんならするだろう?

でもって久々にそのアラートが鳴ったものだから俺は即座にシャルの居場所を把握して国内はおろか国外の主要な場所に設置した『どこまでもドア』からもっとも近いところを選んで転移し最高速度で空を駆けて急行したわけだが。

「くっそなんだこいつら!」

「攻撃魔法がぜんぜん当たらねえ!」

「囲め! いやとにかく堕とせ!」

まったくもって相手になっていない。

というかユリヤと雑談してないかな? 上空で二人はなにやら話しているけど、防御魔法陣を展開して地上からの魔法攻撃をまったく寄せつけてなかった。

一方、河原のそばにある森の中、俺と同じく陰から見守る保護者を見つける。

「これどういう状況?」

唐突ながら近寄って聞いてみた。いちおうシヴァモードでね。

「山賊退治を買って出たそうだ」

ぶっきらぼうに応えたのは双子の片割れ、ウラニス君だ。そういやこいつ、ユリヤの護衛役でもあったな。自称だけど。

「なるほど。だからお姉ちゃんを守ろうってワケか」

ところが意外なお答えが。

「今回オレが護衛する意味はない。相手が弱すぎるからな。だから――」

話すうち、ユリヤが攻撃態勢になった。四重の魔法陣を展開すると、シャルロッテも同じような魔法陣を作り上げる。

どうやらこれで決まりそう、と思った矢先。

「場を盛り上げるつもりだ」

山賊どもを守るように、とびきり大きな魔法陣が出現した。

ほえー、こいつも俺と似たようなことやってたんだな。

なんというか、ものすごく親近感が生まれた瞬間だ。

ふだんから無表情でなに考えてるかわからん奴だが、どうやら俺とは『同類』らしい。

でもって。

ユリヤは魔法少女戦争(仮)の参加資格を得て、横を見れば当然のようにウラニスの首に金色のチョーカーが着けられ、そして。

「なんだ……、この、オレの姿は……」

うん、マジでなんなのその姿。

犬だ。いや狼か? 銀色の体毛がつややかで、すらりとした体躯は気品にあふれている。しかもけっこうでかい。人形態のときと体高は変わらんな。

「どゆこと?」

「オマエの仕業ではないのか?」

心当たりは……なくはない。いや俺は何もやっていないはずだが、件のアニメでは魔法少女のサポーターはみな小動物的マスコットキャラではある。

てかマスコット? 小動物?

めっちゃカッコいいリアルな犬だか狼ですが?

「正体を隠すには有用か。もっともこの状態でチョーカーを隠さねばならんがな」

ウラニスはぶつぶつ言いながらその場を離れていく。

「あら? なあに、ウラニス、その姿。犬……じゃなくて狼かしら」

「はわあっ!? ウラニスさんなのですか? その姿は……なるほど、サポーターさんはやはり使い魔的マスコット小動物になって参加するのですね」

二人は地に降り立ち、ウラニス(狼?)をしげしげと観察する。

と、ユリヤが思い立ったように変身を解いた。

直後、ウラニス(狼?)の身体に金の粒子がまとわりつく。そうして元の姿に戻った。

「おお、本当にウラニスさんだったのですね」

感心しているところ申し訳ないけど、俺的には不可解にすぎる。

俺、ユリヤもウラニスも魔法少女戦争(仮)の参加者に選んだ記憶はないんだけど。

いやしかし、そもそもシャル的には二人に参加してもらいたかったのは明白。俺が無意識にその意向に沿ったのかもしれない。

うん、きっとそうだ。

納得したところで、俺も帰るか。

ちなみに後日。

俺が不在だった戦闘開始時点を含めた記録映像が、ユリヤから送られてきた。眼福でした。

なんていい子なんでしょう、といたく感動する俺でした――。

湖畔のログハウスに戻ると。

「兄上さま! ただいま戻りました!」

すぐにシャルも帰ってきた。

が、俺ではなく近くで窓拭きしていたリザに駆け寄っていく。

「リザ、大切なお話があります」

いつになく真剣な眼差しだ。

リザは緊張した面持ちで向き直る。俺まで緊張してきたぞ。

「実は――」

シャルは魔法少女戦争(仮)の概要を説明する。参加する意義、その魔法儀式での魔法少女の位置づけや、サポーターの役割などなど。

そうして、ついに話の核心へと至った。

「リザ、わたくしのサポーターになってください!」

片手を差し出し思いきり頭を下げるその仕草、まるで交際の申し込みじゃないのやだ尊い。

ま、これは既定路線だよな。

俺は裏方で立ち回らなきゃだし、正直なところ俺的にも一番信頼のおける子だしね。フレイはダメ。信頼はしているが信用できない奴だからな。暴走する意味で。

おや? 即答かと思ったけど、リザは驚きつつもシャルの小さな手を見つつ、

「……サポーターって、小動物になっちゃうのは確定?」

「実例を確認しています。どのような姿になるかは人によるのでしょうけど、リザならきっと可愛らしいちびドラゴンとかになると思います♪」

うん、きっと愛らしいに違いない。シャルとの組み合わせなら最強では?

リザはすこし目線を上げ、自らの可憐な姿を想像したのかうっすら笑みを浮かべ、

「え、ふつうに嫌なんだけど」

真顔になった。

がびーんと固まるシャルロッテちゃん可愛い。

うん、まあ、正直なところ、俺も小動物化するのは嫌だもんなあ。

こうしてシャルちゃんのサポーター探しは暗礁に乗り上げるのだった――。

がんばれ! 我が妹よ!

【現在の儀式参加者】※()内は宝石の色

[魔法少女] |[サポーター]

・シャルロッテ(ピンク) | ??

・メル(黒) | ティアリエッタ

・ユリヤ(金) | ウラニス

残り4枠――