軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

圧倒的すぎる妹チーム

「あっはは♪」

「はあっ!」

ユリヤとイリス、 殴る(ステゴロ) 係の二人が相手の前衛に殴りかかった。魔法少女とは?

相手は上級生なんだけど防戦一方だ。

偽シヴァが闘技場の特設の実況席に降り立った。隣には解説のテレジア学院長にお越しいただいている。

「状況はどうなのだろうか、学院長」

「中距離戦を得意とする二人が接近を許した時点で苦戦は免れません。他の二人が援護に回っていますが、シャルロッテさんとウラニス君がそれらをことごとく無効化していますね」

確かに相手チームの後衛二人が前衛の防御を固めようとがんばっているけど、シャルの魔法攻撃とウラニスのなんかよーわからん魔法で防御魔法が粉砕されまくっている。

「あの妙ちくりんな魔法ってなんっすか?」

つい素で聞いてしまう偽シヴァさん。

「 抗魔法(アンチ・マジック) 、でしょうか。相手が駆使しているのは味方への防御バフと、相手への速度デバフです。この二種の魔法を打ち消す術式をあのスピードで、しかも狙いも正確に出し続けているのは驚愕に値しますね」

当然のように学院長が答えてくれたのだが、俺の耳には別の人物のつぶやきが届く。

『ふぅむ、アンチ・マジックねえ……』

「ティア教授は違う見解っすか?」

俺はティア教授にだけ尋ねる。

『いや、アンチ・マジックではあるよ。魔法を打ち消しているのだからね。ただ通常の抗魔法は対象となる魔法に特化した術式を用いる。でも彼は一種類の魔法しか使っていないように感じるんだよねえ』

「つまり、汎用型のアンチ・マジック?」

『それはそれで現代魔法の常識をひっくり返すものだよ。ただアレってもっと単純な気がするんだよね。ま、もったいぶらずに言ってしまえば――』

ティア教授はそう言いつつもちょっともったいぶってから告げる。

『バカでかい魔力をぶつけているだけじゃないかな?』

「魔力ってぶつけられるの?」

初耳なんですが?

『キミだってタマにやっているじゃないか』

「記憶にございません」

『結界に質量を持たせてぶつけたりしているだろう? アレって要するに、大量の魔力を結界という枠組みの中で物体化させているんだよ』

そ、そうだったんだ……。仕組みなんて知らずにやってたわ。

『細かい原理はワタシもよくわかっていないけどね。いい加減、あれこれ調べさせてほしいものだよ』

なんかぶつぶつ文句を言い出したぞ。

『ともかく、アレだけの芸当ができるとなると、扱える魔力は尋常じゃないね。彼の現在魔法レベルは24だっけ? まったく、その程度の魔力量でできるはずないのだけどねえ』

俺は魔法レベル2ですけどね。要するに魔法レベルってあんま信用できんってことよ。

さて、試合に目を戻してみれば。

「シャル!」

「はい! ユリヤ!」

美少女二人が絡まるように螺旋を描いて天高く舞い上がった。

「タイミング、そっちで合わせてもらえる?」

「はいです! ではやりましょう」

空中に浮かぶ、二人の美少女が言葉を紡ぐ。

「弱きを助けて強きをくじく」(シャルちゃんパート)

「二人が心を重ねれば」(ユリヤパート)

「青い空にまたたく明星」(シャルちゃんパート)

「壊してご覧にいれましょう」(ユリヤパート)

最後は声を合わせ、

「「ツイン・サテライト・バスター!!」」

魔法のステッキを重ねて眼下へ突き下ろすと、白と黒の光線が、これまた螺旋を描いて撃ち下ろされた。

合体魔法ってロマンがあるよね。

ものすごいエネルギー弾の照射により、闘技場の地面が大きく抉られた。爆音と爆風がすごい。

「「「「殺す気かーーっ!!」」」」

対戦相手のみなさまは直撃の間際に俺がちゃんと退避させていたので無傷です。とはいえ涙目で訴える相手チームさん。

「私が助けなければクリーンヒット、ということで、勝者シャルロッテチーム!」

実況席から飛び上がった偽シヴァが高らかに宣言した。

学生モードの俺は物陰に隠れ、闘技場の地面を(シヴァがやっていると見せかけながら)せっせと直す。

しかし盛大に抉ったなあ。

これ手加減とかどうとか以前に、俺も勝てる気がしないんだが?

我が妹とそのパートナーに慄いていると。

『シヴァ、すこしいいかな?』

通信機越しのイケメン声はアレクセイ先輩か。

「どうかしたか?」

威厳あるふうに答える俺。

『なに、どうにも暇でね。雑用でも押しつけてくれると嬉しいのだが』

え、なにこの先輩めっちゃいい人。

とはいえ、先輩にできることってなんかあるかな? あ、そういえば。

「今すぐ、というわけではないのだが、君に頼みたいことがある。カード集めの終着点を考えた」

『ふむ、シャルロッテたちが七枚のカードを集めたあとにどうするか? という話かな』

「ああ。多少の準備があるから、退屈しのぎにはなるだろう」

ただ口頭で、ってわけにはいかんな。

「次の試合後、すこし会えないか?」

『…………』

おや? 反応がないな。電波悪い?

『ああ、問題ないよ』

変な間だったな。いつものアレクセイ先輩なら、考えるにしても話でつなぎながらって感じだった気がするが……まあいっか。

俺たちは場所と時間を確認し、通信を切った。

……そういえば、アレクセイ先輩に対しては前々からやりたいことがあったんだよな。いい機会だし試してみるか。というか魔神との最終決戦に向けた準備としては、もうやっちゃわないとなんだよね。

俺は話しながら直した闘技場の地面の出来に満足しつつ、あれこれ考えるのだった――。