軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

滅龍四天王『赤竜』ウェルシュ①/サティの戦い

決闘当日。

俺たちは屋敷を出て、決闘の場となる『エラ大平原』にやって来た。

この平原、ギルハドレッド領地で最も広大な『何もない大地』で、木々もない、岩もない、あるのは広い草原だけという、何の生産性もない土地だ。

フローネも『ここは何もないし放置』って言ってたが、こういう決闘の場としては何よりもありがたい……周りを巻き込む心配がないからな。

エラ大平原に到着すると、対面側にカジャクトたちが揃っていた。

「来たわね、ラスティス」

「よう、カジャクト」

「ようやく、この時が来たわ!! ラスティス、ルプスレクス!! あんたらと戦う時が!!」

「……その前に、一つ言わせろ」

「なに?」

俺は、どうしてもこいつらに言いたかった。

「お前らなあ!! 確かに俺は『俺のツケで飲み食いしていい』って言った!! でもな、でもな……さすがに、食い過ぎ、飲みすぎだ!! 総額金貨二千七百枚ってなんだよ!? 俺の貯金吹っ飛んだわ!!」

老後の資金が吹っ飛んだ……そりゃ、領地経営で金は入って来てるが、開発やら何やらで吹っ飛んでいる最中……俺の手元に来る金は、ぶっちゃけ多くない。

俺の貯金……コツコツ貯めた老後の資金が消えた。ううう……悲しい。

「あー、褒めてあげる。ここのご飯、超おいしいわ」

「……ありがとさん」

カジャクトも、ちょっと気まずそう……っていうか、サティを含めた全員がドン引きしていた。

いや、お金は大事だろ……無駄遣いとかダメだろうが。

「師匠……あの、お金、あたしが貸しますので!!」

「わ、私もです。グレムギルツ公爵家では、私が管理している財産もあるので……」

「女の子からお金借りるなんて、あなたそれでも七大剣聖?」

「だっはっは!! ああ、わりーがオレ、金の貸し借りはしねぇ派だからかんべん!!」

「…………」

みんなの視線が痛い。そして苦しいぜ……うう。

でも、言いたいこと言えたわ。

すると、カジャクトの隣に立っていたウェルシュが、ゆっくり前に出てくる。

「姐さん、いい?」

「ん、暴れていいわよ。ウェルシュ、あんたの暴れっぷりを見て、私も昂らせてもらうから」

「はい!! じゃあ──……出てきな、ガキ」

ウェルシュは、サティに向けて人差し指をクイクイする。

サティの身体に紫電が走り、双剣を抜いて俺の隣を通り過ぎる。

「師匠……最後かもしれないので、ここで。あたし、師匠が大好きです!!」

「え、ああ……うん、どうも」

「だから、もっともっと、いろいろ教えて欲しいので、絶対に勝ちます!! 勝ったらまた、修行を付けてください!!」

「……ああ、行って来い!!」

サティの背中を叩くと、痛そうに顔を歪めるが、すぐに強気の表情になって前に出る。

ウェルシュはサティの顔を見て、ニヤリと笑った。

「いい顔してる。気合入ってるね」

「はい!! ウェルシュさん、絶対に負けませんから!!」

「いいね、本当にいいね……じゃあ、やろうか」

ウェルシュは徒手空拳の構え。サティは双剣を構え突き付ける。

「滅龍四天王『赤竜』ウェルシュ、燃やしてやるよ」

「七大剣聖『神眼』ラスティス・ギルハドレッドの一番弟子!! サティ・ギルハドレッドです!! 思いっきりシビレさせてあげますから!!」

こうして、サティとウェルシュの戦いが始まった……が、サティのやつ、なんでギルハドレッド名乗ってんだ……驚いちまったじゃねぇかよ。

◇◇◇◇◇◇

「行きます!! 『 雷人形態(トール・モード) 』!!」

サティは全身を紫電で包むと、ウェルシュに向かって突っ込んでいく。

「『 炎拳(ドグラ) 』」

ウェルシュの両拳が燃え、サティの雷を帯びた剣を殴って受けた。

しばし、ギンギンギンと、拳と剣がぶつかり合う音が響く……以前のサティなら根負けし、雷も途切れていただろうが、俺のと戦いで研ぎ澄まされ、雷を纏う持続時間も伸びたし、何より度胸がついた。

「『 稲妻舞踊(ライジンブレイク) 』!!」

「ッ!!」

新技だ。緩急を付けた複雑な動きに斬撃を合わせ、枝分かれした稲妻のような動きで翻弄する技。

上下左右から緩急を付けた斬撃に、ウェルシュは拳だけで捌く。

「『 炎脚(マグラ) 』!!」

すると今度は両足が燃え、四肢を使った打撃でサティの斬撃を全て防御。

サティの最後の一撃が弾かれ、互いに距離を取る……が、すでに双剣に雷を纏わせたサティが、ウェルシュに向けて雷を放つ。

「『 雷滅砲(ジガ・トール) 』!!」

「はっ、ドラァ!!」

だがウェルシュは、拳を振っただけで雷の光線を弾き飛ばす。

サティは止まらない。雷の玉をいくつも周囲に浮かべる。

「『 雷光球(サテライト) 』」

雷の玉は周囲を旋回、触れたら猛烈に痺れるだろう。

だが、狙いは違う。雷の玉は複雑に移動をして、ウェルシュの周りを漂う。

警戒し、ウェルシュは降れない。だが……サティが剣を振った。

「『 雷滅砲(ジガ・トール) 』!!」

「何ぃ!? っぐぁ!?」

雷の玉が、光線となってウェルシュの腕を焼いた。

「まだまだぁ!!」

雷の玉が、無数の光線となりウェルシュを襲う。

遠隔操作の光線……すごいな、いつの間にあんなことをできるようになったんだ。

そして、光線に気を取られているウェルシュに接近……光線を盾にして身を隠して接近した。

おかげで、ウェルシュはサティに気付くのが遅れた。腕を交差して防御するが──もう遅い。

「『 斬天雷断(クロスインドラ) 』!!」

雷を帯びた十字の斬撃を受け、ウェルシュは吹き飛ばされ地面を転がった。

サティは肩で息をして呼吸を整えている……やはり気付いている。今の斬撃が甘く、浅いことに。

ウェルシュは立ち上がり、血を流す腕を見て笑い出した。

「あーっはっはっはっは!! いや~……アンタ、化けたね。本当に強くなった」

「はぁ、はぁ、はぁ……それは、どうも」

「でも、まだ甘いね。ふふ……面白い、見せてやるよ」

ウェルシュの目つきが変わり、尻尾が生え、ツノが生え、鱗も生え、手がドラゴンと同じモノになる。

竜人……ドラゴンの力を宿す種族の力、本領発揮だ。

「さあ、行くよサティ!! もっともっと、あたしを燃やしてみせな!!」

「言われなくても……!!」

すると───ウェルシュの身体が一気に燃え上がる。

「あたしは『赤竜』……炎はあたし、あたしは炎!! サティ、あんたの雷とどっちが強いか、比べてみようじゃないか!!」

「───!!」

戦いは第二局へ。

サティ……負けるんじゃないぞ。