軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

脇役剣聖、追い込む

俺はロシエルとの『殺し合い』を終え、呼吸を整えていた。

「……さすがだなロシエル。お前、間違いなく強いぞ」

「……何様」

ロシエルは肩で息をしていたが、立っていた。

間違いなく強い。恐らく、神器を出していない状態でも、サティ、フルーレ、エミネム三人が束になっても勝てないだろう。

天才。ランスロットを初めて見た時、こいつは天才だと思ったが……ロシエルはその上をいく。

正直、俺でもヒヤヒヤする斬撃がいくつかあった。

おかげで、かなり追い込めた。

「ロシエル。俺との修行は終わり……お前は、スレッドとエミネムの相手を頼めるか?」

「……何故」

「お前はあの二人より強い。二対一なら、俺と戦うよりもっと緊張感が持てる。お前も自分を追い込めるし、スレッドたちはさらに強くなれる」

「…………」

そう言うと、ロシエルは少し離れた場所で模擬戦をしているスレッド、エミネムを見た。

そして、俺を一瞥……俺は頷くと、二人に向かって駆け出した。

近づくロシエルにギョッとする二人。その二人の間に割り込み、剣を振る。

「な、何しやがる!!」

「ろ、ロシエル様!?」

「……かかって来ていいよ。二人まとめて相手してあげる」

「はっ……あのおっさんの差し金か? いいぜ、やってやるよ!!」

「七大剣聖序列三位の実力……見せていただきます!!」

スレッドが糸を、エミネムは神器の槍を出してロシエルに向ける。

ロシエルはショートソードを抜き、二人に突き付けた。

さて……あっちは任せていいか。

◇◇◇◇◇◇

俺は、今も戦っているサティ、フルーレの元に来た。

「あら、ラスティス」

「し、師匠……」

膝をつくサティに剣を向けるフルーレ。俺はそれを一瞥し、ため息を吐く。

「フルーレ。俺、お前に何て言った?」

「え?」

「俺は殺すつもりでやれって言ったぞ。お前、手を抜いてるだろ」

「……何あなた、私が手を抜いているとでも?」

「ああ。はっきり言う。お前のやり方は手ぬるい……神器の覚醒なんて夢のまた夢。サティはウェルシュに殺される」

フルーレは俺を睨む。だが、俺は一歩も引かない。

当然だ。サティが死ぬかもしれないのだ。ここで手心を加えるわけにはいかない。

「やり方を変える。サティ、フルーレ……俺と戦うぞ。俺を殺す気でかかってこい」

「し、師匠?」

「サティ、お前とフルーレの戦いは『戦い』じゃない、ただの『じゃれ合い』だ。そんな生ぬるいやり方じゃお前は死ぬ……間違いなくな」

「言うじゃない……じゃあ、見せてくれるのかしら? 本当の戦いを」

フルーレがそう言った瞬間、俺は抜刀し……フルーレの右腕を、肘から切断した。

「えっ……」

「俺に武器を向けるってことは、死ぬってことだ。よかったな、まだ命があって」

「ぁ、っぁああああああ!?」

絶叫するフルーレ。

俺はフルーレの腕を拾い、切断された断面に合わせた。

すると、腕がくっつき、元通りになる。

フルーレは手を開いたり閉じたりを繰り返し、俺を見た。

「殺すってのは、命を奪うことだ。フルーレ……お前にはその覚悟がない。虚勢ばかり、相手を見下すような強い態度ばかり。裏返せば、お前は弱いから、そうやって吠えるんだ。だからお前はエミネムよりも弱くなっちまうんだよ」

「……ッ」

「エミネムには覚悟がある。ああ見えて元騎士だ。人を手に掛ける恐ろしさも知っているし、自分が殺される覚悟もある。お前はどうだ? エドワド爺さんの後釜ってだけで、実戦経験もない、殺しの経験もない」

フルーレは目を反らし、口を噛む。

「サティ。お前もだ。お前も覚悟を持て」

「こ、殺しの覚悟……ですか?」

「違う。殺し、殺される覚悟だ。今のお前は、覚悟もなく殺される立場にいるんだぞ。しかも、ほぼ間違いなく……いいか、これからお前とフルーレを徹底的に追い込む。俺を恨むといいし、殺してもいい。その純粋な想いが、お前の中にいる『神』を刺激する」

「…………」

「立て。そして、剣を抜け」

「……はい」

サティは立ち上がり、双剣を抜く。

そして、俺に切っ先を向け、全身を紫電で包み込んだ。

「いきま」

「いちいち宣言する馬鹿がいるか」

「ッ!?」

俺は一瞬でサティの懐に潜り、双剣の一本をカチ上げた。

そして、サティの腹に強烈なボディブローを食らわせると、サティは嘔吐。

そのまま回し蹴りを放ち、隙を伺っていたフルーレの蹴り飛ばした。

「いいか、俺は……お前たちを死なせないために、お前たちを殺す。俺を恨め、憎め、そして……殺すつもりでかかってこい」

そう言い、構えを取る。

サティは口を拭い、フルーレも立ち上がる。

二人の眼は、今まで見たことがないくらい真剣で、輝いていた。