軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

94 マイホーム3

エクスは、決意を固めた。

何やら緊張した面持ちで、新たな高級物件のリストを持ってきた支店長に勇気を持って告白する。

「あの。・・・・先ほどから高級物件ばかり見せてくれてますが、僕。お金が少ししか無いんです」

支店長が驚いた顔して、リストを床に落した。良かった、誤解が解けたみたいだ。

「あ、貴方の家は、全額パトロンが無制限で出してくれますよ。だから、お金の心配は一切無用です」

「パトロン?」

え?何の話だろう。

そんな物好きがいるのだろうか。

「まさか、何も聞かれてないんですか?」

「もしかしてルカですか?」

ギギギと首を振った。

「第三王女ルーラ様です!」

「えっ!?」

え?あの子、本物だったの!?

子供のお遊びだと思ってた。

「エクス様、顔色が悪いんですが、大丈夫ですか?」

「大丈夫じゃないかも」

勇者や王族のごっこ遊びはよくあるから、富豪のお子様だと思ってたのに。僕のばかぁぁぁあ。

「直ぐに看護出来る者を!」

「いえ、そこまでして頂く訳には」

上の空で聞き流してたら、キンキンに冷えたハイポーションを出してくれた。この対応はガチっぽい。

「エクスくん、ほら飲んで。大丈夫?」

しかも、ぼーっとしてたら、なんか店員のお姉さんに膝枕されて飲まされてるし。美味ぃぃぃ!マナが身体中を駆け巡る。

久しぶりに、ハイポーションを飲んだけどやっぱり美味しい。はぁ。

「ルーラ様も後ほどご来店されますし、その時にでも詳しい」

ごふっ。

「エ、エクス様!?」

僕、不敬罪にならないだろうか。

ルーラとの会話を思い出すと憂うつになってきた。

口元をハンカチで、拭き拭きされてる。

もしかしたら僕は今、すごく王族っぽいのでは。

何だか皆に凄く心配されながら、裁判の時を待った。暫くして、入口で出迎えの声が聞こえてきた。

やっぱり、姫様って呼ぶ声が聞こえるぅぅ。

ううっ、帰りたいよう。

人払いが済んで、黒服が周りを囲み、謁見がスタートされた。

「大魔導師さま!」

「・・・・」

てとてと無邪気に走ってくる。

言われて見ると、高貴に見えてきたような。

緊張で言葉が出ない。

「何だか余所余所しいですわ。やはり、怒っておられるのですか?」

「え!?なんのこと」

理知的な瞳に不安の色が見えて、僕は自分の愚行を恥じた。自分の保身のために立場によって友人への態度を変えるとか最低だ。

「実は、今まで冒険者ギルドが大魔導師さまにした愚行。全て調べさせて頂きましたわ。許せません」

まるで青い炎を纏っているかのような気迫に気圧される。これが王族の奮う断罪の剣なのか。

凄いな。

「僕は気にしてないよ。ただ少し疲れてしまっただけで」

疲れたように笑うと、悲しそうに微笑まれた。

そして、ルーラが纏っていた天真爛漫な空気が消える。少女は、さながら一人の確固たる信念を持つ大人の女性へと成長し、瞳に冷たい青の炎を宿し背筋を剣のように伸ばす。

ゆっくりとした所作で頭を垂れた。

「大魔導師エクス様。第三王女ルーラ・ホワイトニングの名の下、謝罪させて頂きます」

「姫様ッ!王族が軽々しく」

「控えなさい、爺や」

「はっ」

ルーラは一切悪くないんだけど、王族としての責務を果たすつもりなんだろう。

僕が謝罪を受け入れるのを、じっと待っている。応えてしまえば簡単だ。

でも楽な道に流されない。

だから聞く。

「ルーラ、それともルーラ姫。今後はどちらでお呼びしましょうか?」

「え・・・」

僕もさっき間違えそうになったけど。

大魔導師と第三王女。

エクス(大魔導師さま)とルーラ。

貴女はどちらの関係を望みますか?

聡明な少女は、すぐに過ちに気付く。

申し訳なさそうな顔になり、てへっと笑った。国家という生き物から、天真爛漫な大切な友人へと戻る。

「ごめんなさい、大魔導師さま」

「いえいえ。僕の前ではどうか子供のままでいてください。ただ、僕の為に怒ってくれたのは嬉しかったよ」

「当然ですわ!」

胸を張るルーラが可愛い。

「では、爺やから申し上げます。ホワイトニング王国としてエクス様に望まれる家を差し上げとうございます。どうかお受け取り頂けませんでしょうか?」

断る理由はもう何も残って無くて。

「有り難く頂戴します」

僕は家を、ゲットした。

「ところで、大魔導師さまは、どんなお家に住みたいんですの?」

「えっと、安くて、それなりに広くて、人間向きの所が良いかも」

高いと気を使いそうだし。

難問を突きつけられた支店長が唸りだした。面倒くさいお客でごめん。

姫様は笑う。

いつものように。

「それなら、大魔導師さまにとっておきの物件がありますわ。ねぇ、爺や」

「はい、姫様。新築で金貨1枚の人族用のあの訳有り物件ですな」

しまった!?また訳有り物件。

条件を加えるの忘れてたー。

「どんな物件なの!?」

「ふっふふー」

悪戯っぽく笑って、口許に人差し指を当てられた。見るまで秘密らしい。