軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

67 ウラカルの憂鬱4

ウラカルは、銀色に輝く大きな硬貨を見つめて、増えたあぶく銭の2枚を気前良く配る事にした。

「ほらよ、ジジイからの慰謝料だ」

「ありがとう、愛してるよアンタ」

姐さんは愛を囁き大銀貨に口付けした。

・・駄目だ、ぜんぜん可愛くねぇ。

「お前も受け取れ」

「ボス。こんな大金、良いんですか?」

あざとく聞いてきた女装少年に完敗してやがる。なんてこった。

「構わねえ」

「ボス、ありがとうございます」

ああっちくしょう、可憐だ。それに嫉妬したブ族の姐さんが露骨に腕を絡めてきた。仲間割れとか勘弁してくれよと話を進める。

「さて、ビジネスの時間と行こうじゃねえか」

「アンタ・・今回は何人死ぬんだろうね」

領軍はアホだが強い。

姐さんが心配してきたから、3人ぐらいは覚悟した方がいいか。正面切って殺り合いたくないが、今回はそういう仕事だ。

「さあな。だがよ、飢えで死ぬよりかマシだろ」

「分かった。アタイ頑張るよ」

いい女だよ。全く。

ハゲた大男に指示を出す。

「ハゲ、領軍の本部にチャンネルを合わせろ」

「任せてくれ」

図体だけデカいこの男は、こう見えて魔法使いだ。オーダーは、盗聴魔法。

『ウォールイヤー』

受信を開始して、ぶつぶつと独り言のように呟き始めたので傾注していると、お目当ての会話が聞こえてきた。

アホな領軍よ、教えてくれや。

エクスはどこに捕まってるんだ?

『子爵さまより「エクスを捕縛せよ」とのオーダーだ!森林警備隊の鼻を明かすぞ』

『リョグ隊長!エクス!?それは1ヶ月前に執事よりマーク依頼のあったエクスですか?』

『そうだ。・・イエスマンめ、情報を伏せていたのか』

『通過記録は現在ありません』

『馬鹿な?出掛けたと言っていたぞ』

『それは領内のどこかに出掛けたのでは?』

『領外に出たと早合点してしまったのか。いいや、これはチャンスだ!宿に帰ってきた所を捕縛するぞ。いいか、秘密裏に今すぐ隣りの部屋を押さえる。手隙の者は付いてこいッ』

なんと、エクスは領軍の手中に落ちてなかった!大チャンスだ。

仲間の死傷者が0になる絵図がビビッと浮かんで、気付けば笑っていた。

「くくく、エクス感謝するぜ」

「アンタ、アタイらも今すぐ隣りの部屋を押さえよう」

武闘派姐さんが、ぐいぐいと腕を引っ張るが、ウラカルは首を横に振った。

領軍のアホと同じレベルじゃ駄目なんだ。さらに上を行く。

「いいや。それより、宿の手前と、門の前で監視させろ。領軍の手前で押さえれば殺し合いは回避出来る。レン、プランを」

可憐な男の娘に声をかける。

思い出せ。お前の本来の役目は、ハニトラじゃねぇぞ。

「ボス。半日監視を小銀貨1枚で雇い、全10箇所の5日間で、費用は大銀貨1枚でどうですか?」

「それで決まりだ。発見者には大銀貨1枚、サボった奴には死を」

「分かったよ、アンタ!」

姐さんが手下に指示を出し始めた。

手下がさらに、困窮している浮浪者どもにビジネスを持ち掛ける。

お手柄の魔法使いの大男ハゲには大銀貨の半分を、残った半分は手下共に配って、ウラカルの懐には大銀貨1枚。

手下から仕事を貰った痩せた老人が、感謝し深々と頭を下げたのを見送る。大銀貨の話を聞いて目をギラギラさせてる奴もいる。包囲網はバッチリ。

「わんっ!」

ハハハッと擦り寄ってきた犬を見つめて思わず顔が曇る。

「さてと、これでエクスが網にかかれば金貨1枚の美味しいビジネスなんだが、あいつはトラウマなんだよな」

エクスは、なんかやりそう。

「とりあえず。明日、ジジイに経過報告するか」

ひと仕事終えたウラカルはネズミのような目をしょぼつかせてねぐらに入った。