軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

4 最後の仕事(元ギルマス)

ベッドで寝るという小さな目標を果たし、少し仮眠が取れたので活動を再開する。

昨夜はポーションで傷口を治したけど、破れた服まで治らなかったので慣れない裁縫をしていたらギリギリの時間になってしまった。結局焦って上手くいかなくて穴開き部分ごと半ズボンみたいに切って誤魔化した。

最後の指名依頼先の酒場に着くなり筋肉ムキムキの店主からいつものように罵声が飛ぶ。

さらに物理的に飛んできた食器が顔面に当たり砕け散ったので、どうやらいつもよりお怒りみたい。

「エクス!いつまで待たせるんだ、営業が始まるまでにさっさと仕事をしやがれ。貴様は給料を貰ってる自覚があるのかっ」

「すみません。すぐにやりますので。ハウスクリーン、アイスボール、ファイヤーボール、ウォーターボール」

小さな妖精が一人現れて、汚れた皿と散らかった店内を少しずつ掃除していく。冷蔵庫には、溶けない氷が入った。厨房では炎が燃え続け、水瓶からはこんこんと水が湧き続ける。

身体から魔力がどっと抜けてヘタリ込んでしまった。どれも業務用の火力で1か月ぐらい持つように魔改造をしているせいか消費魔力もそれなりに増えてる。

「初級魔法ごときで疲れやがって欠陥魔法使いが。そうだ!遅れた罰として今日の依頼料は無しだからな」

「はい、分かりました」

反論する気力すら残ってなくて、無茶苦茶なペナルティを言われるまま受け入れたら、酒場の親父のご機嫌は回復したようだ。

「分かってるじゃねーか、エクス。俺様の指導で少しは冒険者としての自覚が芽生えてきたか。でも来月は遅れんなよ。少しでも遅れたらまたタダ働きになるんだからな。これはお前の為に言ってやってるんだ」

「はい。もう来月からは来ませんので、その心配は無用です」

次の瞬間。ゴミを見るような目で見下されて、カッ!と火がついたように真っ赤になった店主から、パンチが飛んできたので、ヘッドスリップで慌てて避けた。

危なかった。

すごく疲れてたけど、うっかり避けないで頭で受けてしまうと相手の拳を砕いてしまうかもしれなかったから避けれて良かった。

「てめえ、ゴブリンも満足に狩れないくせに偉そうな事を言いやがって。哀れに思った俺様の親切心を踏みにじりやがるとは。良いか、よく聞け!冒険者をやってる限り俺様の指名依頼からは逃れられるとは思うなよ」

あーあ。結局怒られるなら今日の安い依頼料を無料にする意味はなかったな。

「あのー。冒険者は引退しましたので、今までお世話になりました」

「い、引退だと!?」

ペコリと頭を下げて一方的に帰宅する。

遅れて罵声が聞こえてきたけど、彼とは今日で契約が切れたから無視で良いよね?それにしても断れない指名システムは糞すぎると思う。

どうにか積み上がった全ての依頼を終わらせた。

終わった。ついに、終わったよ。

奴隷生活が。

冒険者なんて糞だ。

僕を縛っていた鎖はバラバラに砕けた。

足取りは軽い。

大通りで人目も憚らず僕は叫ぶっ!

「ああああああ。僕は自由だーーーー!!!!!」

元E級冒険者エクス。

無職←NEW。

今なら空も飛べるかもしれない。

そんな浮かれた気分。