軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

124 夜更かしリィナ

ルカを宥めて朝食を済ませて、別行動を告げた。

「えー、一緒に作ってくれないの?」

「ごめん。新作が出てるかもしれないし」

「相棒はスライム枕中毒なんだぜい」

おっと、フードに入ってしれっとついてくる気のクイーンを忘れるところだった。

「エクスさん!?乙女のお腹を掴まないで」

「クイーンもお留守番」

じたばたするクイーンを引き渡す。

手下がついてくるからなあ。ウサギ達と戯れてる自分の虚ろを横目で見ながらライ姉に見送られて、腹ごなしに散歩に出かける。

「行ってらっしゃいませご主人様」

今日は1人でブラブラする日。

男には自由も必要なのさ。

ふらっと入ったスラム街の路地裏はとても綺麗だった。すんすんと匂いを嗅いでみたけど、スラム街特有のヘドロの匂いがしない。

妙だな?なんて考え事をしていたら十字路の横から、

「うわっ」

ぶわぁぁっと透明のビッグスライムが用水路を走ってきて心臓がドキドキ。

なぜか見覚えのある気が。

ここが綺麗なのはアイツが原因で間違いない。

「人の気配も少ない気がする。気のせいかな?」

ニトラと違って鈍感だから自信が無いけど。

綺麗な路地裏、スライム、消えたスラム民。やめた。あまり深く考えないようにしよう。

街の街道に出ると、眩しい光が差し込み目を細めた。

塵一つない街並みが気持ちいい。

冒険者達が清掃に精を出していて、以前より綺麗な気がする。

何かあったのだろうか?

なんとなく違和感を覚えながら、日替わり商品を見にリィナの店に到着。

男の隠れ家。ここに来ると全てを忘れられるような気がする。

あっ!まだ世界樹の種が置いてある。

ふふっ誰もこんなの買わないよ、高すぎるし。

「おや、エクス君。おはよう!」

「おはようございます」

おばちゃんに見つかった。

「リィナ~。エクス君が来てるよ~」

「あい~」

返事が2階から聞こえてタンタンと小さな足音がする。

「ところで、いつもと街の雰囲気が違う気がするんですが何かあったんですか?」

「魔人が出たんだよ。お陰で冒険者達が中の雑用を取り合ってるの。ここ最近は森に入って帰らなくなってる人も多いから、行っちゃダメだからね」

「はいはい」

まぁ僕には関係ないかな。

「お兄ちゃん!」

「うぐ」

油断した。幼女に押し倒されるなんて。

だだだ、っと走ってきたかと思うとタックルされるとか思わないし。

ルカより軽いけど質量が凄い。

「もー、来るのが遅いよ」

「ごめんね」

なんというか柔らかった。

夜更かししたのか眠そうなリィナ。

この子は将来マーラを超えるのでは?と、将来像を見上げるとおばちゃんがニヤニヤ笑ってる。

「ところでエクス君、リィナを妾にどうだい?」

「は??僕はエロ貴族じゃないです」

なんて事を言いだすんだ。

「えー。おばちゃんも貴族生活したいよ。ねっリィナ頑張れ」

「やだリィナはホンサイ?がいい」

「リィナちゃんは難しい言葉を知ってるな~」

撫で撫でしながら有耶無耶にして、おばちゃんをキッと睨むとてへっとされた。イラァ。

「お兄ちゃん。リィナ偉い? ふわぁ」

「偉いよ~」

髪をすくと腕の中でスヤスヤと寝だした。

子供だな。

どうしよう?とおばちゃんを見るとそのまま商品を整理しに仕事に戻っていく。はああ?なんて思っていたら何かを持って帰ってきたんだけど。

あれは売れ残りの超高級品「世界樹の種」?

「エクス君ー」

「それは買いませんよ!」

先手必勝!

セーラが大金を押し付けてきたので、余裕で買える。だけどゴミは買わないし、お金があるからといってたかってくるなら関係は終わりだ。警戒したら、ケラケラ笑われた。

「もー早いと嫌われるよ。心配しなくても、押し売りなんてしないから。それに、頼まれてもエクス君には売ってあげられないね」

「え? ごめんなさい」

思わぬ勘違いにわたわたする。

そうだ。この人は厚かましいけどそういう人じゃない。お金の汚れで目が曇ってたのは僕のほう。うああ。

「だってお金は貰ってるし」

「ん?」

何の話?

「ほら、この前の沢山作ってくれた不思議な石を思い出して」

「え?あれは僕にとってはゴミみたいなものなので、気にしないでください」

そういえば、箱いっぱいのクズ魔石にファイヤーエンチャントゼロポイントゼロワンを掛けてあげたような。

「アレ、とても高く売れてね。だから、この店で1番高い商品を泣く泣く差し出そうじゃないかい」

「こんなゴミいりません!」

差し出された不良在庫を受取拒否すると、おばちゃんが不敵に笑った。

「ふふふ。言ってしまったね、エクス君」

「え?」

「エクス君にはこれを受け取らないといけない理由があるのさ」

「どんな?」

理由が分からなくて、背中に汗が。

「等価交換だよ。エクス君がゴミをくれて、おばちゃんがゴミを返すんだよ」

「んああああ!」

謙遜なんてするんじゃなかった。

叫んでしまったせいで、リィナが迷惑そうにトロンと目を開ける。

「んみゅ?なあに?」

「リィナちゃん。いい子だね、ベッドで寝ようか」

いい感じに寝ぼけてるので、そのままおばちゃんに返却するとふらふら歩いてぺとっと引っ付いた。

「ん。ねるー」

静かにバイバイと手を振る。

やられたままは悔しい。あっ!

「そういえば、マッサージチェアって知ってますか?」

「なんだい。その貴族さまみたいな響きは?」

おばちゃんの目がキラキラする。

「聞いてみただけです」

「え?絶対に作れるよね!?」

おおー。これで痛みわけかな。

くるりとUターン。

「また来ますね」

「待って!エクスくんんん。それ気になるんだけど。ちょっとリィナ、起きて」

「うみゅう。ねるのー」

片手をひらひらあげてさよならだ。

「エクスくんんんん」

楽しみにしててね。

また今度作ってあげるから。

次は1週間後に来まーす。