軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

53話 遂にデビューのパーティーだぞっと

鷹野家は朝から大騒ぎだった。ワイワイキャッキャッと、少女たちの声が響き渡り、バタバタと大勢の人が忙しく歩き回っている。

貴族の屋敷に比べれば、小さい家になるが、平民の家では豪邸だ。何しろホームパーティーだってできるし、お庭ではバーベキューもできちゃうくらい。プールはないが、それでも何部屋もあるし、豪邸と言えよう。50坪は豪邸と呼ぶには微妙だという輩には、よろしい戦争だと答えてあげる所存です。父親が頑張って建てたんだから、豪邸なんだよ。

そんな豪邸で、バタバタと走り回っているのはメイドさんたちだ。さすがにメイドはうちにはいない。さすがにというか、そこまで金持ちではないとは自覚しているよ。裕福な部類に入っているとは断言できるけどな。

ならば、このメイドさんたちは何者かと言えば、帝城家のメイドさんたちだ。

なぜかチャリティーイベントをしてから、帝城家はメイドを送り込んできたり、護衛を増やしたりしてきた。どうやら俺はなにか失敗したらしい。あ、メイドは両親が断ったよ。この人たちは今日のお手伝いだ。

テンプレなら、俺何かやっちゃいましたと、ニヤニヤと笑えばいいと思うが、護衛が増えたのを見ると、そんな態度はとりようがない。両親にも護衛が付いたのだ。

父親も母親も困り果てているけどな。まぁ、同性の護衛なので、不実を疑われることもないだろう。というか、3人ずつ護衛についているんだ。両親にだよ? 以前は両親には連絡先を伝えるぐらいだったのだから、確実にまずい状態であることは明らかだ。

ちなみに俺は以前のCランクの冒険者さんたち6人に加えて、女性だけのパーティー6人も加わり12人になりました。女性だけのパーティーの方はBランクです。俺としてはおっさんたちのパーティーが護衛についてくれたほうが、落ち着けるんだけどな。

テンプレの美女たちのパーティーではなく、歴戦の傭兵という感じのおばさん……こほん、30代のお姉さんたちなので、まぁ別に緊張はしないけどね。いつも飴ちゃんくれる、良い人たちだし。護衛専門でやってる人たちだと言う話だ。

これだけでまずいことはわかるが、悔しいのは理由がわからないことだ。両親も首を傾げて不思議がっていた。うん、いつもどおりで、変なことはしていないよなぁ? 理由がわからないのはモヤモヤするぜ。

父親が帝城王牙に尋ねたが、考えをまとめているので、少し待ってほしいと返答があったらしい。

怪しすぎるので、闇夜たちに聞いても、おかしなところはなかったと不思議がっていた。むぅん、この謎は早めに解明する必要があるな。

まぁ、それでも謎を解くのは今日じゃないことぐらいわかる。

なにせ今日は3月末1日前。いよいよ皇族主催の子供たちのパーティーだからだ。

今はお友だちと一緒にパーティーに行く準備をしているところだ。

「闇夜ちゃん、とっても綺麗! 満天の星をドレスにしたみたい! 闇夜ちゃんにぴったり似合ってるよ!」

感嘆の声を上げて、俺は居間でぱちぱち拍手をしていた。目の前にはドレスに着替えた闇夜がいる。

「ありがとうございます、みー様」

頬に手を添えて、小学三年生、3日後には四年生になる闇夜が子供にあるまじき色気を見せて微笑む。闇夜は薄手のシックな黒いドレスを着ている。ひらひらのやつだ。どういうドレスか? ……俺、服とか髪型の種類とか、全然詳しくないんだ。身奇麗にするのと、美しく綺麗に身支度をするのは、少し意味が違うんだよ。

なんだか、妖艶すぎる漆黒のドレス。夜空の星のように宝石が散りばめられており、黒いレースの手袋を嵌めて、ハイヒールを履いている。いつものおさげに黒髪を纏めており、最近は美しい系の顔立ちになってきた闇夜である。ハイヒールは下ろし立てなので、土足じゃない扱いだ。

アクセサリーは白く輝く大粒のダイアモンドを中心に、周りを小粒のフローレスダイアモンドらで飾っているネックレスを首に下げている。銀のティアラを頭につけて、どこかの王女様かな?

「玉藻ちゃんも綺麗! 衣装が凄いね! 玉藻ちゃんに似合ってるよ!」

隣に立つ金髪をサイドテールに纏めて、悪戯そうに狐の尻尾のようにふりふりと振って、にひひと笑うのは玉藻だ。デフォルメされた可愛らしい狐の意匠の着物を着ており、身体をくるりと回転させて、ふわりふわりと裾を翻して嬉しそうだ。

「二人とも美人さん! 綺麗!」

褒め言葉に語彙が少ない美羽であることが判明した。

だが、二人とも嬉しそうだ。笑顔で照れて、俺を褒めてくれる。

「みー様も似合ってますわ。みー様の可愛らしさにぴったり」

「エンちゃんも、可愛らしいね! とっても可愛らしいよ〜」

「ありがとう〜」

テヘヘと美羽は照れて、くるりと身体を回転させる。銀色に似た灰色髪を靡かせて、愛くるしい笑顔を見せて、ふわりとスカートを花のように広げて身体を回転させる。

俺のは母親が選んでくれたワンピースだ。ワンポイントに花柄が描かれている赤いワンピース。両親とお出かけして、デパートで何着も試着して選んだ逸品だ。お気に入りになったよ。

「帝城家がご用意しても良かったのですが………」

「これが良いんです!」

ニコリと微笑み、執事さんへと答える。

帝城家の執事さんが、困り顔になるが、最高の服だ。全く問題ない。なにせ、両親とお出かけして買ったワンピースだからね!

これは源氏の鎧よりも激レアアイテムなことは間違いない。後で強化しておくこと決定である。魔石を使って+10にしておくんだ。

さて、闇夜たちがいるのでメイドさんたちもたくさんいる。着替えのお手伝いだ。宝石箱からジャラジャラとアクセサリーを取り出して、俺も飾ろうとするので、お断りしておく。アクセサリーはデパートで一緒に買った葉っぱ型の髪飾りで良いよ。両親が可愛らしいって褒めてくれたからね!

これも後で強化決定である。早く『機工師』の熟練度を上げないとな。魔法付与もしておくつもりだぜ。ゲームであって良かった『アイテム強化』と『魔法付与』コマンド。アイテムボックスにあるものは強化できる雑な仕様で助かったよ。

まぁ、装備でないものは気休め程度なんだけどな。ワンピースも防御力が+10上がる程度だ。でも、こういうのは気分の問題だよな。

「みーちゃん、今日はお姫様だね」

「そうね、可愛らしいわよ、みーちゃん」

「わーい、ありがとう、パパ、ママ!」

パパとママにダイブするみーちゃんだ。嬉しさで輝くような笑顔を魅せちゃう幼気な美少女だ。

甘えん坊だなぁと、両親が優しい笑みで頭を撫でてくれるので、エヘヘと幸せで顔を緩ませる。優しい家族って最高だよね。

「みー様には、いつ見ても癒やされます」

「玉藻ともハグしようよ、ハグ〜」

ほぅっ、と闇夜がうっとりして、玉藻が両手を広げるので、ダイブだ。キャッキャッと抱きしめて、笑い合う。

「似合ってますよ、闇夜」

「似合ってるよ、玉藻」

「皆、綺麗よね〜」

闇夜の母親と玉藻の両親が居間に入ってきて褒めてくれる。闇夜の母親は黒髪黒目、大和撫子の名前にぴったりの容姿をしており、高そうな着物を着ている。玉藻の両親はお出掛け用だろう着物だ。俺の両親も同じく一張羅だ。値段に差があるとは思うけど、よくわからんし、両親は愛があるという点で最高なので問題ない。

親たちが挨拶を交わし、今日の天気などの時候の挨拶をしている。

「おぉ、似合ってるじゃないか、嬢ちゃん。馬子にも衣装かい?」

からかってくるお姉さん。もうこのお姉さんたちとは気軽に冗談を言い合える仲だ。

「ひひーん、可愛らしいでしょ?」

お馬さんの真似をして、ニコリと笑顔で返すと、クックと笑い返すお姉さん。

ひょっこりと顔を出したのは、美羽の新たなる護衛となったお姉さんたちだ。『魔導鎧』を着ているが、その上からしっかりとした頑丈そうな服を着込んでいる。そう着込んでいるのだ。

そういや、女性はレオタードのような『魔導鎧』だった。原作では若い少女や、美女が着ている描写しかなかったから、意識しなかったけど、年寄り、ゲフンゲフン、ある程度の歳からはきっついよな。なるほどこうなるのか。

お姉さんはニヤリと凄みのある顔を笑みに変えて、腕時計を見せてくる。

「そろそろ時間さね。警備は万全だ。出発と行こうじゃないか」

「はーい! 行きまーす!」

「まだよ。髪を整えてからね」

片手をあげて、元気に答える俺を母親が掴んで、髪を纏めてくれるのだった。完璧装備だな! ラストダンジョンにも向かえちゃうぜ。

外に出ると、護衛の人たちが立っている。今までのおっさんたちのパーティー『マティーニ』とお姉さんたちのパーティー『金剛城塞』だ。

おっさんたちの『マティーニ』の由来はいつでもマティーニが飲めるくらい裕福になれますようにとのこと。『金剛城塞』は鉄壁を表しているらしい。オレ的にマティーニの方がパーティー名が好きかな。パーティー名って、遊びがある方が個人的には好きなんだよ。

多少くたびれたおっさんたちは、そろそろ半分引退して護衛業をメインにしたいらしい。

『金剛城塞』は、生粋の護衛業者だ。信頼溢れるパーティーらしいよ。

リーダーのお姉さんのあだ名は『金剛』。本当の名前は教えてくれない。なんか色々とあるんだろうな。凄みのある顔立ちに、190センチはある大柄な体格。黄色の『魔導鎧』を装備しており、各所に補強の跡がある。タンク役らしい。

他に槍使い、風使い、弓使い、精霊使い、召喚士と揃っている。護衛をするのに適しているパーティーだ。自己紹介で使えることを教えてくれたのだ。なので、俺は独自にジョブとして当てはめておいた。現実ではジョブがないけど、記憶しやすいようにしたんだ。

『金剛城塞』のパーティーはよく考えられている。弓使いは使い魔を持っているし、精霊使いと召喚士は精霊や魔物を使役できる。相手が数を揃えて襲おうとしても、こちらも数で対抗できるというわけだ。

使い魔である鷹を腕に乗せて、弓使いが報告を受けている。『視界共有』と『人語読解』を使い魔は使えるので、人語で報告している。何回か撫でさせてもらったが可愛らしい鷹だ。人の言葉を喋る鷹とは、ファンタジーだと感激したものだ。簡単な魔法も使えて、そこそこ強いらしい。

俺も同じようなジョブで『狩人』のジョブがあり、使い魔枠はあるんだが、呼び出していない。ゲームで戦闘にしか役に立たなかったから、パワーのあるマンモスを使い魔にしてたんだけど、現実だと何にするか迷っているんだ。『視界共有』とか『人語読解』はないからな。ゲームのデメリットだぜ。

家の前に駐車してあるのは魔法装甲のリムジンと、それに連なる車両群。物凄い目立って、ご近所さんが覗いているが、笑顔で行ってきますと手を振ると、ニコリと笑い返して行ってらっしゃいと答えてくれる。ご近所付き合いはしておかないとね。

てこてことリムジンに乗る。闇夜たちも続いて入る。俺と両親、闇夜、闇夜の母親、玉藻。玉藻の両親は残念ながら別の車両だ。ちなみに王牙は皇城で仕事があるので、先に向かってる。

「それじゃあ、お城にレッツゴー!」

「おー!」

「おー!」

片手をあげて、美羽が叫ぶと闇夜たちもノリノリで拳を突き上げる。楽しみだぜ、パーティー。きっと美味しいものがたくさんあるよね。

「んん?」

と、そこで俺はあることに気づく。というか、思い出す。

「パーティー?」

「どうしました、みー様?」

「ううん、なんでもないよ」

闇夜が怪訝な顔になり聞いてくるが、俺は首を横に振って答える。

………が、少し気になることを思い出した。2巻で聖女様が出てきた時に出る過去の回想シーン。パーティーじゃなかったっけ? 主人公と聖女が出会う思い出の場面。

特別な思い出として描かれていた内容だったが………。少し気になるな。聖女は10巻までは立場的に、時折しか出番がなかったんだ。だからあまり記憶はないんだけど……。

念の為にムニンにお願いしておくか。フリッグも呼んでおこうかなっと。