軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

357話 ニュースはガセネタが多いよねっと

平和な朝食風景を見せる鷹野家族。そのほのぼのとした世界で、ニュースは少し騒がしかった。

『ご覧ください。この表面を! つるつるです。まるでガラスのような感触で、あっ、ちょっと、離しなさいよ、皆に伝える義務が』

『なにが伝える義務だ! 視聴率のためだろ』

『特ダネは社長賞が貰えるのよ、はなせーっ』

女性のアナウンサーは、立ち入り禁止のロープを跨いで、クレーターとなった地面を触って説明をする。すぐに武士団が捕まえて引き摺っていくが、元気にわぁわぁと騒いで消えていった。

物凄いガッツのある人だなぁと、感心しながら海苔に醤油をつけて、ご飯を包んてパクリ。朝から炊きたてのご飯を食べられるなんて、みーちゃんはそれだけでも幸せ者だ。

「ねぇ、芳烈さん。魔導学院が消えたって本当かしら?」

「うーん……本当なんだろうけど、あそこは高位貴族が通うから、軍の基地並みの防衛魔法が付与されていたはずなんだけどなぁ」

「 大事(おおごと) よねぇ。帝城さんとか大忙しではないかしら。芳烈さんやみーちゃんにもお手伝い要請がくると思う?」

「うーん、たしかに大事だけど鷹野家が絡むことはないよ。鷹野家は政治に関わらないのが、皇帝陛下との取り決めだしね」

パパとママは今回の事件を見ながら話し合っている。でも、鷹野家は関わらないから、関係ないよね。

卵焼きをお口に放り込み、その微かな甘味で頬が緩んじゃう。微かな甘味が卵焼きの味を引き立てているのだ。

お味噌汁に刻みネギをパラパラとふりかけて、ちょっと飲んだあとに豆腐をパクリ。一口で食べられる大きさに切ってあるから、食べやすいし良い豆腐なので味に深みもある。お出汁もしっかりととっているし、一流の板前の仕事だ。

食通みーちゃんは味にうるさいのだけど、これには満足です。さて、焼き魚を食べてみようかな。骨を上手く取るのが大変なんだよね。

気合を入れて、スチャッと箸を構えて焼き魚にアタック。一流の食通の食べ方を披露しちゃうよ。

「みーちゃんはこの事件どう思う?」

「え? う〜ん……この魚はサンマ?」

グサリと焼き魚に箸を突き刺して、ガリガリと骨ごと食べる。この事件についてどう思うか?

パパの疑問に動揺一つ見せずに、みーちゃんは冷静に焼き魚を噛み砕いて飲み込む。

「今はサンマの季節じゃないよ。これは 鰆(さわら) だよ。焼き霜作りとか言うんだっけ……」

「さすがはパパ! 物知りさんだね!」

賢者も顔負けの知識を誇るパパに尊敬の念を送りながら、飲み込み終える。

「たいしたことじゃないよ。で、このニュースをどう思うかな、みーちゃん?」

「う〜ん、きっとガス爆発だと……」

『ご覧ください。この土の表面は石のように硬い塩のようです。辛いんです。魔法の力によるものだと、あぁっ、ちょっと邪魔しないでよっ!』

カサカサと虫のように地を這いながら、アナウンサーが再びクレーターに近づいて余計なことを口にしていた。

でも大丈夫。みーちゃんは冷静なのだ。

「ガス爆発だと思うよ!」

海苔にイチゴジャムをつけて、ご飯を包んでパクリ。

「カフッ! うわっ、なにこの海苔、急に不味くなったよ!」

口の中に磯の香りとイチゴの甘味が広がり、思わず吐きそうになる。

とっても甘い海苔だよ! この世界の海苔には甘い海苔もあったんだ。しかもイチゴの味とかチャレンジしすぎだよ!

「………みーちゃん? この事件についてどう思う?」

なぜかジト目のパパが再び問いかけてくるので、軽く深呼吸して気持ちを落ち着ける。イチゴ味の海苔って、不味ぅ。

「たぶんガス爆発だよ。ガス爆発だと何もかも吹き飛ぶって、聞いたことあるし」

口直しに角砂糖をパラパラとお味噌汁に入れて、ちょっと飲む。

「カフフッ。なんだかこのお味噌汁とっても甘いよ! グルメなみーちゃんは怒っちゃうよ、女将を呼べ〜!」

なんだ、このお味噌汁。まるで砂糖をぶち込んだかのように甘いお味噌汁だ。これは斬新すぎる味だよ。みーちゃんでは食べられません。

「みーちゃん……まさかこの事件に関わっていないよね?」

「昨日は20時にベッドに入って寝ました。寝る前にホットミルクを飲むために、ニムエに頼んだよ。その後はニムエが寝ずの番をしてくれたので、アリバイになるはずです」

こんな時のために、れんしゅーしたセリフをつらつらと語る。ふふふ、アリバイは完璧だ。

「まるで犯人がアリバイ工作をしたかのように聞こえるんだけど?」

「警部。次は誰に話を聞きますか?」

ポリスみーちゃんとなって尋ねるけど、ますます厳しい表情になっていくパパ。なぜかため息を吐くと呟くように言う。

「大丈夫。きっと私の考えすぎ。考えすぎだ」

「芳烈さん、きっと考えすぎではないわ」

なぜかママが顔を俯けて呟くパパの肩を撫でて慰める。うちの両親はいつも熱々だね! 子供の情操教育に良いと思う。

「みーちゃん? 本当のことを言いなさい?」

「みぃねーたん、いーなしゃい?」

厳しい顔のママが追及してきた。舞も真似をしてみーちゃんの顔を見ながら楽しそうな笑顔になる。

ここで追及を逃れることは簡単だけど……嘘はあまりつきたくない。みーちゃんは素直で良い子だからね。

座り直して背筋を伸ばし、真面目な顔で答える。

「学院の地下には魔神が封印されていたんだよ。ししょーがそれに気づいて討伐したの。でも、これは秘密なんだって。バレると魔神の死体の欠片とか、封印されていた神器とかを探す人が出てくるから」

「魔神? 魔神ってなんだい?」

パパが魔神という言葉に反応して眉を顰める。

「世界を滅ぼす魔物のことだよ。みーちゃんはこっそりと皆を助けるために一緒に行ったの。回復魔法使いはとっても役に立つからね!」

オーディーンのおじいちゃんは『マイルーム』までは一緒だったんだ。

「ドルイドの大魔道士様が魔神と表現するほどの魔物だったのか……。たしかに秘密にしないといけない内容だ」

なんと驚き、パパはあっさりとみーちゃんの言うことを信じてくれた。みーちゃんですら疑う内容なのに……。

「パパは信じてくれるの?」

「うん? 嘘だったのかい?」

「ううん、本当のことだよ」

ぶんぶんと首を横に振って答える。真実を少し伝えていないが、全て本当だ。魔神の存在はみーちゃんの話を聞いた後にオーディーンのおじいちゃんは話したし。

討伐したのはオーディーンのおじいちゃんとは言ってないしね。たぶんパパのイメージの中では勇者パーティーの一員として戦ったんだと思っているだろう。

さすがにソロで倒しましたとは言えないもん。

「危険なことをしてたのね! みーちゃん、なんでママたちに相談しなかったの!?」

「一昨日魔神討伐を決めたから?」

「大魔道士様とは話し合いが必要ね! いくら優れた魔法使いでも、美羽は子供なのよ、まったくもぉ。怪我はない?」

「ちょっとしたけど、回復魔法で治したよ」

「心配させないで美羽。ママの大事な大事な娘なんですからね?」

抱きしめてくれて、優しく頭を撫でてくれるママ。心配かけてごめんなさい。

「僕も、僕もぎゅうってする!」

「舞も! 舞もだっこ!」

「むぎゅう」

甘えん坊の二人がしがみついてきて、皆で抱きしめ合う。むにむにとほっぺを押し付けてくれるのが、とっても可愛らしい。

家族の温かい心が感じられて、ぽかぽかとみーちゃんの胸も温かい。

『良かった。世界を消滅させないで』

『メインストーリー:世界の全てを食べてしまおうはキャンセルされました』

だよね。ゲームストーリー通りならば、今頃は滅ぼしちゃっただろう。実に危ういところだったに違いない。

これも家族のおかげである。これからも家族を守るために頑張るよ!

「後で大魔道士様の連絡先を教えてね?」

ニコリと微笑むママから、オーディーンのおじいちゃんを守るのは難しいかもしれない!

「………この件は家族だけの秘密としておこう。とりあえず大魔道士様の意見を聞いてから、皇帝陛下にお話しするか決めようと思う」

「そうね、芳烈さん。皇帝陛下には申し訳ないけど、その魔神? とかいうのが本当に危険なら伝えない方が良いと思うわ」

「うん……。たしかに残った物を回収されて、研究とかをされても困るしね。映画とかで、そういうパターンはいくらでも見てきたし、現実でもそういう行動を取る人はいるだろうから」

「売れたからって、続編を作るとだいたい駄作になってるよね!」

「調子にのらない」

パパにコツンと頭を叩かれたので、エヘヘと舌を出して謝る。

みーちゃんの顔を見て苦笑をするが、すぐに優しい顔になりパパは頭を撫でてくれる。

「でも、魔神という大魔道士様も恐れる化け物を倒して偉かったね。パパはみーちゃんを誇りに思うよ」

「たしかにそうね。みーちゃん、よくやったわ。皆で大変な苦労をして倒したのでしょう? ご褒美に今日は目玉焼き乗せハンバーグをママが作るわ。腕を奮っちゃうんだから」

ママも褒めてくれて、なんとご褒美にハンバーグも作ってくれるなんて!

「やったぁ、ハンバーグ、ハンバーグ!」

「やったぁ、はんばーぐ」

「舞にも舞にも作って〜」

「もちろん皆の分も作るわよ」

空と舞と一緒にはしゃいで喜んじゃう。良かったアシュタロトを倒して。

手作りハンバーグが一番の報酬だよ!

皆が笑顔で朝食を再開すると、トントンとドアがノックされて、蘭子さんが入ってきた。

「美羽様、皇帝陛下から緊急会議をするので、急ぎ登城せよとの連絡がきました。いかが致しましょうか?」

「残念だけど、王様になったら政治や軍関係のお話には参加できないんだ。そういう約束だもん。お断りして」

動きが早いけど、聖奈あたりが魔神のことについて説明をしたのかもしれない。

でも、アシュタロトは滅ぼしたし、もはや残りはヘルヘイムモドキとシンを倒すだけだ。皇帝との話し合いは必要ないよね。

そもそも必要な時に呼び出そうとか、都合が良すぎると思うんだ。

なので、お断りします。ご健勝をお祈りしておくよ。みーちゃんのお祈りだから、効果はあるかもね。

それに、朝食を食べ終わったら、オーディーンたちと話し合いをする予定だ。

アシュタロトの首。全ての元凶を消しておく必要があるから、みーちゃんは忙しーのだ。

なので、原作は終わったし、皇帝は頑張って生きてほしい。これからは自由に生きてね。