軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

332話 雪で遊ぶんだぞっと

クリスマスは目前である。お祭り大好きなみーちゃんは、クリスマスも大イベントを打つ予定であった。

でも、お友だちだけでパーティーをしませんかと、闇夜からせがまれたので、急遽雪祭りは日時を変更した。

何日かといえば、12月20日に雪祭りをすることにしたのだった。

雪煙る東京。滅びし元巨大都市は平将門の怨念により、凶悪な魔物が徘徊し、ビルかと思うほどに高く伸びる木々や鬱蒼と繁茂した植物たちに支配される凶悪な世界に変わっている。

崩れた廃屋や、半ばから倒壊した高層ビル、埋もれた道路や錆びた車が土に埋もれて、人間は既にこの世界の支配者ではないと教えてくれる。

本来ならば、一歩歩くだけでも草むらに隠れる魔物や木々の合間に潜む魔物たちに警戒して進まなければならないところだ。

天然の森林ダンジョンと化している東京は、外縁部の浅い地域を攻略するだけに留まっている。

そのような危険な地域に、今は人間たちの集団が入り込んでいた。ポメラニアンを先頭に、後続には装甲車や大型トラック、給水車が続く。

鎌倉を経由して神奈川県から入り込めたのだが、ほとんど魔物に襲われなかった。

なぜならば、一面が雪に埋もれており、真っ白な光景が広がっているからだ。木々や草むらに隠れて襲撃することもできないため、冬の時期だけは東京に入れるのである。

即ち絶好の雪祭りの時期ということだね!

装甲の取り付けられた観光バスで、みーちゃんたちはキャッキャッと楽しんでいた。

「ユーキや、コンコン、あられやコンコン〜」

『 氷嵐(アイスストーム) Ⅲ』

「コンコンまほ〜」

『木の葉旋風』

サタンコスのみーちゃんがふりふり体を揺らせて、手のひらを窓の外へと出す。

サンタコスの玉藻も合わせて、もふもふ尻尾をふりふり振って、手のひらを窓の外へと出す。

「合体! 木の葉氷嵐!」

みーちゃんの氷の嵐と、玉藻の木の葉旋風が合わさり、凶悪な吹雪となって周囲に吹き荒れた。

深く積もる雪が硬い氷となっていく。

「ギャッ」

雪の中に隠れていた魔物の断末魔の悲鳴が聞こえてくるが気にしない。

「ユーキやコンコン」

「木の葉もコンコンッ」

二人の息のあったダンスはとても可愛らしく、外から聞こえる魔物の悲鳴がちょうど良いBGMになっていた。

「私も遠距離攻撃の魔法を覚えないといけないですね」

黒髪の美少女闇夜が悔しそうに、踊っているみーちゃんたちを羨ましそうに見ながら、写真を撮る。いついかなる時も撮影はやめない闇夜だった。

「三位一体の魔法も使おうっか!」

元気よくホクちゃんが立ち上がるが、いつもの二人はというと

「………」

セイちゃんは備え付けのコタツで、すよすよと気持ち良さそうに寝ていた。魔法での緩衝障壁があるので、観光バスは後部座席が畳敷きのコタツも備え付けられる快適な空間となっているのだ。

「………」

ナンちゃんはコタツの上に置かれている鍋からカニを取り出して、黙々と身をほじくって食べている。邪魔をしたら殺されそうなほど鬼気迫る表情だった。

「ねぇねぇ、せっかく旅行なんだから、私たちも頑張ろうよ〜」

めげずにホクちゃんはセイちゃんたちに声をかけるが、二人ともまったく動くことはなかった。

コタツでの昼寝と、蟹鍋食べ放題の前に、魔物狩りは負けていた。もちろんどこかのメイドも隣で黙々と蟹を食べています。

「皆さん、変わらずお元気で安心しました」

おっとりとした癒やされる優しい笑顔で言うのは聖奈だ。

本日の雪景色の出席者はみーちゃん、闇夜、玉藻、聖奈、ホクちゃん、セイちゃん、ナンちゃんのいつものメンバーだ。蘭子とニムエがお世話係として同乗している。そして、その他大勢。

パパたちも来ているが、もう一台のバスに乗って、今頃どんちゃん騒ぎだろう。

火炎豆を使ったちょっと身体がポカポカするお酒を飲んだので、きっと到着する頃にはへべれけになっているに違いない。

みーちゃんが頑張って作ったのだ。耐寒付与した甘酒みたいなものだよと、ニコニコスマイルで大人たちに配ったのである。

説明書きにもあったから大丈夫なお酒だった。フレーバテキストにポカポカ身体が温まり、効果は一日続くお酒と書いてあったのだ。なので一口飲めば今日はずっとポカポカの身体だろう。

お酒を飲んで、ポカポカするのは酔うことだと知ったのは、パパたちが飲んだあとなので仕方ないよね。

まぁ、今日は安全地帯で一泊する予定だから問題はないだろう。

雪祭りという名の二泊三日の小旅行に、みーちゃんたちは来ています。

聖奈はニコニコと笑みを浮かべて、疑問を口にする。

「雪祭りはどんなことをするのですか?」

「雪を使ったお祭りだよ、せーちゃん。このお祭りに参加するために、たくさんの冒険者たちもついてきてるんだ」

雪祭りといったら、さっぽろ雪まつりを思い浮かべているのか、聖奈は不思議そうな口調だ。

「たしかにたくさんのバスがついてきているよね〜。カルガモみたいについてきてるよ〜」

玉藻が窓から後ろを見て、後ろに続く車両群を指差す。簡易的な装甲の貼られた観光バスが百台近く並んでおり、その周囲を装甲車が守っている輪形陣で移動しており壮観だ。

「皆に声をかけたんだよ! みーちゃんサンタの少し早いプレゼントもあげますってビラを配ったの」

「ひらひらって、冒険者ギルドでチラシの紙吹雪を舞い散らせて、職員さんに怒られたんだよね。楽しかった!」

皆でチラシを配りに冒険者ギルドに行った時のことを思い出して、ホクちゃんがニシシと笑う。

最初はきちんと冒険者たちに配っていたんだけど、みーちゃんの正体がバレて、大勢の人々に囲まれたので、仕方ないのでばら撒きました。

なんでバレたのかわからない。みーちゃんはホッケーマスクを顔につけて、チラシを配っていたからばれないはずだったんだけどね。

「小悪魔みー様のプレゼントですね。どんなプレゼントか楽しみです」

「………最高級ふわふわお布団をきぼー」

闇夜とセイちゃんがどんなプレゼントなのかと、みーちゃんを見てくるがナイショだよ。

「皆の願いが叶えられるプレゼントかもね! 楽しみにしておいて」

「わかりました、ご主人様。今年の年末年始は一ヶ月の有給休暇でお願いします」

胸から休暇届を取り出して、おもむろに書き始める青髪メイド。蘭子さんが後でシュレッダーを用意しないとと呟いているから、紙の無駄になると思うよ。

「雪像を皆さんで作るんですか、みーちゃん?」

「それはもう少し東京の開発が進んでからかなぁ」

「なら、この先でなにを?」

聖奈は積雪の白き世界を見て、首をコテリと傾げる。うんうん、わかるわかる。疑問だよね。

「もうそろそろ東京に入るので、そこで拠点を作ってから、雪祭りを始めるよ。それまで楽しみにしておいて!」

そろそろ到着するんじゃないかな? 前方を窺うと豪快に雪柱をたてつつ、積雪を割って突き進むリルの姿が目に入る。

「アババババ、この駄犬、止まれ、止まれーっ!」

「ヒャンヒャンッ、ヒャンヒャンヒャンッ」

まるで除雪車のように突き進むポメラニアンは、雪の中の散歩を楽しんで、ハッハッと舌を出して、尻尾を激しく振って興奮して走っていた。

もちろん外での放し飼いは駄目なので、リードを持っている散歩係もついているよ。

「げはっ、ゴフッ、ちょ、これ、良いバイトだっていうから、ブフッ、雪が鼻の中に」

リードを持っている不健康そうな青年が、雪まみれになって引きずられています。

「あの新人さん、凄いね〜。リードを絶対に手放していないよ〜」

玉藻が感心して言うので、そうでしょうとニコリと微笑む。

「うん、リードを手放さないように、固めに手に結びつけておいたからね! 犬の散歩一週間100万円で雇ったの」

ヘイムダルは飛び上がって喜び、このバイトを受けたのだ。簡単なバイトだねと、感謝していた。

みーちゃんもニートダルと呼ばなくて良かったよと微笑んで、ヘイムダルを雇うことに決めたのである。

まったく働かない男は、オーディーンのおじいちゃんの屋敷でゲームのハード機を集めていたからね。プレミアのゲームカセットも買い集めて、昔のゲームの方が楽しいよとか、面倒くさいことを口にしていたのだ。

そして、年俸一千万円を一ヶ月で使い果たした。トドメはお金がなくなってきたから、ちょっと競馬で稼いでくるよと、自信満々に競馬場に行って、財布を空にして帰ってきたことだろう。

『千里眼』はどうしたんだと尋ねると、『千里眼』で能力はわかるが、勝負は能力の高さだけでは決まらないんだと言い訳を口にしてきた。なぜに競馬に行ったのか不明の男だった。

渋々働くことに決めたヘイムダルに紹介したのが、可愛らしいポメラニアンのお散歩です。

「犬って、雪だと大興奮しちゃうよねぇ」

カニの身を食べつつナンちゃんが言う。犬は雪を見るとなぜか大興奮しちゃうよね。

「うん。可愛いよね!」

魔物が雪の中に潜って隠れていても、リルは除雪しながら倒していく。さすがレベル120。ここらへんの魔物はまったく相手にならない。

そうして、お散歩を楽しむリルにほのぼのしながら数時間後、目的地へとみーちゃんたちは到着した。

神奈川県と東京の境辺りだ。特に地形に違いはなく、雪に埋まっているけどね。

「とーちゃーく」

とうっと、バスから飛び出るとコロリンとでんぐり返しをして、雪の中を転がっちゃう。少し冷たいや。

「積もったね〜。積雪何センチ?」

「天気予報によりますと、1メートルと少しです」

玉藻が雪をサクサク踏みしめて、周りを見渡す。闇夜が白い息を吐いて教えてくれる。

東京にここまで降り積もるとは、前世ではあり得なかった。1メートルも積もったら、電車は止まるし渋滞も発生し大混乱となっただろう。

この世界は魔法があるせいか石油などが使われていないので空気が汚れていない。昔と同じ天候なんだよなぁ。

「ここを拠点にして、何をするんですか?」

昔は何もない更地だったのだろう。この先となると雪が降り積もる森林が広がっており、車両で入ることは難しい。

「みーちゃんサンタの雪祭りを見せちゃうから楽しみにしておいて!」

ふわふわサタンコスをしたみーちゃんは、小悪魔の尻尾をフリフリと振って、ふふふと口元を手で押さえる。

みーちゃんマジックのお披露目の時間だ。一面の雪景色をバックに驚きのイリュージョンを見せちゃうよ。

「あの……ところであの犬は本当に犬ですか?」

「ししょーが鍛えたポメラニアンだよ、とっても可愛いよね!」

ポメラニアンは凶暴だから、あれぐらいの行動はとるんだ。だから、異論は受け付けません。