軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

153話 お爺ちゃんからのプレゼントなんだぞっと

鷲津家のような奴は、以降は現れなかった。なので、ほのぼのとパーティーを楽しんだみーちゃんでした。ホーンベアカウのローストビーフ最高だったよ。玉藻と手を繋いで、パーティー会場を駆け回ったのだ。

まぁ、パーティーは子供たちだけで良いと思ったけどね。大人たちのプレゼント攻勢は面倒くさいこと、面倒くさいこと。

10歳の少女が宝石をプレゼントされて喜ぶと思っているのかな。少なくとも、みーちゃんは縫いぐるみの方が嬉しかったので、近くにいた見慣れないメイドさんに仕舞うようにお願いしておいた。

これからの鷹野家をパパの双肩が背負っていることについてはだ。

みーちゃんはパパを信じている。今の家族は最高だし、パパはかっこいいのだ。悪徳貴族の重圧には負けない優しくてかっこいい貴族になると信じている。

だけど、まぁ、少しはお手伝いしても良いよね。

次の日に家族とだけのパーティーだ。パーティーの残り物で良いかなと思ったけど、余りは召使いたちが食べるか、持って帰ったらしい。残念。

というわけで、早くもみーちゃんはお手伝いをした。

「ピザにサンドイッチ、鶏の唐揚げを作りました!」

居間にて、みーちゃんは得意げに手を広げてテーブルに並ぶ料理を披露する。

ピザは冷凍食品のプレーンのシートにサラミやトマト、コーンやウインナーを乗せてオーブンでチンだ。

サンドイッチは薄切りをとにかくたくさん挟んで、タマゴサンドはスクランブルエッグたっぷりだ。ちゃんとパンにはバターを塗りました。

鶏の唐揚げは、下味をしっかりと漬けた醤油ベースだ。蘭子さんと一緒に作ったけど、ちょうどよいカラッとした揚がり方だ。

「おぉ〜、みーちゃんが全部作ったのかい?」

「はい、お嬢様は素晴らしい料理の腕でした」

「みーちゃん、お料理頑張ったのね。美味しそう」

他にもサラダやチーズなども置いてある。パパたちは、並んだ料理を見て、笑顔で褒めてくれるので、ふんふんと鼻息荒くほっぺを赤らめて平坦なる胸を張っちゃう。

そうだよね。みーちゃんの料理の腕は一流だ。

具体的には『料理Ⅲ』熟練度6だ。『神聖花のクッキー』を作るために頑張ったんだよ。ゲルズの植物園に宝箱を探しに行った時についでに上げておいた。『鑑定士Ⅳ』もマスターになりました。

毎日夜中に転移して宝箱を探したのに、一個も見つからなかったけどな。ゲームではあったのに……しょんぼりしながら、魔物を殲滅したよ。素材も大量に集まって、忍者もマスターになったので、無駄ではなかったけど、翌日、学校にいくのが物凄く辛かった。

それはともかくとして、なのでみーちゃんはプロ顔負けの腕前だ。まぁ、今回は怪しまれないように、『料理を作る』のコマンドを選択していないから、前世の腕前が反映されているだけだけど。

10歳なのに素晴らしい腕前ですと、うちのコック長が褒めてくれるぐらいの腕前だ。

「今日は魔法の効果のある素材を使ってないから大丈夫だよ!」

「みーちゃんの料理方法は、今度油気さんに見てもらおう」

大丈夫。今回はただ普通に作っただけだよ。

「味見もしたから大丈夫!」

「うん、昨日のクッキーも味見をしてほしかった」

ジト目のパパから顔をそらして頷く。

プレゼントのクッキーを食べたお友だちは、みんななにかに取り憑かれたかのように夢中になって、全部食べたからね……。

「まぁまぁ、あなた。それよりもせっかくみーちゃんが作ってくれたんだから、食べましょう?」

「そうだね。それじゃ、一日遅れだけどメリークリスマス! カンパーイ」

「カンパーイ!」

ママが苦笑して、コップにジュースを注いでくれるので、みんなで乾杯だ。カンパーイ。

家族でのクリスマスパーティーは最高だ。毎年楽しみにしているんだ。

小柄なる身体を精一杯伸ばして、アイスブルーの瞳をキラキラと輝かせ、コップを掲げて幸せいっぱいの笑顔を浮かべるみーちゃんだった。

「鶏の唐揚げ美味しいよ、みーちゃん」

「ふふ、頑張ったのね」

「最近の冷凍食品って美味しいよね!」

美味しいよ、これ。前世の冷凍食品も美味しかったが、この世界でも美味しい。魔法の野菜入りとか書いてあるパッケージが魔法の世界だと思わせるけどね。

しばらくテレビを見ながら学校の出来事を話したり、小さなお口に料理を運び、ちまちまと食べる。

天国でもこんな幸せな時間はないだろうと、ニコニコとみーちゃんは家族でのパーティーを楽しみ、その様子をパパとママは見て、微笑ましそうに優しい笑顔を浮かべる。

最高だよねとジュースをクピクピと飲んで、そろそろメインイベントだと、みーちゃんはすっくと立ち上がった。

クリスマスだからね。プレゼント交換だ。サンタクロースがいないのは、幼稚園で知っているので、あまり風情はないけどね。

「パパ、ママ、いつもありがとう! パパにはこれっ。ママにはこれをプレゼントだよ!」

てててと部屋の隅に置いておいたプレゼントの箱を持ってきて、みーちゃんスマイルで手渡す。

「ありがとう、みーちゃん。なんだろう? ネクタイかな?」

「嬉しいわ、みーちゃん。開けてみて良い?」

「うん、開けて開けて!」

とっても良いプレゼントなのだ。見てほしい。

「なんだろう……。これは……木の指輪?」

ネクタイが入っていそうな、長方形の小さな箱を開けたパパとママは不思議そうな顔になる。

手のひらサイズの素朴な木製の指輪が中に入っていたのだ。一見するとみすぼらしい指輪である。

「うん、『魔木の指輪』だよ! おでん屋のお爺ちゃんに教わって、一緒に作ったの。防御力が30上がるんだ!」

「えぇ……またおでん屋のお爺ちゃんかい? これすごい物なんじゃないかな?」

「普通は耐性効果の指輪を作るから、たいしたことは無いって言ってた!」

防御力しか上がらないアクセサリーは、ゲームでは高レベルになると使わなかった。でも、現実ならば効果はあるだろうと用意したのだ。出処はお爺ちゃんです。

『魔木の指輪:レベル40、防御力30』

「そうなのね……。あ、指に嵌めたらピッタリになったわ」

ママが人差し指に嵌めると、シュッと縮まりピッタリのサイズとなる。

「ウワァ……。これは貴重品なんじゃ……。ねぇ、みーちゃん? おでん屋のお爺ちゃんって、もしかしてこの間お城で会ったドルイドの魔法使いかい?」

自動で装備者のサイズに変わる指輪を見て、驚いたパパが尋ねてくる。良かったよ。やっぱり気づいたか。

「隻眼で槍を使う老魔法使い。ゲリとフレキをくれたおでん屋さん。オーディーンを表す符号が合うんだよね」

居間の隅っこで、犬用の餌をパクパク食べて、嬉しそうに尻尾をぶんぶんと振っている子犬のゲリとフレキを見て、パパが自信なさげに推測を口にする。

神話のオーディーンの話をパパが知っていたのは、ゲリとフレキを預けた時に知ってたから、その推測に至るのではと期待していた。

冗談でもよいし、気になると一言言えば、反応する予定だったのだ。ズバリ口にするとは、さすがはみーちゃんのパパだ。頭良い!

「えへへ。ナイショにするように言われてたけど、ししょーだよ!」

ちっこいおててを口元につけて、ナイショだよと答えるみーちゃんだ。

「やっぱりそうだったのか。なんでおでん屋さん?」

「お金がないから出稼ぎ? 私は良い魔法使いになるって褒めてくれたの! それで弟子にしてくれたんだよ!」

「そうだったのか………それじゃ、今度お礼をしないとね」

「パパたちにお願いがあるって、手紙も貰ってるよ!」

そうだったと、ポケットからちょっぴりくしゃくしゃの手紙を取り出す。

「も〜。そういうのは早く渡すようにね。なになに……弟子とした鷹野美羽の能力は規格外のため、このままでは命の危険があるだろうから、高弟を送る。護衛として雇用するも良し。しなければ、そのまま返すが良い、か」

ふむふむとパパは手紙を読み、ママも横から覗き込む。

「えっ! 高弟さん? でも連絡先が書いてないな?」

驚くパパだが、連絡先が書いていないなと手紙を裏返したりして見る。

「連絡先聞いてるよ!」

「そっか、それじゃ今度会うことにしようか」

「うん! みんな良い人たちだよ! ホテルに泊まってるから、できるだけ早く連絡してほしいって言われてたんだった!」

「えぇっ! それを早く言わないと駄目だよ。みーちゃんがお世話になっているんだ。連絡先を渡してくれるかな?」

「はーい。これ電話番号」

連絡先が書かれた紙を手渡すと、パパはスマフォを手に取り、慌てて連絡する。

「あ、すみません。鷹野芳烈といいますが、はい、はい、美羽がお世話になっております……、あ、はい、いえ……そうなのですか? それでは……」

電話の相手と話し終えると、パパはママとみーちゃんに顔を困惑している表情を向けてるくらい。

「どうしたの、あなた? もしかして先方は怒ってました?」

みーちゃんが手紙を渡さないで放置していたから、怒っていたのではと心配げな表情になるママだが、パパはかぶりを振って否定する。

「いや、明日の午後にお会いすることになったよ。みーちゃんが学校から帰ってきてからだね」

「あら、それじゃお茶菓子を用意しないと」

「ううん、そうなんだけどお弟子さんは3人いるらしいんだ。どうやら私たちの護衛もするようにと言われているようなんだよ。うーんどうしようかなぁ」

戸惑うパパだが、話は明日会ってからと、クリスマスパーティーを再開してくれるのだった。

みーちゃんへのプレゼントは、狼さんの縫いぐるみだった。やったね!

そうして、次の日である。

応接間にて、パパとママとみーちゃんは、高弟さんに会っていた。

「拙者は山手ガモンと申します。鷹野芳烈様を護衛するようにと命じられてきました」

ボサボサ茶髪で無精ひげ、着流しに腰には刀を下げている20代後半だろう男が頭を下げてくる。

「私は山手マツと申します。鷹野美麗様と屋敷の警備をするようにと命じられてきました」

黒髪黒目でお淑やかそうな顔立ちで、巫女服を着込む美女が上品な所作で頭を下げてくる。

「そして私がエイ、アダッ、いえ、ジジイの最高弟である湖畔のいえ、水野ニムエです。鷹野美羽様をお守りするべく、優勝しました」

青髪のセミロング。青い瞳がみーちゃんとお揃いの美女だ。ふふふとドヤ顔で笑いながら頭を下げてくる。

「私たち3人、よろしくお願い申し上げます」

リーダーとなったニムエが代表として、パパへとお願いをするのであった。