軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

86.Sランク冒険者からの救援要請

俺はギルマスに実力を認められた。

ギルド会館へと戻り、さっそく迷宮へと向かおうとしたそのときだった。

「頼む! 誰か助けてくれ! 仲間が危ないんだ!」

女性の悲痛なる叫び声が、ギルド内に響き渡る。

「入り口が騒がしいわね、何かあったのかしら?」

俺はちーちゃんとギルマスとともに、騒ぎの方へと向かう。

そこにいたのは、軽鎧を着た女性冒険者だった。

桃髪の美女なのだが、全身から出血し、左腕がなく、右足は折れていた。

「【セシリー】! なにがあったのだ!?」

ギルマスは青い顔をして、冒険者セシリーに近づく。

「ギルマス! 大変なのだ! 【隠しダンジョン】が発見されたのだ!」

「なっ!? 隠しダンジョンだと!?」

俺とちーちゃんは首をかしげる。

「ギルマス、なんですかそれは?」

「ダンジョン内に時たまに見つかるという、超高難易度の迷宮だ。罠もモンスターのレベルも桁違いだと聞くが……まさか見つかるとは……」

セシリーは歯がみしながら言う。

「私たち【銀翼のカルマ】は隠しダンジョンを発見し、迷宮探索に挑んだ。しかし……道中でモンスターの大群に出くわしたのだ」

とても対処しきれる数ではなかったとのこと。

仲間は助かるために、ギルドに援軍を呼びに行くよう、ひとりセシリーを逃がしたとのこと。

「だいぶ時間が経っている……一刻も早く助けに向かわないと! 頼む! 誰か手を貸してくれ!」

セシリーの言葉に……しかし、誰もがうつむいた。

「……銀翼のカルマって、オレらの中じゃトップの実力者集団だろ」

「……それでもかなわなかったって、その隠しダンジョンめっちゃヤバいってことだろ」

「……おれたちが行っても、死にに行くようなもんだ」

誰も志願しようとしない。

「どうしてだ!? このままではわれらの仲間が死んでしまうのだぞ!? 困っている仲間を助け合うのが冒険者ではないのか!?」

「セシリー……わかってやれ。おぬしらでもかなわぬ敵を倒せる物は、このギルドにはおらぬ」

「そ、そんな……では……」

「あきらめよ。おぬしだけでも助かってよかったと、仲間達も思っておるに違いない」

がくん、とセシリーは膝をついて涙を流す。

「みんな……ごめん……」

その姿を見ていられなくて、俺は彼女の隣にいく。

「俺が行こう」

ざわ……と周囲がざわつく。

「ほ、本当か!? ありがたい!」

セシリーが表情を明るくして言う。

「ちょっと待ちなよ!」

そのとき、マケーヌが憤慨しながら近づいてきた。

「今日冒険者になったばかりのひよっこが、なに調子乗ってるんだよ!?」

え……!? とセシリーが目を剥いて言う。

「おまえは確かに強いけどよぉ! 隠しダンジョンに太刀打ちできるレベルじゃねえんだ! 身の程知らずが、スッこんでろ!」

はぁ、と俺はため息をついて、彼を無視してセシリーに言う。

「時間が惜しい。案内してくれ」

「で、でも……君は……新人冒険者だって……無理だ……行っても死んでしまうだけだよ……」

俺は神の手を使い、彼女の傷を一瞬で癒す。

「す、すごい! この傷を瞬時に治し、し、しかも失った腕まで!?」

ざわ……とみんなが俺のしたことに驚いている。

「うむ、ジークならばもしや可能かも知れぬ。よし、行ってこい」

「わかりました。立てるか?」

俺はセシリーに手を差し伸べて、立ち上がらせる。

「迷宮の場所を頭の中で思い描けるか?」

「う、うむ……しかし、何をするのだ?」

「そこまで転移で飛ぶ」

「て、転移魔法!? そんな高位の魔法を使えるわけが……!」

俺はちーちゃんを近くに寄らせ、セシリーのイメージを元に転移を使う。

基本的に転移魔法は、一度行った場所へしかいけない。

だが救世ノ王となった今、行ったことのない場所へも、限定的だが飛べるようになった。

「なっ!? そんな馬鹿な! 迷宮の前まで一瞬できただと!?」

セシリーが驚愕のあまり、その場で腰を抜かしていた。

「隠しダンジョン内はランダムで道が変わるみたいで、転移ではいけないようだな」

「そんなことまでわかるのね、さすがジーク!」

きゅっ、とちーちゃんが俺の腕を掴んで言う。

「あ、あなた……いったい、何者なのだ……!?」

声を震わせるセシリーに言う。

「ただの、新人冒険者だよ。さ、行こうぜ」