軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

84.ギルド入会テスト

俺は【とある理由】で、ジークフリートという偽名を使い、冒険者をすることになった。

ギルドの受付で手続きを済ませる。

「……ねえねえジーク」

くいくい、と隣にいる人間の美少女が、服の袖を引っ張る。

「……今のアタシ、どう? 変じゃない?」

「……ああ、人化の術はばっちりだ」

今回一緒に冒険者をやるにあたり、おともとして地竜のちーちゃんを連れてきた。

チノは有名人だしな。

人化の魔法を付与した腕輪を身に着けることで、彼女はヒト型を保っている。

「……そうじゃなくって! もうっ! ジークのばかばかっ、どんかんにぶちん!」

そうこうしていると、手続きが終わった。

「さっそくだが迷宮に潜りたい」

この世界に無数に存在する、 地下迷宮(ダンジョン) 。

迷宮はギルドが管理しており、冒険者でしか入ることができない。

俺の目的はそこだ。

「申し訳ございません。迷宮へは実力を認められた、Dランク以上の冒険者でないと立ち入りを許可できないのです」

「そーだよ! 新人がでしゃばるな!」

なぜかこの場にいた元勇者マケーヌが咬みついてくる。

まあもうこいつに対してどうとも思わないので放っておく。

「なんとかならないか。すぐにでも迷宮に潜りたいんだが」

「となりますと、試験を受けてもらいます」

「試験?」

「高ランク冒険者と一対一で戦ってもらい、その実力がふさわしいものであれば特別に立ち入りを許可するという制度があるのです」

なるほど、実力者が冒険者になるパターンもあるからな。

「それでいい。すぐ試験してくれ」

「はい。試験は最短で3日後ですね」

「今すぐは無理なのか?」

「ええ。高ランク冒険者たちは軒並みクエスト中ですので。それにそもそもこの試験すらもそんなに受けようとする人は少ないので」

まあ高ランク相手に戦っても、勝てる見込みは薄いだろうし、そこでケガをするのも馬鹿らしいしな。

「弱ったな。さっさと迷宮に潜りたいんだがな」

と、そのときだった。

「ばっはっは! すごい自信だなぁ! 気に入ったぞ!」

「ぎ、ギルドマスター!」

建物二階の部屋から下りてきたのは、ガタイのいい初老のおっさんだった。

ギルドマスター……こいつが冒険者ギルドの頭か。

「特別にわしが試験をしてやろう」

「ぎ、ギルマス! 危険です、あなたは元Sランク冒険者。それにちょっと……やりすぎてしまうじゃないですか」

さぁ、とマケーヌが顔を青くする。

なんなんだ?

「ばっはっは! いやすまんな。加減が苦手でな。む? おお! 試験の時勇敢にも立ち向かってきたマケーヌくんではないか!」

ギルドマスターはマケーヌに近づき、ばしばしと背中をたたく。

「おいやめといたほうがいいぞ。このおっさん、とんでもなく強い上に容赦ないんだ」

どうやらマケーヌもまた試験を受けようとして、このおっさんとバトルをして、負けたようだ。

「心配無用だ。もう俺に関わらないでくれ」

「なんだよその態度! せっかく親切で教えてやったのによ! あーあ、ぼっこぼこにされちまえ愚かもんが!」

マケーヌを無視して、俺はギルマスに言う。

「試験、よろしくお願いします」

「うむ、礼儀正しい男だな、気に入った! だが容赦はせぬからのぅ」

俺たちは場所を移動する。

ギルド会館の裏手には、冒険者たちの訓練場があった。

彼らが自主練に使う場所らしい。

まあ魔法もスキルも、人のいる場所じゃ使えないし、街の外で無駄打ちするのは危ないしな。

円形の闘技場のような場所だった。

俺はギルドマスターと相対する。

「坊主? 得物は?」

「俺は素手で戦う」

「ほぅ、格闘術の心得があるのか。こちらは遠慮なく使わせてもらうぞ」

がしゃん、とギルマスは両腕に 篭手(こて) を、そしてでかい大剣を手にする。

「これらは迷宮より出土した魔法道具、腕力を超向上させる【剛力の篭手】に、どんな攻撃を受けても決して壊れぬ、刃こぼれせぬ【絶対装甲の大剣】だ」

「ぎ、ギルマス! やりすぎですよ! 相手は新人です!」

ギャラリーである受付嬢が、焦ったように言う。

「手を抜いたら相手に失礼だろう? なぁ」

「ああ、それでいい。さっさと始めよう」

すっ、と俺は構えを取る。

冒険者ギルドのギルドマスター。

元Sランクで、自らを強者と堂々と言ってのける。

そこまで言うんだ、かなりの実力者だろう。

「では……参る! ぬぅううん!」

バキィイイイイイン……!

「「え……?」」

俺も、そしてギャラリーたちも……目をむいていた。

ギルドマスターが宙へ吹っ飛び、白目をむいて地面に倒れたからだ。

その隣には、壊れた大剣が落ちている。

「なっ!? なんだ今のは……早すぎる! 目で見えなかったぞ!?」

マケーヌが驚愕している。

普通にカウンターの掌底を、相手に打ち込んだだけだったのだが……。

「手、抜いてたんだよな、さすがに?」

「くっ、くそ! なんだよこいつ! くそぉ!」

なんか知らんが、マケーヌは悔しがっていた。