軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

27.村を回って防衛策を施す

俺がエルフ軍を退けた数日後。

妹のチノとともに、先日襲撃を受けた村を訪れていた。

「ジーク様だ!」「ジーク様が来てくださったぞぉ……!」

村に入った瞬間、笑顔の獣人達が、ドッと押し寄せてきた。

「ごきげんようジーク様ー!」「うちで取れたお野菜もってってー!」「いやぜひうちによってお茶していっておくれよう!」

もの凄い数の村人達に囲まれる俺たち。

「さすが兄さん、大人気ですね。妹としてとても鼻が高いですっ」

俺はもみくちゃになりながら、村長の家で、村人達の診察をする。

「遠いところまでご足労かけて申し訳ございません。宮廷医師長様に往診に来てもらうなんて……」

「んなこと気にすんなって。みんなが元気でいられるために、医師がいるんだからさ」

村長はその場で膝をついて、涙を突然流し出す。

「おお……! 自己を犠牲にし、か弱き村人のために情けをかけてくれる。あなた様はなんて素晴らしいお人なんだ……!」

「お、大げさだよ……」

村人達を診察した結果、特に後遺症は残っていなかった。

神の手は凄まじい治癒力だが、あまりに強大すぎて体に負担が掛かっていないか心配だった。

杞憂で良かった。

「 飛竜(ワイバーン) たちとは上手くやれてるか?」

「ええ! みな大人しくて素直な方々です」

俺の指示で防衛偵察用にと、飛竜を定期的に巡回させているのだ。

「さすが兄さん。気性の荒いはずの飛竜を手懐けてみせるなんて。本当に凄いですっ」

ぎゅーっとチノが俺の腕を抱きしめて、笑顔で言う。

思ったより膨らみのある胸が当たって、ちょっとドキっとしてしまった。

「それとさ村長。ちょっと壁いじらせてくれないか」

「ええ、どうぞ!」

俺は村長宅の壁に、チョークで図形を描く。

「チノ様、ジーク様は何をなさっているのですか?」

「兄さんは魔法術式を書いておられるのです」

「まほうじゅつしき?」

「魔法陣のようなものです。魔力がなくとも、魔法が発動できる代物です」

「そ、そんな凄い物をジーク様は作れるのですか!? 医師なのに!?」

「兄さんは特別なお人なのです。医術だけでなく魔法にも長けているのです。凄いのですよ」

うんうん、とふたりが感心している。

て、照れる……。

ややあって。

「よし完成。村長、ここに手を置いてしゃべってみてくれ」

完成した術式に、村長が手を触れる。

『あー、あー、声聞こえるか?』

俺が口に出さず、思念を伝える。

村長は驚いた表情で左右を見やる。

「じ、ジーク様のお声が頭に響いてきましたッ! ど、どうなっているのです?」

「これは【 念話(テレパシー) 】つってな、思考を遠く離れた相手に届ける魔法なんだ」

「なっ!? なんと……! そんな高度な魔法を……! わ、わたくしめのような、魔法使いでない一般人が使えるようになったのですか!? す、すごい!」

術式をセットしておけば、誰でも簡単に伝令を飛ばせる。

「また前みたいなバカが攻めてきたときは連絡してくれ」

「ちなみに兄さんは村に入る前に防御結界と緊急転移の術式も施していました。こちらも利用してください」

村長はわなわなと唇を震わせ、俺の手を掴んで、深々と頭を下げる。

「わたくしどものために、ここまでやってくださり、ありがとう! あなた様は我々獣人たちの守り神でございますぅ!」

「ま、守り神って……そんなたいそうなもんじゃないけど」

涙で顔をぐちゃぐちゃにした村長が、何度も何度も頭を下げてくる。

「じゃ、俺そろそろいくわ」

「そんな! もっとゆっくりしていってください!」

「他の村も回らないといけないからな」

「なっ!? なんとっ! 国中の村々にも、防衛策を!?」

「もちろん」

村長はまた涙を流し、何度も感謝を述べた。

村を出る際には、村の獣人達全員から盛大に送り出された。

「チノ、すまんな付き合ってもらって」

術式の細かい調整を手伝ってもらっているのだ。

「全然構いません。私は兄さんと観光ができるうえに、皆さんに認められていく兄さんが見られてホクホクですので」

チノは微笑むと、背後から俺に抱きつく。

「仕えた国のために全力を尽くす。こんなにも真面目で素晴らしい人を兄にもてて、私は幸せです。大好き♡ 愛してます兄さん♡」