作品タイトル不明
238.
俺たちと、ジャマー、最後の決戦の火蓋が切って落とされた。
ジャマーは、10メートルを超えるような、巨大な漆黒の巨人を操っている。
『全てを飲み込む虚無の力を、とくとみよ!』
「虚無の力……?」
ず、ずずずずう……と俺たちの体が、巨人に引き寄せられていく。
次第に……。
ごぉおおおおおおお! と凄まじいまでの力で、俺たちは巨人に引っ張られそうになる。
俺たちは巨人から一旦距離を取る。
「なんだ、アレは……?」
「兄さん。おそらくは、あの巨人の力で、物体が引き寄せられてるのです」
「物体が……引き寄せられている……?」
よくよく観察すると……なるほど。
地上にある木々や大地が、巨人に吸い寄せられていた。
巨人は物体を取り込むと、少しずつだが大きくなっていく。
「ブラックホールに近い性質を、あの巨人は持ってるのでしょう。近づけば全て飲み込まれ、巨人の体に取り込まれてしまうのです」
ブラックホールとやらが何かわからんが……。
ようは、ほっとけば俺たちだけでなく、この地上にあるものすべてを、あの巨人が取り込んでしまうってわけだ。
「ど、どど、どうするのチノぉ!」
シアに翼を付与してもらってるちーちゃんが、慌てた様子で言う。
「全てを飲み込む力だなんて……近づけないし! やつはジークの神の手による力を無効化するのよ!? 敵は無敵じゃあないの!?」
「そうとも限りません。あの巨人にブラックホールに近い性質を持ってるというだけのこと。巨人を動かしてる頭脳を破壊すれば、巨人は停止する」
巨人頭脳……つまりは、巨人を操るジャマーを倒せばいい。
「だからそのジャマーを倒すためには、どうすりゃいいのってことよ! 接近もできないし、遠距離で攻撃しても攻撃は吸い込まれちゃうのよ!?」
それにほっとくと、無限に物体を吸収しでっかくなっていき……。
下手すりゃ、俺たちの住んでる星を飲み込みかねない……。
「が、だいじょーぶだ!」
俺が言うと、ちーちゃんがあきれたように言う。
「大丈夫って……なにか方法があるの?」
「ない!」
「でしょうね……」
「が、どうにかなる! 皆で力を合わせればな!」
確かに敵は凄く強くて、ヤバい力を持ってる。
ピンチであることには変わらない……だが。
俺にはたくさんの、仲間たちが居る。
彼らがいればどうにかなるって、そう思えるんだ。
「あいっかわらず、ジークはのんきなんだから……」
「でも、兄さんのそういうところに、皆引かれて、ここまで来たんです」
「ま、そーね」
ちーちゃんとチノが微笑み合う。
そうさ、なんとかなるのだ!
と、そのときだった。
『準備が完了しました』
「ハク?」
俺の頭の上にずっと乗っていた神獣王の姫ハクが、つぶやく。
『ジーク・ベタリナリの、最終進化が始まります』