軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話:愛し子

ある日のエッセン王国王都。貴族街。

そこに住むのは貴族と決まったわけではないが、資産家の他、王城に仕え領地を持たない貴族たちが住居を構えることが多いためそう通称で呼ばれている区域である。

貴族街の一角には、数百年前から変わらず一つの大邸宅がある。

主は現在女伯爵レグリス・ザブロック。本来爵位は女性に受け継がれることはないが、数年前に先代伯爵ベンジャミン・ザブロックが没した後、王への請願によりその地位を受け継いだ女傑である。

その女傑は今、自室で懐かしい顔と向かい合い、扇で涼しげに自らの顔を扇いでいた。

彼女の敵は何枚も重ねられた重たい衣装に夏の暑さ。

分厚い化粧は汗ですぐに崩れてしまう。汗をなるべくかかぬよう、背筋正しく自らを律し続けるのはレグリス・ザブロックその人。

「呼び立てた日がまずかったようですね」

「仕方ないわ……いいえ、仕方ないことでしょう、ザブロック女伯爵閣下」

レグリスの前に座るストナ・サンディアは気安く応えようとし、言い直す形で礼を直す。

歳は三十代半ばを過ぎて、見た目は未だに二十代に見られるほど。波のかかった長い髪は赤茶色に染められており、娘の黒髪とはかけ離れた色。

ルル・ザブロック帰宅に伴い、彼女の気が晴れればとレグリスに呼び出されたルルの母親である。

「貴方に閣下と呼ばれるのは些か居心地が悪いものです。この部屋には今耳目はないのですから、昔のように接してくださいな」

「とんでもない。私ごとき卑小な小食堂の女将がそのようなことを」

くつくつと笑いながら、ストナはレグリスの前で立ち上がりもしない。現在は伯爵位と無位無冠の一般市民、本来は同じ場所に座ることすら憚られる身分であるにもかかわらず。

無論、双方共にその齟齬は感じている。

だが双方共に、その程度が譲歩のしどころだとも感じていた。

ストナは昔ザブロック家に雇われた使用人だった。先代家令の縁で運良く雇われ、そしてレグリスの侍女ではないが側付きに使われていた身分。

レグリスは宮廷貴族であった子爵家の娘。そもそもに、当時から気安く接せられるわけがなかった。

そして仲のよかった時期もあった。

レグリスが、先代ザブロック伯爵との間に子供が出来ないことに悩んでいた時期。レグリスが苛立ちを周囲にまき散らしていた時期。

眠れぬ夜に一人賄いを作っていたストナが、同じく眠れないレグリスに一杯の粥を振る舞ったことをきっかけとして。

当時を知るある者は、まるで二人が幼馴染みのようにも見えたと語る。人前では主従として、しかし侍女を除いて二人きりのときには、上も下もない単なる友人だったと。

レグリスと同じく子供が出来ないことに焦っていた先代ザブロック伯爵が、レグリスの近くにいた比較的見目麗しいストナに手をつけたのも、その頃だったが。

『種が悪いか畑が悪いか』。悪意はないが、使用人の間でも囁かれていた頃のことだ。

ストナに子供が出来たことを知ったレグリスは愛憎入り交じる感情を彼女に向け、そしてその嫉妬からの『事故』を恐れた先代ザブロック伯爵はストナに大金を与えて副都イラインへと追い払った。

そして至った現在。

隔たっていた身分も更に隔たり、そして確執もどこかに残る。

前と同じようにと言われてもストナも困る。

レグリスとしても、ストナが困るのはわかる。

故に、ストナは多少の無礼を行い、レグリスもそれを無言で許す。その程度が落としどころだと双方納得することにした。

「食堂は順調ですか?」

「ええ。イラインとは勝手が違いますけれどね。私の腕です、流行らないわけがないでしょう」

ザブロック家にいた頃から、この家の職業料理人を凌いでいた腕。レグリスを虜にした料理の腕は勿論彼女も知るところだ。

イラインを離れて王都に店を構えて、もう四年近く経つ。既に店はほとんど常に常連客で埋まり、時には新規の客のために食事中の常連客を追い出さなければならないほどの繁盛ぶりを見せていた。

「一度食べに行きたいところですが」

レグリスは本心からそうぽつりとこぼす。しかしそれも半分冗談にするために、ストナはクスクスと笑った。

「冗談でしょう? うちは労働者向けの大衆食堂。毒味役を置く隙間なんてうちの厨房にはございません」

「わかっておりますよ」

「ルルにでも……失礼、ルル様にでも作らせてみては? あれでも私が仕込んだんですから、下手くそじゃない程度には仕上げてますから」

ストナはイラインの食堂でルルに賄いを作らせていたときのことを思い出す。

まあ合格点は出せる程度には料理については鍛えていたはずだ。芋の皮を剥くときに、自分の手を切らないか心配になるあの手際には笑ったものだが。

「……そういえば、作らせたことはありませんでした。きっと貴方に似て、料理の才能があるんでしょうね」

「どうでしょうか。そこは父親似になったんじゃない?」

私の娘だ、当然だ、と言いたい所だった。けれども、ストナは溜息をついて言葉を濁す。

最後に料理を作らせたのはそれこそ数年前。まだまだ改善できるところはあったはずだ。刀工も火工も中途半端で、まだまだ最高にはほど遠い。

ストナの言葉に、そういえばルルも料理は出来るはずだ、とレグリスは何となく思い出したかのように思いつく。

何せ、この家に来る前は食堂を手伝っていたという。ならば料理はお手の物で、たまに気分転換などで作ってみても……。

そう考えて、レグリスは思考を止める。

気分転換に料理を作る。そういう人間もいると聞く。けれどもルルはそうなのだろうか。

ルルがそうであるとわからない以上、こちらから彼女に料理人の真似事を勧めるのも憚られる。

何せこの三年間、ルルは一言として、『料理を作りたい』などと言ったことはない。

「それでその私の娘についてはどうなっているんですか?」

沈む思考を遮るよう、ストナに声をかけられレグリスはハと気付く。そして咳払いをするように一度扇子を閉じてからまた開き、叱るようにストナを見る。

「今は貴方の 娘(むすめ) ではなく、私の 義娘(むすめ) です」

「ええ。義理のね」

諂いではなく嘲りの笑みを向けられ、レグリスの眉間の化粧に罅が入る。レグリスの胸の内に、ストナ追放の日の嫉妬の炎が僅かに種火として再燃する。

そう。たしかにルルはこの女の娘。

そして今は、私の義娘。

パタパタと扇子を動かして心の内の火を消そうとするレグリスに構わず、ストナは何の気なしに部屋の中を見回し口を開いた。

「城から帰ってきてから塞ぎ込んでいる。そう聞きましたが?」

「塞ぎ込んでいたのは以前からです。サロメ……彼女の侍女からの報告では、大分持ち直していたようですけれど」

王城での生活の報告は聞いた。サロメも詳しくは知らないが、ルルは何かの悩みを抱えていたのだという。そしてその悩みを探索者カラスに打ち明けて、気分も晴れて、少しだけ明るくなったのだ、と。

おそらく『詳しくは知らない』というのは嘘なのだろう、とレグリスは思う。正しくはおそらく城に出た使用人のうちで共有し、そして秘密にするよう取り決めをしたのだろう、と。

レグリスにとって、その『悩み』は重要ではない。

家を揺るがす一大事ならばいざ知らず、その辺りも弁えているであろうサロメが秘密にしても構わないと思う秘密だ。

ならばその『悩み』がどういったものであるか、ではなく、ルルの気鬱が晴れたことのほうが重要だ。

そしてその悩みが真に晴れているであろうことは、城から帰ってきたルルを見て、何となく察しがついていた。

ならば問題はない。城でのことに問題などなく、雇った探索者二名や連れて行った使用人三名はそれぞれ成果を上げてくれたと考えてもいいのだろう。

問題なのは、その後だ。

「城に出た際連れて行った探索者……貴方も知っている、カラスという少年ですけれど」

「カラス……?」

「黒髪の、ルルがイラインからここに来るまで護衛してくださった」

ストナはその名に見当がつかずに首を傾げる。しかし、記憶の中ですぐに見つかった。元々探索者と関わることなどそう多くはなく、そして護衛といえば二人しか浮かばず、更にもう一人はたしか女性だった。

そうか、あの少年が。

「縁があるからと、あのときの二人の探索者に城での警護をお願いしました」

「そうですか。で、あれが?」

「今、戦争に出ていましてね。心配だと食事も喉を通らない様子で」

「そんなことで私をお呼びになったんですか」

へ、と笑い飛ばすようにストナは聞き返す。『そんなことで』と『わざわざ自分を呼んだのか』と、二つの意味を込めて。

「…………」

「喉を通らなかろうが、お腹が減れば食べますよ。あの子は」

「……貴方はあの子が心配ではないの?」

「私の娘です。心配はいりません」

ストナは耳をそばだてる。それで耳の感度を上げるような訓練はしていないが、それでも外の音が不明瞭に何とか存在だけ聞き取れた気がする。

「今日来てるのは友達でしょう?」

「…………城で友誼を結ばれた方々だとか。クロックス家とラルミナ家のご令嬢が、ね」

「なら母親の出番なんてそもそもありませんよ」

覚えがある。

まだ十代中盤の若い頃。友達というのは親よりもむしろ近しい間柄だ。苦しみを分け合い、喜びを分かち合う。

その頃子供は親の手を離れ、それぞれの独自の世界に進んでいく。

そこでの親の手助けは、むしろ邪魔だ。

「私たちの出番があるとすれば、あの子が自分から泣きついてきたとき、でしょう?」

「貴方は何もしないというのね?」

「貴方もよ。私たち二人は今はただ見守るのが仕事」

ストナはぼんやりと遠くを見る。

レグリスに手紙で召喚され、繁盛店を休ませ無理に時間を作ってここまで来た。『ルルの話を聞いてやってほしい』と。

けれど不要だった、とはこのザブロック邸に来て知った。

ルルと友人関係にあるとされるルネス・ヴィーンハートは、レグリスが引き合わせた関係だ。個人間で仲が良いのかもしれないが、それでもきっかけがきっかけだ。作られた関係というのは否めない。

レグリスの部屋に来るまでに、遠目にルルたちの様子は見た。

金髪の長身の女性と、小さな帽子を被った栗色の髪の女性。どちらもルルよりもやや年上のようだったが、格式張ったような緊張感はなく、そしてルルも何かしら気遅れしている様子はなかったように思える。

あれが、城で、ルルが独自に作った友人。

もしそうならば心配はない。一人、二人と友人が作れるならば、もう心配はない。

何かしらの原因で塞ぎ込んでいても、訪ねてきてくれる友人がいる。ならば。

「ルルは私たちの手を離れた、ってことでいいんじゃないでしょうか」

「…………貴方のその性格を忘れていました」

ストナの言葉が半分腑に落ち、半分納得できずにレグリスは眉間を揉む。手袋に白粉がこすれ、膝の上にパラパラと余った粉が落ちた。

「まあ、わかりました。でもせっかく来ていただいたんです。夕食はご一緒していただけるでしょう?」

「そうね。ルルとも積もる話があるもの」

二年ほど会っていない娘の顔を思い出し、ストナはふと微笑む。誰しもが、十代の頃ともなれば人が変わる。文でのやりとりではわからない変化。どのように彼女は変わっているだろうか。

近況を報告し合い、出来れば笑ってまた別れよう。彼女が夕食を食べなければ叱るくらいはしてもいいとは思うが。

「それまで時間はあるわ。政務はありますの?」

「今日はもう自由時間ですね。……そうね、それまで私たちも積もる話に花を咲かせるといたしましょうか」

レグリスは扇子を閉じ、唇も隠さずストナに晒す。それから部屋の端で待機していた侍女に向かい口を開いた。

「カプラ、お茶の用意を」

「かしこまりました」

侍女がしずしずと部屋から出ていき、それを確認してストナとレグリスは顔を見合わせる。

ほんの短時間、娘のことで話しただけ。けれどもなんとなく、戻ってきたと感じた。仲の良かった『あの頃』が。

では話をしよう。

そうした空気を二人ともが放ち、姿勢を僅かに崩す。どちらが話題を出すかなど些細なこと、どちらから出たかもわからない小さな話題から、雑談とは広がっていくものだ。

ストナは思い出す。そういえば、と頭の上で何かが光った気がした。

「そういえば、さっきのルルが執心してる探索者のことで」

「執心というのは言い過ぎではないですか?」

咎めるような口調だが、咎めているわけではない。ただの合いの手で、ストナもそれをわかっている。故に言い返さず、ただ笑みを強めた。

言いながらストナの脳裏にある言葉が浮かぶ。それは、娘を持つ母親の多くが持つという愉悦に似た感情と一緒に。

そうか、あの子が、男の子を。

一瞬だけ目を細め感慨に耽ったストナは、いけない、と気を取り直す。

「面白い話があるんだけど」

話し始めたその時、部屋の扉が開き、銀の手押し車を押したカプラが入ってくる。上には高級の紅茶と、いくつかの菓子をのせて。

久しぶりの母との緊張する夕食を終えて、ルルは床へと就く。

既に夜。窓の外には銀の光に照らされた青い暗闇が広がっていた。

寝台に腰掛け、俯き手を顔の前で組む。

それはザブロック家に帰ってきてから毎日のように行う儀式。朝も昼も夜も。

(どうかあの人が無事に帰ってきますように)

誰に祈っているのかはルルもわからない。最初はエッセンの人間が自然と祈る聖教会の神に祈ろうとして、それも何かが違うと思えた。

ただ窓の外に向かって、あらん限りの安全を祈る文句を心中で投げかける。

超常の存在というものを信じているわけではない。窓の外、外の世界には何かがいて、願いを叶えてくれる、……などとも信じていない。

(どうか千の刃と万の矢が、あの人を傷つけませんように)

それでも、祈るというのは古代から続く人間の性だ。手を組み、また手を合わせ、頭を垂れて自分よりも遙かに巨大な何かに祈る。困難が自分の上を通り過ぎていきますように、苦難が自らを襲いませんように、と。

自分ではない誰かのために祈るという尊い行為が出来る者は、思いの外少ないものだが。

やがて眠気がルルを襲う。

ぴっちりと隙間なく張られた掛け布団と敷布の間に細い身体を滑り込ませ、身を締められる感覚を覚えながらもルルは目を閉じた。

柔らかな枕が頭を受け止めるが、疲労にそのまま枕を突き抜けて沈み込んでいく気がする。

目を閉じれば、すぐに暗闇の中にぼんやりと何かが浮かび、弾けるようにして姿を変える。寝付きはいい、ということはルルの自慢の一つだった。

(……サロメが卵焼きになるから、じゃあ私は腸詰めを食べて……)

寝入り先の混濁した思考。以前はそこに誰も現れなかったはずなのに、今は幾人かがそこに現れる。

(ふふ……美味しそう……紫色の鍋で焼いたカラス様……三枚に下ろさなきゃ……)

サロメ、ティリー、ディアーヌ、オトフシ、そのほか幾人もの出会ってきた人間たち。……それに、カラス。

以前は、生理現象以上の感慨を持たなかった睡眠の時間。

それが最近では、日々の楽しみの一つになっているとルルは思っていた。

続く無意味な混濁した思考。溶けた思考が止まる頃、夢の世界にルルは飛ぶ。

そして、いつもの夢を見た。

嫌なわけではないが、まただ、とルルは感じた。

石畳を踏み、自分は何かを探している。

ここはどこかの街なのだろう。霞む景色が夢だからなのか、それともそういう所であるからなのかはわからないが、きっとそうなのだろう。

きっと自分は泣いている。街の中、雑踏の中立ち尽くし、何かを探せずに。

多分街の中なのだろう。滲んだ水彩画のような歪んだ風景は、その細部を見せないが。

自動的に身体が動く。この手はきっと少女の手。少女というよりも幼女の手で、自分は誰かを探している。

いつもの夢だ。

ルルはそうどこか落ち着いたままそれを見ていて、恐慌に陥っている自分と冷ややかに見ている自分の二つがいる。

ならばそろそろだ、とルルは思う。

そろそろ自分は歩き出すだろう。そろそろ誰かが自分の前を歩き導いてくれる。

いつもの夢。

変わらない夢。

イラインにいたときから、王都に来た今まで、何度も何度も見た夢。

目の前に誰かが来た。いつものように。

しかし今日は、いつもとは違う。

目の前にいたのは『誰か』ではなく、知っている人で。

黒紫の五色に輝く外套は決闘騒ぎの時に見たもの。眼鏡は外しているが、それは最近よく思い描くあの人の。

「……探しているものがあるんです」

自分の口が、勝手に言葉を紡ぐ。

その言葉を落ち着き払って聞いていた『彼』は、微かに驚いたように目を開いてから、笑みを浮かべて口を開いた。

「母親ですよね」

ルルはその言葉に驚き、そしてそれが真実だ、と思った。

視界が開けた感覚の後、周囲の景色ががらりと変わる。先ほどまでのぼやけた世界ではなく、鮮明で、建物の石造りの埃までもが見えるように。

彼は踵を返す。困惑が頭に浮かんでいるルルとは違い、迷いのないたしかな足取りで。

「見つけた場所は覚えています。行きましょう」

「覚えて……? ……あの……?」

だが妙なことを言う、とルルは思った。

知っている、ではない。たまたま現れた彼が、ルルの母親を一緒に探してくれるというわけではない。

一緒に探そう、というわけでもない。たまたま今日は夢に出てきた彼が、『…………』の代わりをしてくれるわけでもない。

あれ? と声に出さず、ルルは驚く。

いつの間にか、自分が目の前を歩いていく。自分といっても今の自分ではなく、昔の自分。おそらく五歳か六歳程度だろう、小さな。

幼女がとぼとぼと歩き、そしていつの間にかそこにいた少年に連れられていく。その茶色く着古した服の裾を縛り、無理矢理着ている姿。少年も、少年というよりも幼児という幼さだったが。

そして『彼』もその二人を見送り、戸惑うように立ち止まった。

それから振り返った顔は、仕方ないな、と笑っているようにも見えた。

ルルはその顔に、意を決して誰何する。既に知っているはずなのに、まるで初対面にも思えた。その上何故だか、懐かしい。

「……カラス、様?」

「これはルル様。このようなところでお目にかかれるなど」

カラスが軽く頭を下げる。敬礼ではなく、会釈程度の軽いもの。城ではあまり見ることのなかった折り目正しくない印象が新鮮だった。

カラスなのだろうか。

そう考えて、ルルは頭を振る。わかりきったことだろう、これはカラスだ。

しかし、カラス本人なのだろうか。もしかして。

無意識に一歩歩み寄り、ルルはカラスに手を伸ばそうとする。

本人にやったことは勿論ないが、顔や身体を触ってみれば何となくわかりそうな気がする。それは夢の中故の大胆さだったが、彼女自身の好奇心の発露でもあった。

「これはいつもの? じゃなくて?」

呟いてもカラスは答えない。

触ろうとして触れず、結局ルルは諦めて手を落とした。

「これは現実でしょうか?」

再度ルルが尋ねると、カラスは笑みを浮かべる。その笑みが悲しそうに見えたのが、ルルには印象的だった。

「いいえ。今僕は戦場にいて、ルル様はお住まいに戻っていらっしゃいます」

そして吐かれた言葉は、ルルの認識と大差ない。そうだ、そのはずだ、とルルは頷く。

「ですよね、じゃあ、やっぱりこれは、夢」

なるほど。夢に見るまであの人のことを考えてしまったのだ。

そうルルは考え、何故だか恥ずかしさではなく、誇らしさを感じた。

しかしこれが夢。

ルルはいつもの夢に、いつもの夢ではないところを感じた。

いつもの夢はここまで鮮明ではない。声の出方、踏みしめる地面の感触、風景、勿論その全てがどこか現実味がなく間違いなく夢だとは思えるものの、それでも思考する余裕がある。

たまに夢の世界で意識を保つ人がいる、とルルはどこかで聞いたことがある。

今回はそれなのだろうか。自分がたまたま、そうなってしまったのだろうか。

いい機会だ。

これがいつもの夢でも、そうでなくとも構わない。

先ほど、探しているものがある、と自分は口にした。その探しているものが『母親』だと彼は言い当てた。

……言い当てたというのは本当はわからないまでも、少なくとも今回の夢はそうらしい。

ならいつもの夢もそうなのだろうか。

そうだ、今聞けばいいのだ。今確かめればいいのだ。

何の根拠もなしにルルは今回で夢の疑問を晴らそうとする。いつも見ている曖昧な夢。それが確かなものとなって今目の前に広がっているのだから。

少なくとも、今目の前にいるカラスは、真相に近いのだろう。彼も自分が作り出した夢の産物だったとしても。

ルルは先ほど子供時代の自分たちが走り去っていった角を見た。

今日は周囲に人はいない。いつもの夢では、自分たちは雑踏をかき分けて大声を上げて進んでいったというのに。

「……お母さんを探していたんですか?」

「そうですね。ルル様がお母様とはぐれてしまい、大泣きをしていたところです」

積年の疑問。それを尋ねたルルに、カラスが即答する。嘘ではないと感じた。

カラスが懐かしそうに街を見回して、最後に視線を足下に落とす。

そこに落ちていた影にルルは違和感を覚えたが、それ以上のことは考えられなかった。

「…………」

それからカラスが何事かを呟くが、ルルには聞き取れなかった。

「え?」

聞き取れず、その疑問も次の瞬間消えてなくなる。

コツコツと革靴を鳴らし、カラスが道の端に寄る。

それからじっと、彼がルルを見つめた。

懐かしそうに嬉しそうに。または安心したように。

ルルは困惑し、その動作を見守っていた。何故だかわからず、胸の中に焦燥感が満ちていく。

そして口を開いたカラスの言葉に、ルルの心臓が跳ねた。

「この人生最後の思い出としては、納得のいくところですね」

「人生、最後というのは?」

どういうことだろう。人生最後、という言葉。その意味を理解しようとして、ルルの脳が考えることを拒絶した。

人生最後の思い出。その言葉はあまりにも後ろ向きで、そしてこれから生きる人間には似つかわしくない言葉。

そういえば、とルルは今更ながらに不安に思い、自分の襟元を握りしめる。

いつもの夢と違うのだ、これは。

いつもならば、自分は先ほど消えていった幼女の役なのだろう。彼の言葉では、自分は母親を探してこの街を練り歩くのだろう。

なのに今日は違う。

夢枕に立つ、という表現がある。死者が何かしらの忠告をするため夢に出てくるということ。

ルルもそれは知っている。何度か本でもそのような小話を見たことがある。

主人公は遠方に出た誰かの夢を見る。誰かは別れの言葉や頼み事をする。そういった場合、物語の中でその誰かは大抵、死んでいるのだ。

そこまで考えてしまえば、ルルの胸中に不安が満ちる。

カラスが夢枕に立った。もしやこれはそういうことなのではないだろうか。

彼は今戦場にいる。先ほど目の前のカラスもそう言っていた。

そして今自分は王都にいる。物理的に、どんなに願っても会える距離ではない。

緊張に、心臓が早鐘を打つのがルルの耳に聞こえた。

これはいつもの夢だった。けれども既にいつもの夢ではない。

まさか、目の前の彼は、本当に彼だというのだろうか。

今際の際に最後の力を振り絞り、もしくは既に力尽き、その後何かしらの伝言を伝えようとしているのだろうか。

嫌な夢だ。もうすでにいつもの夢ではない。

ならばこれは悪夢だ。

ルルは自分の顔が強ばったのが如実にわかった。もともと表情の少ない彼女だったが、その上で、なお。

ルルの内心を顧みず、カラスが言葉を続ける。

嫌だ、とルルは思った。夢の中でなければ耳を塞ぎたい気分だった。しかし耳を塞ぐほど自らの身体を操ることも出来ずに、夢の中の自分はじっと彼の言葉を待つ。

歯がゆく、そして腹立たしかった。

止めなければ、目の前の彼が何かを言うのを。最期の言葉など聞きたくはないのに。

しかし無慈悲にも、カラスは口を開き、そしてルルの身体もそれを塞ぐことはしない。

「もうすぐ僕、死ぬと思うので」

カラスは穏やかに、そしてさっぱりとした顔でそうルルに告げた。

……。

「ああ、よかった」

そしてルルはその言葉に、どこか安堵する自分がいることを感じた。

別れの言葉ではない。何かしらの伝言ではない。安心できることはまずその一つ。更にもう一つが、彼女の心に湧いた暗雲を取り払った。

「カラス様がいつもの夢に出てくるくらいですから、何か意味があると思ってしまいましたけれど」

何を馬鹿なことを考えたのだろう。そう彼女は自嘲する。

だって彼は。

「……やっぱりただの夢なんですね、これは」

「夢ですよ」

ルルの言葉にカラスが同意する。その仕草にも嘘が見えず、ルルは安心して鷹揚に頷いた。

だろう。その通りだろう。

だって彼は自分に向けて言ったのだ。

「だって」

あの戦勝祈願の舞踏会で。絞り出すように自分が口にした言葉に、力強く応えてくれた。

彼は嘘を吐かなかった。だからあの言葉は真実だ。

だから。

「カラス様は約束してくださいましたから。生きて帰る、と」

彼はそんなことを言わない。

ルルはそう信じている。

だからこれは単なる夢だ。単に彼のことを考えていた自分が、いつもの夢を少しだけ変えてしまっただけの。

カラスはその言葉に、目を丸くして、あっと何かに気が付いたように声を上げた。

瞬間、けたたましい音が鳴る。

ルルは耳を塞ぎ、視界までがどろりと溶けるように歪む。

だがそれも一瞬のこと。視界が晴れたそこには誰もおらず、ただ何もない街だけが広がっている。

なるほど、ここはイラインだ。ルルは改めて納得し、その風景を見回した。

遠くどこかで誰かが話す声がする。おそらく市場の売り子の声だろう。または何かの屋台の呼び込みの声だろう。

美味しそうな匂いがどこかから漂う。おそらく蛇の蒲焼きだろう。臭いがきついものもあるが、きちんと処理されたものはとても美味しい。

そういえばこういう場所だった。イラインとは、自分が生まれ育った街とは。

遠く見上げれば、白く高い塔が見える。

一番街、白骨塔と呼ばれる聖教会の施設。時折煙を吐き出す白亜の塔は、人が死ねばそこに骨が収められるという。

だが子供たちにとっては道に迷わないようにする基準に過ぎず、その意味を知ったのはルルも十歳を数えてからだ。

懐かしい。

そうルルが感じたと同時に、はたと思い出す。

そうだ、たしかにそういうことがあった気がする。

母親に連れられて街中に出たとき。迷子になり、誰かに助けてもらった気がする。そうだ、たしかにあの時は、同じくらいの年頃の、たしか、男の子、で……。

べり、と音がした。

ルルの見ている目の前で、風景が破ける。ほんの僅かに空間に入った亀裂から、ルルの指先と同程度、ごくごく小さな手が突き出る。

まるで風景を描いた絵画を裏側から破くようにして、両の手が亀裂を広げる。バリバリと音を立てて。

破かれた亀裂の向こうは純白の霧のようなもの。

そこから現れた人形のように小さな少女、もしくは女性は、息継ぎをするように「ぷは」と息を吐いた。

夢の中とはいえ荒唐無稽に過ぎる。ルルはそうどこか冷静に考えながらも、目を丸くし彼女を見た。

少しの驚きと興奮が胸中に湧く。夢の中だとわかっていても。

少女の見た目は十代後半。ルルよりも少しだけ年上程度。だがどこか幼くも見える。

人を八分の一程度に縮めた精巧な人形にも似て、腰まである金の髪が光を弾いた。白く薄い布を幾重にも巻いたような羽衣を身に纏い、背中には鱗粉を振りまく羽がある。

美しい少女、または淑女。そう伝えられていた彼女の見た目は、まさしくルルが聞いた伝承のままで。

「あれま。あの子の思い出を辿ってたのに、ここ違う子のね?」

夢の中だ。その登場人物は全て想像のもののはずで、失礼などあるはずがない。緊張することもしなくてよろしい。そうルルは思っていた。そのはずだが、目の前で喋る『実物』には、声が出なかった。

「あら、ここ貴方の夢? なんで混線してるのかしら?」

ふむふむ、と顎に手を当てつつ、その小さな人形はルルを頭から足まで見る。

それから「んー?」と何度も声を上げつつ、こんこんと何もない空間を叩いた。

「……ア、アリエル様……」

ようやくルルが言葉を絞り出す。

緊張などする必要がない、と思いつつも、目の前の伝説に何を言っていいのかわからない。

〈妖精〉アリエル。または〈大妖精〉とも言われている彼女。

歴史上、夢のように現れ夢のように消えていったとされる妖精。お伽噺でも与太話でもなく、史実として名を残す唯一の。

そして実在したとされる、唯一の。

石畳にハッチを創造し、中から噴き出してくる魚の群れを避けて見上げていたアリエルが、名前を呼ばれて振り返る。

意外だった。

「貴方私が見えるの?」

「見てます、いえ、いいえ、見えます見えます」

うぇええ、と声にならない声を混ぜながら、ルルは答える。

アリエルはその気弱な様子に僅かに苛つきながらも、浮遊し目の前に寄る。ルルの瞳を覗きこみ、その中の星を数えた。

なるほど、たしかに見えているらしい。

珍しい、とアリエルは思う。この時代のエッセン、 肉(肉体) の影響を受ける現実世界でならばまだしも、夢の中で妖精の姿を見る人間などそうそういないのに、と。

夢の中で妖精の姿を見るため方法。それは、妖精の姿を夢に見る、それだけなのに。

これはもしや。

「カラス」

「え?」

一言だけアリエルが口にした単語に、ルルの肩が震える。それがどうした、と何故だか言い返すところだった。もちろん、言い返すことなど出来はしないし、言い返すまでもないことなのだが。

「あの子から、私のこと聞いた?」

「私……? アリエル様のこと、ですか??」

要領を得ないルルの回答に、アリエルは『違ったか』と直感した。

カラスの思い出を辿ってきたはずのアリエルが、何故だかこの娘の所に辿り着いた。ならば見知った顔であるはずだし、思い出を共有するほどの深い仲なのだろう。

そうであるならば、カラスが語った話のおかげで自分が見えているのか、などと一瞬思ったがそうではないらしい。

ではならば、……これはどうしたことだろうか。

「そうねえ、そこまで小さな子には見えないし、……そもそも、今何歳よ?」

「私は、その、十六ですけれど……」

「で、カラスは?」

「え?」

今は何時の時代だろうか。それを知るためも兼ねて聞いたアリエルの質問に、ルルは言い淀む。

そういえばどれくらいだろうか。自分と同年代であろうことは知っている。そもそも昔に、同じくらいだと聞いたことがある。ディアーヌやティリーよりも下で、自分より下ではない……と思う。

「同じくらい……でしょうか」

「OK.わからないってことね」

ふう、とアリエルは溜息をつく。それでも十六歳……ということは、以前会ったときからすると三年から四年ほどは経っているはずだ。

地上の時間は忙しない。一応の息子がどれほど育っているかもわからないくらいに。

しかし十六歳。なるほど、無理はない。

そうアリエルは納得する。

親友の一人が自分と出会ったとき、彼女はたしかそのくらいだった。

埒があかないな、と考えたアリエルが、ルルに背を向けて空間に手を翳す。

ここがカラスの夢でないのであれば用はない。そもそも気まぐれで、彼の思い出巡りを始めただけだ。息子の夢になど真に興味はなく、他の誰かの夢にも興味はない。

とりあえず混線してしまった理由と、この思い出の内容だけを調べたら次へ行こう。

そう決めたアリエルの指先が、空間に現れた糸を摘まむ。

空間の記憶、もしくは運命の糸と呼ばれるもの。弦を弾くようにして音を奏でれば、アリエルの耳がこの夢の詳細を捉えた。その夢の中にいる、今のルルのことも。

「そう、……ああ、……うん、そう……」

目を閉じ、会話をするように頷き始めたアリエルが、思考を咀嚼する。

この思い出は、カラスがエッセン王国イラインで暮らし始めた最初期のもの。そしてそこで出会った彼女と……。

そして目を開けたアリエルの顔が、だらしなく歪んだ。

「へえ、そうなの。あの子が、ねえ。へええ」

先ほどまでと違う種類の表情を向けられ、ルルは蹈鞴を踏むように一歩下がる。

何の話だろうか。何のことだろうか。どれ一つとしてわからぬままに。

「……あんたも物好きね」

そしてぽつりと呟かれた言葉に、心を全て見透かされた気がして「ほあ!?」と無意識に声が出た。

なるへそ、と呟いてアリエルがルルの前にパタパタと羽を鳴らして近づいていく。

息子の連れてきた彼女。そう考えれば、自分はここで意地悪でもするべきだろうか。

いいや、とアリエルは内心自分の考えを否定する。

息子と惹かれあっている少女ではあるが、まだ彼女でも何でもない。よくて女友達、その程度だろう。ならばまだ毛嫌いするほどでもなく、温かく見守るべきだろう。

ならば重要なのは、自分が見えるということ。

気が変わった。

妖精は夢見る少年少女の味方。

ならば今自分がするべきなのは、自分の姿をこの目で見た彼女の味方。

「あの子、結構嫌な奴よ? 後ろ向きで消極的で悲観的で」

少なくとも、アリエルの見てきた彼の前世はそうだった。今世でも、その根っこは変わらないだろう。アリエルもそう思っている。

「帰ってきても、貴方を幸せには出来ないわ」

「かもしれませんけど」

何の話をされているのだろうか。ルルはそう思いつつも、何の話をしているのかわかる気がした。これで見当違いな話であれば恥ずかしさに顔から火が出る思いではあるが、とも。

「それでも、無事に帰ってきてほしい?」

どうやら夢を見た彼女の頭の中には、その願いがあるらしい。だからあの子のことを考えて、だからあの子の思い出と混線してしまったのだろう。

アリエルはそうほとんど間違いのない推測をし、ルルに言葉を重ねていく。

言い淀むようならば、もしくはそれを口にしないようならば、この話はここでおしまいだ。私は黙って夢を出ていく。皆が自分のことを忘れるように、私も彼女のことを忘れるだろう。

強い願いならば、夢の中でも口に出来るはずだ。

「はい」

そしてルルの言葉に、凜とした表情に、アリエルは頷く。

そうか。で、あるならば。

「なら安心して待っていなさい。大妖精アリエル様は、夢見る女の子には優しいの」

約束しましょう、と小さな小指をルルへと差し出す。

「……?」

「絡めて。勇者の国の約束の儀式よ」

ルルは言われたとおり小指を差し出すが、アリエルの小指はルルの爪の先と同じようなものだ。絡めるまでは不可能な差がある。

仕方ないな、とアリエルは指先を触れあわせるに留めた。

「約束を守らなかったら針を千本飲んで一万発ぶん殴られてぼっこぼこにされても構わないと誓います」

「……えっ!?」

そして突然の物騒な言葉に、ルルは反射的に指を引きそうになった。妖精の契約故に、彼女も知らずに離すことが出来なかったが。

クスクスと笑って、アリエル側から指が引かれる。

「大船に乗った気で待っていなさい。私はあの子を無事に貴方の所に連れて帰る。貴方は……」

アリエルが何事かを呟くが、それよりも大きくルルの耳に銀の手押し車の車輪の音が響く。

いつの間にか視界の中がぼんやりと明るい。

「失礼します、お嬢様」

その声にルルは目を開く。そこは自室の天井、日が昇り、明るくなって。

がばりと起き上がり横を見れば、寝起きの準備をする侍女サロメの姿があった。笑いそうになっているのを抑えつつ水盆に香油混じりの温湯を注ぐ。

「今日は珍しいですね。お疲れでしょうか?」

いつもは下手すれば、侍女であり世話をする自分が起きるよりも早くに起きて待っているはずの主。それが今日は随分と寝坊をした。その姿が面白くて、サロメが機嫌よくルルに声をかける。

「……いえ」

ボンヤリと自室の風景を見つつ、今し方見ていた夢を思い出す。

いつもの夢。自分が誰かに連れられて、何かを探す夢。だったはず。

それは今日、カラスが自分と一緒に母親を探してくれる夢だったと知った。

何故だかルルの瞳に涙が浮かび、ぽろぽろとこぼれ落ちてくる。

夢の中の話だ。カラスと出会ったのが本当にそうだという確証はない。むしろ、そうではないことの可能性が高い。

だが、そうではない気がする。出会ったのは、この王都に来たときではなかったのだという確信がルルの中で湧く。

何故忘れていたのだろう。

そんな大事なこと。幼い日の大事な思い出になるはずだったこと。

それが悲しいわけでもないはず。そうではないのだと思う。

そうではないと思いつつも、ルルは目を擦って涙を止める。

謝らなければいけない。

彼のことを覚えていなかったことを。

彼も覚えていないかもしれない。けれど、それでも。

サロメが気付くまで、ルルはぽたぽたと涙をこぼし続けた。

気付いたサロメが慌てて差し出した清潔な布に顔を伏せ、ルルは涙を押しとどめる。

そんなルルの脳裏に、一つの疑問が湧いた。気にならないような小さなものが、何故だか気になって仕方がなかった。

最後に聞こえた『忘れないでね』の言葉は、誰のものだっただろうか。