軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

039 学園の始まり

「ふぁ~……」

学園長の話とか、お偉いさんの話はなんでこんなに眠くなるんだろうな……。

「ジル様、しっかりしてください。もう、入学式で寝ている生徒なんてジル様しかいませんでしたよ?」

「わかったから、叩かないでくれ」

隣を見れば、黒を基調とした学園のブレザー制服を着たアリスがプンプンと怒っていた。そんなアリスもかわいらしい。アリスかわいいよアリス!

しかも、この学園の女子制服はミニスカートなのだ!

これでいつもは隠れているアリスの靴下に包まれた脚線美が丸見えである。これだけでこの学園のことが好きになれそうだ。

今はもう廃れているけど、昔は足を見せるのははしたないという考えがあったからか、女子生徒の多くは長い靴下やタイツを身に着けていた。

そしてなんといってもガーターベルトだ。そんな長い靴下の女子生徒が多いからか、ガーターベルトが現役で使われている。

ガーターベルトに熱いものを覚えるオレとしては、ここは楽園だな。

「ジル様、鼻の下が伸びております」

「おっと……」

慌てて鼻の下を擦ると、アリスがジトッとした目でオレを見上げていた。

しまった!? 罠か!?

「誰の何を見て鼻の下の伸ばしていたんですか?」

「あーっと……。違うんだよ、アリス。オレは別に誰かに目を奪われていたわけじゃなくて……。その、ね?」

アリスはジトッとした目でオレを見て頬を膨らませていた。

進化してる!?

「違うんだよ、アリス……」

「いいんです、いいんです。ジル様はえっちですからね。…………わたくしに頼むのなら見せてあげなくも……。いえ、アリス。それはさすがにはしたなすぎるわ……。でも、ジル様が他の人を見るくらいなら……」

なんか後半がごにょごにょで聞き取れなかったが、アリスは気分を害しているらしい。これはマズい。

いいか、ジルベール? 今のオレはホストだ。ホストだ。女性を褒めるのなんて朝飯前のイタリア男だ。

いける!

「アリス、その、アリスの制服姿があまりにも眩しかったから、ついよそ見をしてしまったんだ」

「本当ですか?」

アリスは疑わしそうな目でオレを見ていた。そうだね。今のセリフは普段のオレなら恥ずかしくて言えもしないような言葉だ。アリスからしたら、「こいつ、いきなりなに言ってるんだ?」と思っても仕方がない。

「本当だとも、可憐なお嬢さん。キミの姿を見るだけで、オレの心が浄化されそうなほどだ! まさに天使! アリス・マジ・天使! こんな天使がオレの婚約者だなんて、オレはなんて幸せ者なんだ!」

「ちょ、ちょっとジル様! えっと、本気ですか?」

「本気も本気、大本命さ! オレはアリスじゃなきゃダメなんだ」

「…………よかったです……」

「え?」

なぜかアリスが目元を拭っていた。もしかしなくても泣いてる? ナンデ!?

「あ、アリス!? オレ、なにか無神経なことでも言った!? ごめんよ、泣かすつもりなんてなかったんだ」

「違うんです。嬉しくて、つい……」

「嬉しくて……?」

嬉し涙ってこと?

アリスってこんな風に口説かれるのが好きなのだろうか?

オレのキャラじゃないが、アリスが喜んでくれるなら、オレはがんばれそうだ。

周りの「なんだこいつら?」みたいな視線を無視して、オレはアリスを抱きしめた。

アリスが泣き止むのを待ってから教室に入ると、すでに多くの生徒たちの姿があった。その中には、ゲームで知ってる顔がちらほらある。すごいな。本当に『レジェンド・ヒーロー』の世界にいるんだ。オレはわけもなく体が熱くなるのを感じた。

「お!」

その中でも目立つ真っ赤な髪。あいつが主人公か。窓際の席で外を見て黄昏ている。長い髪で横顔は見えないが、女子生徒の制服を着ているのが見えた。どうやら主人公の性別は女らしい。

主人公の活躍次第では王妃にまで成り上がるのだが、この主人公はどのルートを選ぶのか。いろいろな意味で注目せざるをえない存在だ。

「あの女子生徒がどうかしましたか?」

隣からアリスの鋭い声が飛ぶ。

しまった。見過ぎたか。

今のオレはアリスという最愛の婚約者がいる。他の女子生徒を見ていたら、それは感じが悪いよな。気を付けなければ。

しかし、ちょっと見ていただけで注意されてしまうとは。もしかしたら、アリスは焼きもち焼きなのか?

まぁ、そんなところもかわいいけどね。それに、焼きもちなんて焼いてもらえるうちが華だしな。

「いや、なんでもないよ。席に着こうか」

「はい」

アリスの手をキュッと握ると、すぐにアリスの表情は氷解した。そして、オレの手をキュッキュッと握り返してくる。かわいーなーもー!

しかし、教室の中は国際色豊かだな。エルフやドワーフ、獣人など、いろいろな種族がいる。オレールの街でも見かけたことはあるが、ファンタジーな種族が同級生という状況にテンションが爆上がりだ。

だが、オレは自分の使命を忘れたわけじゃない。こいつら全員ぶっ飛ばして、オレが新人王になるんだ!