軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

114 商人ギルド

リットリアを後にしたオレは、今日はダンジョンに潜るのを取りやめ、商人ギルドにやって来ていた。

商人ギルドは王都の大通りにある大きな建物だった。どこか無骨な印象だった冒険者ギルドに比べるとおしゃれで品がある建物だ。出入りする人々もどこか品があり、白虎装備の自分が浮いているのがわかる。

だが、着替えてくるのも面倒だな。

そう考えてオレは白虎装備のまま商人ギルドへ突撃する。

「ほう?」

商人ギルドの中は理路整然とした印象を受けた。食堂が併設されているわけでもなく、冒険者ギルドのように野蛮そうな人々はどこにもいない。みんな知的そうだ。

「最近、貴族の中でお菓子がブームだとか」

「知っていますかな? 最近、バッファローのミルクが高騰しているのですよ」

「東に向かった商隊が襲撃を受けたとか……」

「最近、この王都でも抜きんでた力を持つ冒険者が現れたとか……」

そこかしこで商人たちが話をしている。きっと商売のタネを探しているのだろう。

「おや? あれは……」

「もしかすると……」

「しかし、この商人ギルドに何の用でしょうか?」

白虎装備だからか、オレは注目の的だった。そうだね。浮いてるもんね。

商人ギルドの中に冒険者が来たらそりゃ注目を浴びるよなぁ。

だが、オレは敢えて気にしない。商人ギルドも登録できるのは成人した十五歳からと聞いた覚えがある。だったら、ジャックの姿で来たのはもしかしたら正解かもしれない。今なら冒険者証も持ってるしね。

冒険者証を持っているということは、冒険者ギルドが成人だと認めたということ。これに対して商人ギルドが異を唱えれば面倒なことになる。商人なら、たとえ怪しいと思っても黙認するはずだ。

そんな気持ちを抱えながら、オレはカウンターテーブルへとやって来た。

カウンターテーブルの向こうには冒険者ギルドとは違う制服を着た受付嬢がいる。

「いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件でしょうか?」

「商人として登録したい」

「かしこまりました。こちらにお名前をお願いします」

「ああ」

意外にもスムーズに話が進み、オレはあっさり商人になることができた。

「商会を立てたいんだが、どうすればいい?」

「商会を新たに立てるとなると、まず商会の代表は商人ギルドの一等資格を持つことが義務付けられています。ジャックさんはまだ三等資格なので、自分の商会を持つことができません」

「え?」

どうやら商人ギルドの中にもランクがあり、一等資格を持たないと自分の商会を持つことができないらしい。面倒なルールだな。

「商人ギルドのランクを上げるにはどうすればいいんだ?」

「一般的には一等資格を持つ商人の下で働き、一等資格を持つ商人に認められることでランクが上がります」

「ふむ……」

徒弟制度のようなものだろうか?

でも、それだと自分の店を持つのに長い時間がかかりそうだな。

自分の店を持ったら売り出したい物がたくさんあったのに……。それに、リットリアに今よりも安く食材を提供することもできるようになる。いいことづくめだと思ったんだが……。

「他に一気に一等資格を取れるような条件はないのか?」

自分でも無茶を言っているのはわかっている。でも、オレは今すぐにでも動き出したいのだ。

「ございますよ」

「あるの!?」

自分から話を振っておいてアレだが、それでいいのか商人ギルド!

「ただ、ものすごく条件が厳しいので……」

「一応聞かせてくれないか?」

「はい。いくつか方法がございますが、まずは商人として優れた業績を上げることです。商人ギルドの支部長がお認めになれば、一等資格を得ることができます」

「ふむ……」

どっか適当な商会に入って、日本で売られていた便利アイテムを売りに出せばワンチャンいけるか……?

「二つ目は、一等資格を持つ商人五人から推挙があった場合、商人ギルドの支部長がお認めになれば一等資格を得ることができます」

「うーむ……」

オレに商人の知り合いなんていない。金を積めば推挙が得られるだろうか? いや、商人としての信用があるからそれも難しそうだ。この方法は無理だな。

「三つ目は、これが一番難しいのですが、貴族の推挙を受けることです」

「ん? それだけでいいのか?」

「え? はい。伯爵以上の爵位を持つ貴族の方からの推挙なら無条件で一等資格を得ることができます」

「マジか……」

それなら、なんとかなるかもしれない。

「貴族の方の推挙を受けるのは大変なことですよ? なにかあれば、推挙した貴族の方の人を見る目が疑われてしまいますから、まず不可能です」

「なるほど……」

ムノー侯爵を使うのは無理だとしても、オレには一応学園の知り合いがいる。彼らに頼めばなんとかなるかもしれない。

とはいえ、オレの知り合いは将来の貴族家の当主ではあるが、現在はただの子どもだ。

それでも、無理は承知で頼んでみるか。

ちょうど明日はエグランティーヌの護衛の日だ。頼むだけ頼んでみよう。