軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

薬納品の注意

ある日、冒険者ギルドに薬の納品をしたところで、ギルド職員から応接室への移動をお願いされる。

「どうされたのですか?」

「ユリアンネさんに納品頂いた薬は主にギルドの売店で販売しています。質が高く人気でして、薬師を紹介して欲しいとの声が多いのです。今までは、冒険者ギルドを介さずに直接調達することでギルドの取り分をなくすつもりですか?と笑って質問すると引き下がってくれる方々ばかりだったのですが……」

「それでは済ませられない相手ですか。貴族か大規模クランというところでしょうか」

「流石ですね。実はそのどちらからも声がかかっております。店舗をお持ちでしたらそちらをご紹介するのですが、まだですよね?名前を出さないことを条件に納品頂いていることは認識しておりますが、そのお気持ちはお変わりないでしょうか」

「はい、店舗はまだありませんし、名前を出すつもりはありません」

ガラクタ市では少し小さめの薬瓶、しかもアンプルのように首を折って使用する特殊なガラス瓶と、“治”と“Juli”を組み合わせたようなマークを入れた物で販売していた。もちろん素顔を隠して。偽物が混じって被害を被らないためでもあった。

ただ、ギルドに納品するだけであれば逆に製作者が特定されにくいよう出来るだけ一般的な薬瓶にて納めてきた。

前にダンジョンで遭遇した盗賊の時のように、他人に薬瓶を渡すときにはアンプル形状でない方にするよう両方を持ち歩いてもいる。

「わかりました。まだしばらくギルドの方で粘ってみます。ただ、ユリアンネさんもお気をつけください。どこで目をつけられるかわかりません。納品も、今までのように人の少ない昼間に来られるだけでなく、多くの薬瓶をカウンターに並べることはやめましょう。このように応接室に来ていただくように、職員の中でも申し送りしておきます」

「はい、わかりました。どうぞよろしくお願いします」

「こちらこそ人気商品の納品、そしてそれにより助かる人がたくさん居ること、我々ギルドとしても大変お世話になっております。引き続きどうぞよろしくお願いします」

職員との会話も終わり、冒険者ギルドを出たユリアンネに尾行がついていることに彼女は気づいていない。