軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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大きな卵は、浪漫はあふれてるけれど、食べ難い事を知りました。

さて、水陸両棲の魔物を減らすという用事は抱え込んだが、僕らが南の大陸を目指す速度は上がる。

今回の魔物を減らす作業はあくまで手付のような物で、目に付く限りを殲滅するような真似はする必要がない。

ある程度の数の魔物を狩って卵を潰し、証拠を見せれば人魚達は納得してくれた。

そして次に向かうべき人魚が暮らす場所も海図で示してくれたので、一つ一つの島を虱潰しに調べずともよくなったから。

僕らは人魚が暮らす地を巡り、魔物を減らして新たな契約を結びながら、海図に記された北と南の中間地点を越える。

この辺りが赤道になるのかは、僕にはちょっとわからない。

精霊、巨人、不死なる鳥、真なる竜、古の種族には全てと出会い、世界の秘密を多く知ったけれど……、それでもまだまだ知らない事だらけだ。

地平線、水平線があるから、恐らくこの世界も球状なんだとは思う。

真なる竜の一体、深淵竜は宙、宇宙を守ってると聞いたから、この世界にも宇宙があるんだとは知った。

太陽も月も星も、宇宙に存在してるんだろう。

でもその宇宙だって、本当に僕が前世の知識で知るそれと同一か、わかったものじゃない。

そもそも僕は、前世で宇宙に出た経験はない筈だし。

確認する術なんてある筈がなかった。

だが別にそれでいいのだ。

僕は、今、この世界に生きていて、この世界を愛してる。

この言葉は、多分きっともう何度か繰り返してるけれど、変わってない。

ふと見上げれば、ヒイロが飛ぶ空よりも高い場所に、大きく広い雲が浮かんでた。

以前にも訪れた、巨人が住むあの雲だ。

いや、僕には雲の見分けなんてあまりつかないけれど、それでも間違いないと、そう感じる。

近くまで来たんだし、折角だから立ち寄ろうか?

そんな風にも考えたけれども、……あそこは用もなしに立ち入る場所でもないなぁと、思い直す。

疑問を持ってあそこに行けば、きっと答えは得られるのだろう。

巨人達はこの世界を見て、知識を蓄え続けてる。

だから彼らのネットワークに触れれば、あぁ、本当なら確認する術のない、宇宙の事だって知れる筈だ。

神々の居場所も、創造主が眠る場所も、南の大陸の現状がどうなってるのかも、真珠竜がこの海のどこを泳いでいるのかも。

疑問に思った事は、何でも答えが得られてしまう。

けれどもそれは、きっと何も楽しくない。

知らない事は、今は知らないままでも構わないのだ。

だって新たに知る楽しみがあるのだから。

僕がハイエルフである間に、全てを知れるとは思わないけれど、そんなのは当たり前の話だった。

何せ、世界は今この時も、少しずつ変化をし続けてる。

知らない事も増え続けてるし、追い掛けてもキリがない。

故に全てを知りたいなんて難儀な業は、巨人にでも任せてしまえば良かった。

この世界を創ったという創造主が目覚める頃には、一体、どんな世界になってるんだろう。

ヒイロは羽ばたき、更に南へ。

世界の南半分に入っても、僕らのやる事は変わらない。

退治する魔物の種類はちょっと変わって、もちろん味も変わって、中にはちょっとびっくりするくらいに美味しい魔物もいた。

見た目は、とても大きくて不細工なアザラシなんだけれど、分厚い皮と脂肪に埋もれた肉はキラキラと輝くように美しく、凄く上品な味をしてる。

正直、僕もアイレナも調理の腕は程々というか、料理人には遠く及ばない。

それでもこんなに美味しく味わえる肉なんだから、パンタレイアス島で店を開く料理人に調理を任せたら、一体どれだけの口福を味わえるのかと思ってしまう。

ただ流石に、食欲に負けたなんて理由で南の大陸の視察を中断する訳にはいかなかった。

もし仮に、アイレナが帰ろうって言ってくれたら迷わず賛成しただろうし、後で聞けば、彼女も僕が帰ろうと口にしたら、頷いてしまっただろうって言ってたけれども。

まぁ北と南の船の行き来が安定すれば、魔物を捕獲して生きたままパンタレイアス島に持ち帰る事も、……手間暇と掛かる費用さえ考えなければ、不可能ではないだろう。

そういえば人魚達は、どんな食事をしてるんだろうか?

今回は契約を結ぶばかりで、先を急いだが、船の行き来が無事に行われるようになって、南の大陸の支援が上手くいけば、海に潜って人魚の生活を覗いてみてもいいかもしれない。

水の精霊の力を借りれば、水中で過ごす事も決して難しくはないのだし。

もしかしたら、僕が想像もしないような美味しい物を食べてる可能性だって、決して皆無ではない筈だ。

いや、水中では火を使えないだろうから、本当はそこまで期待はしてないが。

それでもきっと、僕の好奇心は満たされる。

南へ、南へ。

空を行く旅は続く。

だけど終わりのない旅じゃない。

ヒイロの背に乗って洋上に出てから……、四週間。

遂に僕らはそれを目にする。

島よりもずっと大きく、安心感のある大地。

いや、安心感というよりも、包容力といった方が、らしいだろうか。

そう、終焉を終えて復興したばかりの、命溢れる南の大陸。