軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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話したい事は尽きないが、今はそんな場合ではないと、軽く打ち合わせを済ませた後は、黙って黄金竜に運ばれる。

そして、どれくらいそうしていただろうか?

『友よ、しっかり掴まれ。攻撃が来る。迎撃するぞ』

不意に黄金竜はそう告げると、大きく口を開く。

僕は大慌てで伏せるけれど、しっかりと掴まれと言われても、大きな鱗に覆われた黄金竜の背に、掴まれる場所なんてあまりない。

そして轟音と共に黄金竜の口から放たれた金色の光は、水平線の向こうから飛来した黒い光とぶつかって、海が割れ、空が揺れる程の爆発を起こす。

あぁ……、確かに、こんな力の持ち主が自重せずにぶつかり合ったなら、世界は冗談ではなく壊れてしまうだろう。

だが見せられた力に呆然としてる暇はない。

僕は爆発によって起きた大波が、大陸まで届いたりしないよう、水の精霊に呼び掛ける。

真なる竜の力は確かに強いが、こうした細かい……、いや、細かくはないが、余波を防ぐような繊細な作業は、僕の方が向いていた。

それにしても、向こうから問答無用で攻撃を放ってくるなんて、どうにも随分と戦意が高い。

ただ向こうの、恐らく黒檀竜ではなく、それを目覚めさせたハイエルフの戦意の高さは、こちらにとっても都合が良かった。

黄金竜と黒檀竜、互いに同じ真なる竜で、背に余分な荷物を一人背負っているという条件も同じ。

すると出せる限界速度だって同じになる。

つまり、仮に黒檀竜がこちらと戦う意思を見せずに逃げ回った場合、追い付いて捕まえる事は難しい。

また逃げ回りながら北の大陸に辿り着いて破壊を撒き散らされれば、非常に厄介な事態になっただろう。

仮に僕が逆の立場だったら、迷わずにその手段を取る。

目的が大陸の破壊で、相手の目的が防衛だったなら、僕は大陸を攻撃し、相手に守らせて、戦いを有利に運ぶ。

ならばどうして、黒檀竜を目覚めさせたハイエルフはその手段を取らないのか。

もしかすると、怒っているのかもしれない。

そのハイエルフが、自分が正当な事をしてる心算なら、それを邪魔する僕と黄金竜は、腹立たしい存在だろう。

打ち破って自らの正しさを証明し、堂々と人間を滅亡させたいと思っている可能性は、低くはなかった。

或いはそもそも真正面からの戦い以外を、考えもしない性格である場合も、十分にあり得る。

他にも、真なる竜がぶつかり合えば本当の意味で世界が壊れてしまうから、ハイエルフ同士で白黒をつけさせたい黒檀竜が、敢えてその方向に導いているのか。

正確な所はわからないけれども、いずれにしても僕らにしてみれば好都合だ。

相手が正面からぶつかりに来るなら、それを抑え込んで、真なる竜ではなく、ハイエルフ同士で全ての決着をつける。

ハイエルフ同士が争う場合、基本的に精霊は不干渉となるから、世界の運命を決めるにしては、実に地味な戦いになるだろうけれども。

その方が、余計な被害が出なくていい。

僕は北の大陸が焼き払われてしまう事さえ防げるのなら、数の減ってしまった南の大陸の同胞を、わざわざ殺したいとは思わないし。

南の大陸が既に焼かれてしまった以上、それをどうこう言う心算は、僕にはない。

もちろん思うところは沢山ある。

人間の国の皇帝となり、故郷を滅ぼそうとした、前世の記憶を持ったハイエルフは、或いはボタンを掛け違えていたら、僕がそうなってしまっていたかもしれないから。

前世の記憶を持った僕を、他のハイエルフが同胞として扱わなかったら。

サリックスのような理解者が、僕に存在してなかったら。

深い森を出たあの日、東ではなく西に足を向けていたなら。

最初に出会った人間がロドナーでなく、アイレナやアズヴァルド、カエハにノンナにカウシュマンに……、愛しい人々や、多くの友との出会いがなければ、僕だってこの世界を愛せなかったかもしれない。

だから、僕はその前世の記憶を持ったハイエルフと、会って話したかったと思う。

それはもう叶わないのだけれど、それでも分かり合えるまで話したかった。

前世の話でもいいし、今の世界の話でもいい。

馬鹿な話でも、辛い話でも、何なら拳でも、語り合ってみたかったのだ。

でも、既に結果は出てしまっていて、南の大陸は滅びてる。

なので本当なら、こんな馬鹿な争いをするのではなく、南の大陸の復興に時間と力を使いたい。

それだったら、僕だって力を貸せるし、……アイレナには少しばかり小言を貰うかもしれないけれど、彼女もきっと手伝ってくれて、エルフのキャラバンが動くだろう。

何しろ今のエルフのキャラバンは、元々南の大陸と交易をしてた商会を取り込んでるから。

こんな馬鹿げた争いは早く決着をつけて終わらせたい。

古の種族の一つに数えられ、長い時を生きるハイエルフにだって、過去を変える事はできないのだから。

せめて変えられる未来をより明るいものにする為に、僕は注力したかった。