軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

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ラドレニアの北部を抜ければ、次は大陸の東中央部では二番目に商業の発達した国、ドルボガルデ。

この国は以前にも訪れた事があるが、主に発展してるのは港のある海付近の町だ。

今回の僕はドルボガルデも北側を通り抜けるだけだから、そちらに立ち寄る事はない。

尤も大陸の東部との海洋貿易で潤うドルボガルデだけれど、別にそれは東中央部を軽視してるという意味ではなく、海洋貿易で得た品々を運ぶ為の街道や宿場町は整備されてるし、河川を用いた水運も盛んだ。

単に海側の方が特に発展してるってだけの話で、北側の町も他国のそれと比べれば、決して見劣りはしなかった。

そんなドルボガルデの北側を、僕は東に向かってまっすぐ歩く。

今回の旅も、そろそろ終わりが、目的地が近い。

ドルボガルデは商業の発達した国だけあって、そこで出会う商人達は誰もが耳聡く、事情通だ。

特に川沿いの町では、船を下りて取引したり、休憩中の商人との出会いの機会も少なくない。

もちろん彼らだって暇ではないのだろうけれど、エルフの物珍しさも手伝って、少しずつだがシグレアに関しての情報も集まる。

好奇の視線を向けられる事も多いけれど、こういった時はエルフの身を、……まぁ実際にはハイエルフだが、便利に思う。

そういえばシグレアの情報ではないのだけれど、今、この大陸の東中央部は、全体的に景気が上向きらしい。

その理由は、やはりズィーデンが起こしていた争乱の終了である。

何時大きな戦いに巻き込まれるかもわからないという不安が消え、ズィーデンの国境が開かれた事で流通もスムーズになり、争乱で落ち込んでいた消費が増えたのだ。

もちろん戦時は戦時で軍の消費は激しくなるのだけれど、それで利を得るのは一部の者のみ。

民から吸い上げられた税が、戦争の為に消費され、民の為には使われなくなる。

そう、丁度九年前の、ズィーデンのように。

徴兵でもあれば尚更だろう。

だがその争乱も終わって少しの時が立ち、警戒態勢も殆どの国で解かれてる。

あぁ、ダロッテと小国家群の北部はまだ揉めているけれど、そこはもう長い間ずっとそんな状態だから。

故に商人達の顔色も、以前にこの辺りを訪れた時に比べれば、自然と明るくなっていた。

無論全ての問題が解決した訳ではないが、そもそも全ての問題が解決する事なんてありえない。

どれだけ円満に解決しようとしたとしても、必ずどこかに不満は残るし、火種は燻り続ける。

だけどそんな事はお構いなしに、時は全てを風化させて行くのだ。

尤も世代交代で消えていく問題ばかりじゃなく、根深くなる問題も時にはあるけれども。

街道を歩く僕の傍らを、馬車が通り過ぎていく。

荷台に山と積まれているのは、どうやら小麦が詰まった袋らしい。

この道を通ってシグレアに向かうと言う事は、もしかするとこの馬車も、僕と同じくジャンぺモンから来たのだろうか。

国を二つ跨ぐのは、流石に少し遠すぎる距離な気がしなくもないが、もしそうだったら少し楽しく思う。

荷馬車を引く馬達を見てると、サイアーを思い出す。

姿形はそんなに似てないけれど、のんびりとした表情が、僕を乗せてくれた馬にそっくりだったから。

サイアーは元気にしてるだろうか、いや、もしかするともう、寿命を迎えてしまったかもしれない。

……でも暮らす場所が場所で、世話をするのが仙人だから、もしかすると、もしかするだろうか。

歩いて旅をしてると、頑張ってるのは足だけだから、頭は暇を持て余し、色んな事を考えるし、振り返る。

あぁ、頭は暇を持て余すから、外部の情報に飢えて、見える風景を殊更に感受性を高くして受け止めるのかもしれない。

だから僕は、旅が好きだ。

のどかな時間と、新しい刺激の二つが交互に味わえるから。

次の国、シグレアでは一体どんな事が僕を待っているのだろう。

無事に腕の良い彫刻師に弟子入りできるだろうか。

どのくらいの時間、その地に滞在するのかすら今はまだ何もわからないけれど、楽しみで仕方がなかった。

ドルボガルデとシグレアの国境を越えて、向かうは大理石の産地で有名な、マルマロスの町。

先程も述べたような気がするけれど、改めて、旅の終わりはもう近い。