軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

444.バスタビア子爵の領地のダンジョン

イェーメールからは俺たちにもお礼のお金が入金された。十万シェルと貢献度百五十ポイント。ありがたくいただいておいた。

同時に、イェーメールのダンジョンへのお誘いも届いた。

「兄上が直接運営することになってね」

案内をしてくれているのはヴァージル。バスタビア子爵の領地は、さすがに親族へというわけにいかなくなった。一度息子に譲るならと目こぼしをした上での反乱だった。

だが、他の貴族に任せるわけにもいかず、しばらくは長男のジェロームが直接治めることになったらしい。

「トラヴィス兄さんがやりたいというならトラヴィス兄さんの土地にしようという話にもなったんだが」

本人が全力で拒否したそうだ。

人の下で働くならまだいいが、上は御免被るという話。

欲がないというか、欲が全部ギャンブルに振られているというか。

「領地の状況を回復するのに、人を呼び込まないといけないなって話になってね。近くの鉱山がそれなりに鉱石を算出するが、強いモンスターが棲みついてしまっているんだよ。セツナのお友だちが、セバスチャンとかなり話をしたらしくて、人を呼ぶなら来訪者。来訪者を呼ぶならダンジョンだって。鉱山もある意味ダンジョンだからね。確かになと思ったよ。みんな強いモンスターに挑むのが好きだからなあ……手に入れたものの三割を領地に納めるというルールになっているよ」

「鉱石は楽しみですね! 防具や武器の強化になるし」

ソーダが応えるとヴァージルは苦笑する。

「安全第一で頼むよ」

ヴァージルは心配性だなあ。

ダンジョンがオープンされる前に、クエストを最初に受領した俺たちに先行で入る権利が生まれたようだ。正確には俺。俺を含めたパーティーが入れるという。

「俺は兄上の手伝いがあるから一緒には行けないけど、何かあれば呼んでくれ」

絆が発動している。

まあ、何かあったら死に戻りするからね。大丈夫大丈夫。

バスタビア子爵の領地、鉱山のある町は都市の五分の一といったところだろうか。宿屋と道具屋、酒場などがあるが、武器や防具は売っていない。ツルハシなどの採掘道具屋は五つくらいあった。

『酒場はたくさんあるのじゃ』

『昼間は食事所みたいね』

『パーティーメンバーあと三人かあ……どうするか』

『ダインは誘わないといけないだろう』

八海山の言葉に俺たちは頷く。

たぶんだが、この鉱山ダンジョンが開くことになった立役者なのだ。

あの日、セバスチャンさんとやたらと盛り上がっていたのがダインだ。部屋の隅ですごく楽しそうに話していた。ジェロームからのお便りに、来訪者の方がダンジョンに興味を持っていた。バスタビア子爵の領地には鉱山があるから見てみるか? と記されていたのだ。わざわざダインのことが書かれていたのだ。さらに先ほどヴァージルからも話があった。

『とりまダインに声かけて、あと二人連れてきてもいいって言っておくか』

と、いうことでやってきたのがオレンジの髪と瞳の剣士ダイン。まさかの杖で殴るスタイル、茶髪の猫耳少年猫じゃらし。さらにもう一人は、銀の鎧をがっつり着込み、盾と剣を構えた青い髪のドワーフ、シャーツさん。男性。タンクが足りなさそうだねといって連れてこられたそう。

「やっほー!」

「マスターお誘いありがとうござます」

「よろしく~」

三人とも呼んだら飛んできた。

「いや、たぶんここの鉱山開いたのダインのおかげ」

「俺!?」

「セバスチャンと話し込んでたらしいじゃん?」

ソーダに言われてダインはしばらく考え込む。

「なんかしたっけ?」

「執事にダンジョンの話聞いたんだろっ!」

猫じゃらしから突っ込みが入る。杖で殴るとダメージ判定。うぉ……結構食らってる。八海山がそっと回復を飛ばした。

「あーっ!! あの気のいいお爺ちゃんだろ。来訪者の方々はどんなお礼が嬉しいんですかねとか聞いてきたから、新しいものとかそんな話に花が咲いた」

「こいつ、爺婆たらしなんだよね~」

なんだかそれは、すごく納得がいく。

そんなこんなでわいわいしながら鉱山へ向かった。鉱山は町の一番奥にある。

「気をつけてな」

入り口には小屋があって、入山許可をもらったという体になる。同時にアナウンスがあった。

《バスタビア鉱山でのドロップ三割が自動で差し引かれます》

『これ、イベントで割合変わってきたりしそうだな』

『あー、エンディングによって違う?』

『それか今後のイベントとか』

とてもありそうだと思いました。

今回は鉱山で採掘するのが目的だ。その過程でモンスターを倒す。

『採掘場所は【鑑定】持ち頼りだ。頑張れよ』

『ラジャッ!』

『了解』

案山子と俺がそこは頑張るところ。

鉱山なだけあって、道は広くない。先頭二人はタンクが……普通なのだがなぜかダインとシャーツが並んで進む。

『リーダー、叱っても叱っても一番に出ちゃうから諦めて』

『リーダーより先にヘイトを取る技術を持っています』

猫じゃらしとシャーツが言う。

ロジックの狩りの仕方がちょっとよくわからない。

その後ろを俺と案山子が【鑑定】をしながら行く。しんがりは【気配察知】持ちの半蔵門線。後ろからの突然のモンスターに備えていた。前方の【気配察知】はもちろん俺。

『しばらくは【掘り尽くされた鉱山】表記しかないねッ』

まだまだ入り口だからなあ。ただ、モンスターはいる。【気配察知】に引っかかるのだ。

『その――』

『そこにモンスターがいる気がするっ!』

プレイしてこのかた戦士のみと言っていたダインが突然駆けだした。

合ってるんだよ。そちらにモンスターさんがいらっしゃいますけど、なんでぇ……。

「【挑発】」

シャーツがスキル発動。【一身集中】は、止まって盾を構えてドンとこい状態のスキルだが、こちらは【投擲】で相手の気を引くような感じ、らしい。

やってきたのはトカゲだ。案山子くらい大きなトカゲはちょっと怖い。ちろりと見せた舌が青いのがぞぞっとした。

『岩トカゲ。体当たりが痛いって』

トカゲさんは壁伝いにやってきた。

ダインが剣を振るう。

『おう、固い!』

ガンっと音がして剣が弾かれる。

突進してきたところをシャーツがダインの前に滑り込み、盾で受ける。すかさずダインが溜めモーション。

「【岩石割り】」

放つと岩に対して有効なスキルだったようで、岩トカゲはパカッと二つに割れた。

『対ストーンゴーレム用のスキルか』

『おう! 結構便利だぞ、固いの限定だけど』

自慢げに語っているが、シャーツがとてもプロフェッショナルでかっこいいと思いました。慌てず騒がず仕事していた。