軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

429.堕落狩り開始

イェーメールに帰ってきて、そのまま秤の錬金術師へ。汎用の触媒も準備してもらった。 ヴァージルは実家に寄ってから帰るそうだ。絆を結ぶと定期的に遊ぶようになるとか、あるのかもしれない。あんまり会わないとあっちから誘ってくることもあるもんな。

アランブレのクランハウスと、ミラエノランのクランハウスのストレージは繋がっているので、フレンドチャットでシャトーブリアンのことを連絡しておいた。肉だらけになった。ヴァージルも美味しいご飯希望ですとひとこと付け加えておく。

というか、ポータルをとってもらえたらヴァージルも呼べるのか。それもいいね。そうやって着々と準備を進めていると、とうとうソーダから号令がかかった。

『堕落したもの』を探しに行こうということだ。

『普通レベル的に、数字の低い都市の周りがより弱い。ただ、後から出てきたからそこはまた違うかもしれない。てことでその、闇の魔物が多く現れる地域のレベルを調べたところ、第四都市、ローレンガあたりのやつが一番弱いかなということになった』

ちなみに、トレジャーハントの【裏】で出会ったのはアランブレの分だろうという話だ。アランブレと、イェーメールを倒している。トレジャーハントの洞窟は、トレジャーハンター協会に参加していなくても入れるそうだ。ただ、イベントが起きないだけ。毒々しい蝶もいない。罠の多いダンジョンだという認識だったそうだ。

『セツナ殿。拙者の触媒を渡しておくでござる』

『私も~! ちゃんと作ってきたわよ』

小太刀と双剣、二人ともそれぞれ触媒を集めて錬金術師に作ってもらっていた。闇には聖属性が一番だし、それを付与師の俺が付与すれば効果は倍増だ。

モンスターの状況によってはガンガン使っていこうということになった。

ローレンガの闇の魔物が多いマップへ移動する。ファンルーアよりの、聖地方面に少し行った場所らしい。

『ローレンガは日本、江戸がイメージだからな』

ということで現れるのがなんと妖怪! 確かに妖怪は闇、かな?

闇属性の魔物は聖属性以外は、攻撃が少し通りにくくなる。

「【聖付与】」

そこで、聖属性だ。

目の前には小豆あらいが、竹籠に入った小豆をショキショキ音を立てて研いでいた。

『ちょっとなんか、こうおどろおどろしいものを想像していたんだけどッ、妖怪ってだけでちょっと軽くなるよねッ!』

『怖さが軽減するわよね~』

『何事も、正体のわからないものが一番怖いでござるからね。名前がついた時点でこっちのものでござる。妖怪の一部はそうやって恐怖の緩和から生まれたんでござろう』

ただ、小豆あらいの攻撃は大変危険なものだった。

ご想像通り、小豆を投げてくるのだが、この小豆がめちゃくちゃ痛い!!

当たった瞬間爆発するので攻撃力が半端ない。

『柚子しか守れん!! 案山子は俺の盾からはみ出る』

『うあああッ!! 縮こまるからッ! 入れてッ!』

何気にきついのが俺と半蔵門線。小さな粒が大量に飛んでくるので避けるのが難しいのだ。

「【氷付与】【薄氷】」

スキル封じが必要だった!!

すると、小豆を投げてはくるが、その間隔が長くなり、攻撃する暇ができる。

「【一刀両断】」

小豆あらい自体はそこまで強いものではなかった。

『セツナもう、【薄氷】係で……』

『だが残念、これ、ディレイ長い』

『あーっ、そうだった。小豆キツいな』

さらに現れるのは小豆あらいだけではない。

垢舐めは長い舌でこっちをべろっとやってきて、防御力ダウンのデバフをまいて去っていく。ろくろっ首が巻き付いて拘束しようとして、雪女が【フロストサークル】を仕掛けてきた。

『闇というより、妖怪のバリエーション展開が素晴らしく、大変バランスのいいパーティーです』

リーダーとして戦闘戦略を立てたいのに妖怪があの手この手でこちらの包囲網を突破してくるのだ。

『連携も素晴らしいのじゃ……【フロストサークル】って食らうと辛いのじゃぁ』

『妖怪がこんなに強いとは見誤ったかもしれんな』

『いやほんとそれなんだよ。強いなこれ』

ソーダががっくり肩を落とした。

『出直す~?』

ピロリが問いかけるが、悩んで首を振る。

『いや、ギリギリ戦えている感がなあ。一気に妖怪が出てこないのも耐えてる証かもしれん』

そんなことをいいながらも段々と聖属性を付与した三人のやるべき役割が見えてきつつあった。スキルを封じるよりいかに早く倒すかに終始するようになる。

何せ聖属性は効くのだ。八海山がどうしても回復役に回らなければならないのが残念だが。

『うーん、私も回復系、もう少し育ててくるかのう。聖職者と言うよりも退魔師として頑張って欲しいときに、単なる回復が足りないのじゃ』

『あー、俺っちもそうするかなあッ! ほら、闇属性と戦うことになっていくんだろうけど、俺っち聖魔法たいしたもん使えないッ! 溢れんばかりの知力を回復に回す方が正しい道かもしれないッ』

どうしても暇になりがちの案山子と柚子。柚子はまだ【フロストサークル】や【フロストダイス】の凍結によるモンスターのスキル遅延があるが、案山子は攻撃をバリバリ仕掛ける系の魔法が多いのだ。

今持っている初期回復では回復が間に合わなくなるときがある。

『うーん、基本は好きなようにゲームして欲しいけどな』

『パーティー狩りは楽しいしッ、でもそのとき役割がないのは悲しいッ!』

だから今度ちょっとまた聖職者になってきますとのこと。

『ダブルヒールとか、ヤバそうじゃない?』

『強くはあるな』

魔術師の重複詠唱で回復と別に魔法出せるし、さらにお役立ち感が促進する。

『そろそろマップの端なんだが……なんか、モンスターが目減りしてきた気がするな』

『お出ましでござるか。体勢いったん整えるでござる~』

そろそろ切れそうな【聖付与】もかけ直す。

なまぬるい風が吹いた。

大木の下、茂みがガサガサと不自然に揺れる。

《フィールドボス『堕落した土蜘蛛』と対戦しますか?》

イエス、だ。

すると、茂みからのっそり真っ黒な大きな蜘蛛が現れた。背中に紫色で何やら模様が描かれている。瞳は赤黒く光っていた。

『とにかく、安全第一!』

『らじゃっ!』

「【一身集中】、ぎゃあああ」

ヘイトをとろうとしたソーダの盾に糸が吐かれ、盾を持っていかれる。

「【ファイアボール】」

すかさず案山子が威力を弱くした炎でその糸を焼いた。

だが、ヘイトが案山子に移る。

案山子に向かって糸が吐かれた。俺は案山子の右手を取る。同じく半蔵門線は左手を取って引っ張った。

案山子のいた場所に糸が張り付いている。

『ヘイト即、糸だぞ。どうするよ』

『きついのじゃーっ!』