軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

427.美味しいお肉を求めて〜ヴァージル編〜

この間ウロブルから行ったのは、俺たち二人ともウロブルに一発移動できたから。実際はローレンガから聖地方面に行く途中に牧草地があるのだ。開けた平原である。

俺の目論見通り、ヴァージルとパーティーを組んで騎獣で移動したら俺たち専用マップに切り替わった。ありがとう絆! ありがとう運営!!

『そんなに美味しかった?』

いや、美味しかったけどね。

『なかなかあのクラスの肉には出会えないな。兄上が好きでね。少し分けてもらえると嬉しい』

『半分こすればいいよ』

『いや、そんなに量はいらないんだ』

じゃあ、シャトーブリアンを狙おうか。

『アスター家のお屋敷なら料理人も腕利きだろうし、各部位渡したら美味しく調理してくれそうだよね』

『そうしてもらえると助かるよ。でも俺は案山子の料理がいいな』

案山子ってば、ヴァージルの胃袋本当にがっちがちに掴んでるな。

『実はさ、今クランハウスが第七都市なんだよね。アランブレにもあるけど、家具とか引っ越ししちゃった。イェーメールで食べるとなると、騎士団かな?』

『あいつらにこの肉は分不相応だろう』

ちょっともったいなくなっちゃったのか、ヴァージルが難色を示す。

『ヴァージルがこうやってローレンガに来るのも快く了承してくれてたじゃん。お土産に持っていくくらいは別にいいんじゃない?』

『奴らが俺が休暇をとるのに積極的なのは訓練が楽になるからだと思うが……』

『ははっ! 普段どんだけしごいてるんだ』

『聖騎士としての最低限にはなって欲しいからの訓練だがな』

鬼の騎士団長こわーい!

人が少ないと湧くモンスターの数も適正になるのか、あちこちから突撃してくるようなこともなかったし、群れるタイプのものでもない。

端からゆっくり狩っていけばよかった。

『どのくらい手強いモンスターなのだろうか』

『そんなに、手強くないよ? ただ、魔法使いの料理人が多くて、ここの牛の肉を手に入れたいがために突撃しに来ているような状況だったからなあ。案山子の最大火力【ダークストライク】を十発全部くらったあと、もう二発食らわせたら落ちたんだって。俺が一緒に案山子と来たときは、【ダークストライク】のあと俺が【ひと突き】したら倒せたよ』

『ふむ、そんなものか。前衛もつけずに飛び込みたくなるほどの肉ということだな』

ああ、神よ。星座神よ。端からゆっくり狩っていけばよかったのです。

『セツナ、何匹か連れてきてくれ』

なんかスキル使ったら、少し遠くにいて圏外だったはずの牛が突撃してきた。

さらにヴァージルは俺に牛を連れてくるよう指示した。

そう、指示されたのだ。

『うーん、セツナ、足りない』

もしかしてヴァージル、牛肉好き? 兄上にとか嘘?

実力差がありすぎるので単なる牛さん虐殺会場になっている。

『もう少し肉を持ってきてくれ』

『お、おう……』

シャトーブリアンの呼び名が肉になってるぞ。

俺が【投擲】で牛を引き連れヴァージルの元に持っていく。パーティーを組んでいるので位置はわかる。三匹くらいが回避もできるし安全に移動ができた。

そして地獄絵図にぶち当たるのだ。

『ヴァージルなんで十体もいるんだよっ!』

『ああ、ありがとう。すぐ終わらせるよ』

事前に炎禁止は言っておいたが、付与をするまでもなかった。一応汎用触媒で水付与はしておいたが。

【なぎ払い】と同じような感じで水でさらに切れ味を増したヴァージルの剣が、一瞬で牛を真っ二つにする。

俺の【持ち物】にごろごろっと肉が転がり込む。

うわーっと思っていると、俺が連れてきた牛も瞬殺していた。

『さあ、次の肉を探しに行こうか』

と言いながら地面の石を拾ってた。

こいつ、【投擲】も持ってやがる……。

どっちが先にヘイトを取るか選手権みたいになってきて、二人で併走して片っ端から【投擲】。引き連れた牛を振り向きざまにヴァージルが一閃する。

なんかこんな戦法あったよな……細い路地で走って、敵を一列にして一人ずつ倒していくやつ。

ヴァージルは全部倒します。

効率の鬼と化した!!

『ちょっと。ヴァージル、ギブアップ。もう重さが限界来ちゃう』

『ああ。俺の方に入れておくか』

ヴァージルも容量大な鞄を持っているらしいが、そうじゃないよヴァージルさん。もう十分だよ!

『いったんローレンガに帰ろう。ちょっと早いけど、宿屋で休もう』

『そうか? 結構容量は余っているが……』

無限に湧き続けるモンスターでよかったな! そうじゃなかったら怒られるところだぞ。

『もう十分だって。さ、行くよ!』

なんとシャトーブリアンのシャトーブリアンを五塊ドロップした。双子座のおかげでドロップ率アップしているのはそうだが、前回案山子と行ったときは一つだったのに、五つも。確実に、倒してる数が増えていた。

『案山子に何か美味いもの作ってもらおうな! そのときは案山子も騎士団に連れて行っていい?』

『構わないよ。門兵には言っておく。あいつらに大人気になるだろうな』

神と崇められても当然の状態だと思う。みんな案山子のご飯が大好きだ。

騎獣でローレンガへ向かう。走り抜けてしまう感じなので問題なく帰還。先ほどオススメされていた宿屋へ向かった。

一泊8500シェル。高いね! だけどヴァージル泊まるならある程度のランクが必要だなと思った。貴族だし。ぶっちゃけこれでも低いくらいだと。

『休めればいいんだが?』

ヴァージルに気を遣われた。

『卸すとこ検討すればこの肉が結構いい値で売れそうだし大丈夫だよ。初めての街なんだろ? 宿屋はしっかりしたところ泊まっておいた方がいいよ』

追い剥ぎクエストみたいなものもあるようだし。

ヴァージルを追い剥ぎにあわせたら、追い剥ぎ泣いちゃうしね。

高いお宿は寝間着つきです。

「浴衣だーっ!」

「ゆかた……外で皆が着ているようなものか?」

「あー、浴衣は基本寝間着。ほら、薄いだろ? ここの人たちが着てるのは着物だね。男の人は着流し姿が多かったけど。袴まで穿くのは旅する人かなあ」

「着流し……」

さすがに宿はベッドだった。旅人用なんだと思う。町並みは江戸だから、窓も横にスライドするタイプだ。

「気に入ったなら俺が起きたら買いに行こう。悪いけどそろそろ限界です。おやすみヴァージル」

「ああ、おやすみ、セツナ」

ログアウト。