軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

413.アンジェリーナさんと空の旅(帰路編)

朝になり、少し眠たそうなアンジェリーナさんが現れる。

「おはようございます」

「おはよう、セツナ君。元気そうねえ」

「来訪者の体内時計ちょっと狂ってるんで。明日の明け方まで元気ですよ」

そこからしばらく起きない感じです。

美味しい朝食をいただいた後は、帰路に着く。

「またよろしく頼むよ」

上機嫌なクーピリオン伯爵に、アンジェリーナさんも笑顔で答え飛行船へ向かう。

「あのレベルの修復が必要になることはないし、今度依頼が来たらセツナ君に任せてみようかしら。なんだか二人とも随分仲が良くなっていたみたい」

「アンジェリーナさんが寝ている間、伯爵様の本棚を色々教えてもらっていました」

「ふふ、本当に本が好きなお方なのよね」

行きはアンジェリーナさんが仮眠すると言ってスキップすることができた。しかし今回は二人で甲板に上がり空からの風景を眺めている。

風景二割、アンジェリーナさん八割で見ておりますYO!

「セツナ君は最近第七都市に行っているのよね?」

「そうですね。第七都市中心ですね。ついつい新しく行けるようになったところに行きがちで……」

「来訪者の子たちってみんな好奇心旺盛でそうなるのはわかるわ」

微笑むアンジェリーナさんにうっとり。

「怪我をしないようにだけ気をつけてね。それで、この間会ったのが聖地へ一緒に行った騎士団長さんよね」

それで……それでで繋がる文章だった? ねえ。強引じゃないですか、アンジェリーナさん。あいつのこと気になる!? いや、そりゃ、気になるよねっ!! ガチ恋勢が何十万単位でいるんだもんねえええ!!

内心、血涙を流しつつ答える俺。

「はい、そうです。聖地でも色々と世話になりました」

やっぱりあの面はとんでもない凶器だ。この後続く会話は、「ヴァージルさんって彼女はいるのかしら」とか「普段から一緒に狩りに行ったりしてるの? 私も二人が狩りをしているところを見てみたいわ」とか、俺が引き合わせるお友だちポジに成り下がっていくんだあああ!!!

「他の都市の騎士団の方とも仲良くなったの?」

「ほか、ほえ? 他、ですか? えっと、えー、一番仲が良いのはなんだかんだとイェーメールの第三騎士団ですけど、他に第八都市の第九騎士団の方が俺の武器、 細剣(レイピア) の使い方を教えてくださいました」

「第八都市というと、獣人が多い場所ね」

「はい。とてもお強かったです」

「セツナくんはいろんなところでいろんな人とお友だちになれていいわね」

どういう意味だろう。

やっぱりヴァージルとお近づきになれてってこと? いやいや? なんかちょっと感触が違う。

はっ!! もしや、アンジェリーナさん以上に目を向けているのねって思われてる?

「それでもやっぱりアランブレが一番居心地がいいですよ!」

アランブレの貸本屋が一番です。

一瞬きょとんとした表情を見せたアンジェリーナさんだったが、にっこり笑ってくれる。だが、次の瞬間少し顔を曇らせた。

「オルロが言っていた、第六都市のことなんだけど……」

「あー、あのネズミに脳をやられたぼったまの」

「ネズミ……ミュスよね。やっぱりあちらには近づかない方がいいみたいよ。領民は普通に暮らしているけれど、とうとう疫病が流行りだしたんですって。でもほら、ミュス狩りを禁止されているでしょう? この国は領地の力が強いから。特に第六都市は聖地を挟んでほとんど反対側だし、王都の威光が効かない土地なのよね。だから、隣である第七都市にいるときも少しよく周りの様子を見て気をつけてちょうだいね」

えっ……心配されてる!?

「はい」

感極まってはい、しか言えん……!!

アンジェリーナさんに心配を掛けるなんて言語道断だが、心配してもらえるこの幸せを噛みしめて、アランブレでミュス狩りします。

ミュス殺害数を重ねておいてやる。

「私の方でも貸本屋仲間から色々情報は集めているんだけど、セツナくんは騎士団長さん経由で第六都市の聖騎士団から何か情報をもらえたりするといいわね」

ああ、そういや、あそこには聖騎士団がいるんだもんね。うーむ。それよりはファマルソアンさん経由で第七都市の聖騎士団からの情報入手の方がいいかな。なんてったってお隣の領地だし。

ソーダとかにもあの領地の様子を聞いてみるか? 向こうが気を遣うんだよね。俺、掲示板は見ないようにしているから。でもアンジェリーナさんにこうやって心配されてるとちょっと気になる。言ってみればNPCから警告をもらっているようなものなのだ。

もう何のフラグを踏んでいるかまったくわからない。

「とりあえず、第六都市の動向には注意します。あちらには出向かないよう気をつけています。ちょっと来訪者ネットワークを使って、色々聞いてみます。俺はあまり知らないんですがクランメンバーに情報に詳しい人がいるんで。聖騎士団経由でも聞いてみますね。ヴァージルは少し遠いから情報が入手しにくいかもしれないですし、それよりは第七都市の聖騎士団経由で話を聞く方が確かな情報が手に入りやすいかなと。第七都市は色々伝手もあるので」

「そうね。うん、それがいいかも。ウォルトにも情報は集めておいて欲しいと言っておくわ」

「いやいやいや、俺が聞くんでいいですよ! アンジェリーナさんの手を煩わせてしまいますからねっ」

男はぁー! 排除だあああ!!

「そう? セツナくんはウォルトとも仲がいいから、その方がいいかもね」

は?

あの眼帯男と仲良くしたつもりはございませんが?

あいつは!! 情報源ですよ情報源!!

あくまで利用してやるやつですよっ!

残りの空の旅は男の子同士っていいわねーなどとにこやかな笑みを浮かべているアンジェリーナさんに、俺は全力で抗っていた。

違うっす!!

と、いうことで。

第七都市です。聖騎士団にアプローチするのもだし、俺そろそろメインも進めたい。なんだっけメイン。ケイローンさんも言ってた人だよね。

あと、第七都市の聖騎士さんに聖属性のスキルの話を聞く、と。

やることいっぱーい。とりあえずメインさんから!!

メインはクエストを選ぶとナビがでるので助かる。ナビゲーションに従って第七都市の中を歩いていく。行き交うエルフさんたちが軽く頭を下げてくれるので俺も会釈をする。

ソールの師匠である人のおうちは普通の小屋だった。本当に、ふつーーーーのおうち。

扉をノックすると、お、お爺さんエルフだ。長命のエルフには珍しいくらいよぼよぼしてる。これが三十五犯いや、三十五版の男!!

「初めまして、セツナと申します。お弟子さんのソールさんからご紹介いただきまして……」

「あんだってぇ?」

ダメだ、耳が遠い……。