軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

409.空の国への報告

ヒューマンクエストクリアの連絡はもらえなかった。

俺たちはぽちっとなで帰るにしても、せめて入ってきた道へ戻ってからにしようと歩き出した。

空人は、まず種とすることでその人そのものを変化させたわけではなかった。たぶん種を飲んだ人から何か対価を搾取するようになっているのだろう。

「そこが問題よね。つまりさ、空人になったら翼を手に入れる代わりになにかしらステータスにマイナスが発生する可能性があるってことよね」

わりと前のめりなピロリ。

「だってー、殴って引くときに空にも後退できるってことでしょう。戦略的幅ができるのよ。そして何より、可愛い私に天使の翼は似合う」

「天使のイメージが顔だけでそこに翼が生えてるからちょっと怖い」

「セツナくん!? あなた……いったい何を見てそうなってるの。とんでもないイメージ映像持ってくるわね」

「あれちょっと位が高い天使でござるよ」

正直怖いなあと思って見ていた。

「種を飲む前に空人に確認してみるのもありでござるね。ここで起こったことを話さねばならぬでござるが」

「まあ、クエストの順番的にそれが正解っぽいね」

試しにクエストのナビゲーションをONにしてみると、アランブレの方角へ矢印が伸びている。

ちなみに、難易度の高いクエストは街全体を指しているだけということがあるらしい。ヒューマンクエストはそういった類いのものでないらしく、これの通りに行けばよいだろう。

「それじゃま、あとはまた各人己のタパパ君と戦うように」

「あのやんちゃ坊主……寄り道だけはさせないように頑張るわ」

何気に買い食い代がかさむ子だ。

俺も翌日、ログインして空の国へ向かう。早めに済ましてしまおうと思ったのだ。

地上から一瞬で空へ上がると、タパパ君が向こうから走ってきた。

「セツナ! 海調べに行く!?」

「ああ、それなんだけど。ちょうどあっち方面に行く用事があって昨日再トライしてきたんだよ。そしたら海底に扉を見つけてさ……ちょっとラパパさんに一緒に説明していい?」

「ええっ!? 俺も見たかったなあ」

「海の底だからタパパ君は入れなかったかな」

「ちぇーっ」

そう言いながら並んでお爺ちゃんのお部屋へ向かった。

「やあいらっしゃい。途中までの報告はタパパから受けているよ」

とのことだったので、その後起こったことを話した。友人と一緒に行ったというところはあえて隠しました。たくさんのタパパ君増殖しているだろうし、システム的に混乱するようなことは口にしなくていいかなと。

「なんと……そのような歴史が」

「ええー、俺って昔は海で泳げたってことー?」

多分それは違うかな、タパパ君。タパパ君は後にも先にも海で泳げないかと。羽根がずぶ濡れになっちゃう。

「空人と空人の間から子どもが生まれても 無翼(ムルス) の可能性があるということで、対価を下げたのかなと考えました。それでも、寿命がプラスされているのがまた不思議で……みなさん、魔女に何か搾取されていませんか? 空人の体質とか、何か対価を払い続けているとか。海人から地上人になったときの寿命のマイナスをプラマイゼロどころかさらに長く生きるようにしているのが……ちょっと解せなくて」

ラパパお爺ちゃんはかなり考え込んでいた。

「少し、昔の文献を漁ってみようと思う。何かあったらタパパから声を掛けさせるよ」

「わかりました。俺も本を探してみたりしますね」

と、いうことで、これでたぶんクエストの最先端にきたはずだ。続きは運営がオープンにするまでお預け。

「じゃあね、タパパ君。またね」

「おう、セツナ。そのうち連絡するよ!」

となれば向かうはアンジェリーナさんの貸本屋……の前に、ウォルトから渡された品物を集めなければ。採取場所なども書いてあった。基本的にソロで集められるものばかりだったが、付与剣があってかなり楽になる部分が多かった。

二、三日かけて集めて、転んだところはソーダと八海山が手伝ってくれる。

そうやってアイテムを全部集めきって、久しぶりにアンジェリーナさんの店に訪れた。

「お久しぶりですアンジェリーナさん」

「いらっしゃいセツナくん。ちょうどよいところにきてくれたわ! 三日後くらいに一緒にファンルーアに行かない?」

きたーっ!!

「もちろん。おともしますよ」

「ファンルーアの領主様の修復依頼でね。ご指名なの。せっかくだからセツナ君にも見ておいてもらいたいわ」

「了解です」

「それでね、必要な素材を準備しないといけないのよ。それが集まってからになるわ」

「素材って何ですか?」

とぼける。超おとぼけをかます。

アンジェリーナさんはカウンターの後ろにある引き出しからノートを取り出すと素材の名前を挙げていった。

承知しております、アンジェリーナさん!

「ああ、そこら辺は持ってますね。前にオルロさんやウォルトさんに、これからの修復で必要になる素材があるんだとチラリと聞いたものなんですけど」

と現物を机に並べて見せたらとても感謝された。

「完璧ね。これなら早めに行けそう。セツナ君、何日頃なら大丈夫かしら?」

俺のログイン時間と日付を、ゲーム内に落とし込んでここからならいけますと提示する。

「イェーメール経由で、飛行船に乗って行くわよ。起きたらうちにきてね」

「わかりました」

いいいいやっっほうっ!!!

デート、デート! アンジェリーナさんとデート!!

はっ、これはスクショが欲しい。俺とアンジェリーナさんが仲睦まじく歩いている様子のスクショが!!

『メーデー、メーデー、メーデー』

『何? 狩り場で轢かれた?』

我が友ソーダへの伝令だ。

『いや、今度アンジェリーナさんとデートになった。行き先はファンルーア。イェーメールの飛行船経由だ』

『それはそれは、おめでとう』

『写真家求む』

『……おまwww 隠し撮りするのwww』

『だってえええ、予定が決まってて二人で歩いていけるってほんと少ないんだぞ!! お願いだよぉー、この間クラン資金から返してくれた分もいらないからさあ、スクショ撮ってよお!!』

『おもろすぎるだろうwww てかそれ、アンジェリーナさんのこと、バレない?』

『え、バレる?』

『イェーメールとか、親衛隊の巣窟だろうが。誰かしらの目に留まるぞ。とはいえ、貸本屋の存在がばれつつあるからなあ。いつかはバレるんだろうけど。むしろアランブレの貸本屋が未だに所在不明として扱われてるのが不思議なくらいだ。初手で見つけないとだめなのかもしれないな』

『おおん……だがしかし、アンジェリーナさんとの小旅行に勝るものなし!』

『師弟関係になって、人より抜きん出てるもんな』

『それ!!』

ということで欲望には忠実に。スクショをお願いしました。俺と事前パーティーを組んでおけば問題ないだろうということになった。