軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

404.新しいことは調べよう

ちょうどヒューマンタイプばかりなのでこれ幸いということで、クエストの話をする。

「タパパ君とエンカウントしちゃってさ、ヒューマンクエストの続きしてた」

「あら、お疲れ様」

「どこまで行ったでござるか?」

「海の中に鎖を見つけたところまで」

「拙者もそこでやめたとこでござる」

「タパ君放っといて潜るわけにいかないものねー」

「俺まだやってねえわ」

ピロリと半蔵門線は同じところで、ソーダはまだこの間から続きをしていないようだ。

「ミュス狩りに行ったら捕まっちゃった」

「向こうから来たってことは、そろそろ進めとけよってやつか」

「時代が追いついてきたぞってことでござるね」

運営の推奨する進度ということらしい。

「なら俺もやっちまおうかなあ」

「海に潜って鎖たぐりするの時間かかるわよー」

「【潜水】ないときついでござるね」

他にも一人で鎖を引っ張るのをためらったプレイヤーが知り合い何人かでやったそうだ。それでも進めたということなので、せっかくなので一緒にやろうかという話に。

「ヒューマンであれば受けられるクエストだからね。時間はかかっても、必ず先に進めるようになってるらしいわよ」

受けられる条件がヒューマンであり、ステータスには関係ないという。

「タパ君とナパちゃんをうまく制御すれば戦闘は困らないしね」

「あれ、上手く制御できるの?」

「……やってる人はいるわよ。とっても苦労してるけどね」

やっぱり苦労するんだな。

ソーダがその日進められるところまで進めるということになったので、夜が明けたら俺はアンジェリーナさんのところへ移動だ。

今日はどこら辺を読もうかな。ミュスは気になるけど、あれ以上本がないようだった。別のアプローチもいるのか?

あとはまたヒューマンクエスト関連……うーん、ポセイドン系か。

「こんにちは!」

「いらっしゃいセツナくん」

今日も麗しいアンジェリーナさん。

「お仕事何かありますか?」

「今のところは大丈夫かしらね。ウォルトにそのうち頼みたいことがあると言われているの。一緒に行ってもらうかもしれないわ」

「よろこんで」

あれかな、ご褒美かな、ご褒美!!

「今日はまたちょっと空人と海なんかについて調べたくて。海の神様ってどうなっているんですか?」

「海の神様ね……海もまたその近くの星座神の領域ではあるのよ? ただ、海は海で特別に海神様がいらっしゃったはずよ。ええと」

と、カウンターを出て本棚を探し始める。

それにしても、本当にここには来訪者が来ない。

俺のオアシスだ。

「海は星座の神々とは管轄が少し違うという話をどこかで読んだ気がするのよね」

ううんと唸りながらアンジェリーナさんは五冊持ってきてくれた。

「全部読む?」

「はい。お願いします」

2500シェルのお買い上げだ。

借りたのは『海に生まれて』『海の神々』『海洋モンスター』『死への歌声』『渦の迷宮を越えて』だ。

ざっと読んだところ、やっぱり海から人は陸へ移動し栄えたという話。ただ、最初は海とも上手くやっていたという。それがあるときから海の魔物が増え、やがて人は陸地の奥へ奥へと向かったそうだ。でもなあ、ここの陸地治めているのって星座の神々だし、後付けっぽい。

文体も、と言われているとか、だそうだとか。ほぼ伝聞口調。

海の神々は、ポセイドンとは表記されていないが、海を統べる神は馬に乗り現れるとあった。海神が平定しているから、船が行き来することもできているそうだ。

ということは、まあまあ上手くやってる?

人の始まりと海の神様は別ってことかな??

気になったのが最後の二つ。『死への歌声』『渦の迷宮を越えて』だ。

これ、ダンジョンっぽい。

歌声はお約束のセイレーンだろう。海を行くとき気をつけないといけないもの、だそう。

二つ目の渦の迷宮を越えては、とある地域の海には渦が巻いて越えられない場所があるという。だが、運良くそこを越えた船は財宝を手に入れることができるという内容。冒険者がそうやって宝を持って帰ってきたという冒険記だった。

いや、でも、ヒューマンクエストだからそこまで敵が強いってことはなさそうだって話だったよな。

ってか、海の神様は結局、乙姫様のパパってことだよなあ。和洋折衷どころじゃない。

「父親が三叉槍だけど、娘はステゴロになったのか……」

そういえば馬も絡んできていた。前に海底神殿にお邪魔したとき、馬が不思議だったから調べたら、ポセイドンの乗り物が馬だった。なんてことでしょう。海と馬って繋がらないと思ってたのに、まさか海を馬に走らせるなんて。泳いでるのか?

なので今回の神様がポセイドンなのは確実だが、そこから何か引っ張れることはないかと思うが特に今のところ見つけられていない。

全部神話通りじゃない。むしろ神話通りにまったくいってないので今回も何かトンデモがありそうでドキドキだ。

夕方まで読んだ後は第七都市に移動してまた貸本屋にお邪魔した。いやね、八百冊はさすがにガツガツ読まないと読み終わらないんだよ。

そして、たくさんお勉強したんだねって、アンジェリーナさんに褒められたいっ!

知力高めたら絶対褒めてくれるんだよアンジェリーナさんはよお……。

「熱心だねえ」

「色々情報集めておきたいんですよ」

ウォルトが本を山積みにしている俺に呆れたように言う。

「お茶でも飲む?」

「えっ!? ここ、飲食OK?」

「いや? 奥でだけど?」

えーとですね、今、来訪者さんいるんですよ……。明らかにチラッチラしてる来訪者さんがね。

「お弟子候補さんたち放置して?」

「ん? なんのこと?」

よくわかりませんみたいな顔して首を傾げてる。

きゃーっという声にならない圧をいただきましたよ。

このキノコハウス、いつの間にか机が増えているんだ。全部で七テーブル、椅子がそれぞれ三脚ついている。今日の俺も相席である。貸本屋で相席するの珍しいんだよ……。

俺、飲みに行っても刺されないだろうか?

例の動画、写本師っていう新職業だったというのもあるが、ヴァージルに追いつく勢いで再生数がですね。

アリンさんから連絡がありまして、「あそこまで気になさらなくても、変わらずヴァージル様のお姿を映してきてくだされば、他の男の動画があろうが構いませんわ」ということでした。

親衛隊からは刺されないが、ここでお茶しに行ってこっちから刺されない!?

「おいで、本も持ってきていいよ」

そう言ってウォルトが奥へ行く。

すると、小さな声で話しかけられた。

「行ってください。そして、スクショを」

サムズアップ。

お嬢さんお兄さんたちからサムズアップ。男アバターもウォルト目当てかよ!!

「期待してます」

そうやって奥へ追いやられた。