軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

403.タパパ君と再び祠へ

それじゃあと部屋を出ようとしたらタパパ君に捕まった。

「セツナ、いつ行く? ねえ、今から行く?」

「いや、えっ……どこに行くかわかってるの?」

「わかんないけどこの間の祠は見てみるべきじゃない?」

そこは確かに同意ですが。今から行って帰ってこられるかなあ……日が昇ったら俺、貸本屋行きたいんだけど。

「すっかりなつかれておるな。気をつけて行っておいで」

「うん、それじゃあね爺ちゃん!」

腕を引っ張られ、前は俺が作っていたパーティーを、タパパ君が作って配るまでになっている。成長してるよタパパ君。

仕方ないから付き合うかあ。ああ、なんとか早く終わらせたい。

目指すはファンルーアのあの祠。崖の途中のえぐられた場所。

一度始まりの平原に降りてぎょろちゃんを召喚する。

『タパパ君、今回行きはすべての魔物をスルーします。殴ったら、その時点で今日は終わりです』

『えっ!?』

『俺、昼くらいには用事があるんだよ。ささっと行くよ』

大事な用事です。そう、タパパ君。君よりもね。

はっきり告げたおかげかスムーズに空の旅をすることができた。ファンルーアくらいまでならぎょろちゃんは避けることもできる。

まだ日が昇らない真っ暗なうちに例の断崖絶壁に辿り着いた。

『それじゃあ今回も俺がセツナを支えるね』

『頼むね』

【木登り】……通用しそうだしなんとかなるだろう。

そうやってやってきた祠。前回もあった翼と槍の紋章を眺め、種の載っていた台座の周りを調べていると、風を感じた。

そよそよと俺の頬を撫でるそれは、どん詰まりだと思っていた奥へ流れていく。

おかしいな。風の通り道がある。

「ねえ、タパパ君。この中、風が通ってると思わない?」

「え、……ホントだ。ちょっと待って」

そう言って畳んでいた翼を広げると、狭い祠内でばさっと羽ばたかせる。何やら空人特有スキルだったらしく、風の塊が祠の奥へと消えた。

「セツナ、ここに隙間があるみたい」

一番奥の岩がゴツゴツしている場所を指さす。

二人でせっせとその周辺を押していると、突然ガコンと音がして祠の壁全体がずるずると奥へ移動した。

「わわわわ」

「おーっ!!」

隠し扉だっ!!

「セツナ! すごい、階段があるよ!」

ずれた先に細い階段がずっと続いている。飛び込もうとしたタパパ君の首根っこをむんずと掴んで後ろへぺいっとやった。

「何があるかわからないから、ここは大人の俺が先ねっ!」

「俺の方が年上だよ」

あ……そういや空人長生きさんだったな。

なのになんでこんな落ち着きねえんだよおお!

「見かけ年齢の問題ですよ」

強引に先をとります。だってねえ。ころりっとされたら寝覚めが悪い。

ゆっくりゆっくり下って行くと、やがてその先は海。

ぐるーっとゆっくりカーブを描いていて、ちょうど祠の下辺りに出たのだ。

「海かあ」

「セツナ! 俺ちょっと飛んで見てみたい」

「海パン履き替えてもなあ。海のモンスター出てきたら俺、弱そー」

海は基本的に入れる範囲が決まっていたりするらしい。ずーっと先まではいけないそうだ。たぶんマップ区画ごとに入れる入れないが決まっているんだろうな。

まあ、いっちょ行ってみるか!

船長たちにもらったカナリアイエローのサーフパンツ。

入れなかったらどうにかなるだろうということでじゃぼんと豪快にダイブ。タパパ君はぐるぐるあたりを飛んでいた。

「セツナーっ! この辺り、とりあえず見た感じモンスターはいないよ。海の中はわかんないけど」

「それじゃあちょっと潜ってみるから、タパパ君はさっきの階段の出口で待っててね」

手に入れた【水泳】系と【潜水】の使い所ですよ。パッシブだけど。自動的に使います。

水は濁っていなくて綺麗なので、底までよく見えた。

【潜水】の時間ギリギリまで、あちこち見て回る。息継ぎに上がるたびに、タパパ君が真上にバッサバッサしてくるんだよね。待っててくれていいのに。

そうして何度目かの素潜りで、見つけてしまったのだ。海の底の底に鎖がある。鎖とか、引っ張りたくなるじゃん。

で。思わず手に取ってみたがその先にあるメダルに彫られた模様に手を止める。

三叉槍と馬が描かれている。

ポセイドンだよなあ。つまり、海だ。海から上がって地上の人になり天に上ったって話だよ。ヒューマンクエストはやっぱり陸海空の三層で繰り広げられるのだろうか。

とりあえず一人で引っ張っていいものか、ちょっと悩む。が、よく考えてみたらこのクエスト、一人に一タパパまたはナパパがつく。基本一人でやるクエストなのだ。

よーし引っ張ってみよう!

海底に足をつけて、踏ん張る。思いっきり引いてみるが……変化無しだ。

力が足りないのかな? ともうちょい引いてみる。

お、鎖が持ち上がり、さらに海底に埋もれていた部分がぴんと引っ張られて現れた。その先を求めて鎖をたぐり寄せる。

海底の砂が舞い、視界が悪くなる。やがて引っ張る余地がなくなったのか、ぴんと張った鎖を、俺は息の続く限り辿っていった。

一回息継ぎしました。さすがに無理だった。

ようやく辿り着いた鎖の先は海底にある扉に繋がっていた。

これは、いかん気がする。

ここを開いたらここから先が長そうだ。さてどうしよう。タパパ君はどうせ海に潜れない。 うん、一度帰ってもらうのがいいな。

泳いで元の階段まで戻る。

「どうだった?」

「まだ特に見つからない。また何度か潜ってみるよ。今日のところはもうそろそろ俺も行かないといけない時間だし、解散しよう」

「そっか、海は入れないから、セツナ、よろしくな!」

無邪気な笑顔に多少の罪悪感は抱いた。

でも仕方あるまい。

本人も入れないって言ってるし。

階段を上りきって、祠に出て、またもやあの断崖絶壁をずりずりと移動する。

それじゃあなと分かれたところでクランハウスに直行だ。

海に入ってベタベタするかと思えばそうでもない。そこまでの再現は不快感しかないからしないのだろう。

「セツナ殿おかえりでござる」

「あら、海パンでどうしたの?」

「派手な海パンだな」

そういやそのままだった。しかしちょうどいい。ヒューマンばかりが揃っている。