軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

401.【番外編】緊急事態発生!ポーラの花粉地獄!!2

半蔵門線はローレンガにセーブしていたらしい。とりあえず第七都市のクランハウスで集合になった。

そこにはクランメンバーが全員揃っている。もう夜も遅くなってきていた。

「スレが大荒れに荒れてるぞ」

ソーダが笑って言った。ピロリもニヤニヤしている。

「特設エリアにいたプレイヤー全員死亡ですって。半ちゃん、経験値大丈夫?」

「まあ、1%でござるから、そんなに気にしてないでござるよ」

トップクランメンバーの1%は重そうだ。

俺はそのうち遊んでたら戻るだろう。気にしてない。

「なんで爆発したかって話してるんだけど、なんか見た?」

俺と半蔵門線は顔を見合わせる。

たぶんだけど粉塵爆発。でも、別にわざとじゃないだろうしなあ。

「原因わかるまで立ち入らない方がいいかもな」

「ああ、そうなっちゃうんだ。原因は多分火だよ。アンジェリーナさんから火厳禁だってメール来たところだった」

「マジか! 本だろ? 読んでこいよ」

「うん、明日の朝九時頃伺いますって送り返しておいたよ」

「え? 今から……」

「は? 美容に悪いだろう。午後八時だぞ」

俺がこんな時間にアンジェリーナさんのところに行くわけがない。行ったらたぶん店が開いちゃうんだよ。プレイヤー都合で。そんなことさせるわけがないだろう。

「お、おう、まあ仕方ないか。燃えやすい花粉なのか。とりあえず周知しておくか」

「本を読んだら弱点とかもわかるかもしれないけど、明日までわかりません」

「図書館ももう閉まってる時間だな。他の貸本屋は?」

「え、アンジェリーナさんが本を準備してくれてるのに他の貸本屋に行くという選択肢はない」

「おう……」

「手柄横取りでいいなら、私がイェーメールに行ってくるのじゃ」

「別に構わないですよ。俺はアンジェリーナさんのところで読むだけですから」

どうぞどうぞだ。

ソーダたちが顔を見合わせているけど、そのあたりは本当に気にしていないのでOK。

みんなが一生懸命クエストしようとしているのもわかっているしね。

花粉症のデバフがキツくてまともな狩り場では狩りができない。

ということで俺はスキルがまったく必要のない始まりの平原で狩りをする。

ミュスは……ミュスもくしゃみしてるんだけどwww

ヂュッって茂みに隠れているはずなのに鳴き声がするから何かと思ったんだよね。

ぎょろちゃんはまったく影響を受けていない模様。相変わらずちょっと飛んでいって舌先にミュスを捕まえて帰ってきてくれる。

と、イケメンからハトメールが入った。

『大変なことになっているが、セツナは大丈夫か?』

ぜんぜん平気だけどね~。たまにくしゃみ出るくらいだし。

『俺は平気だよ。まあ、くしゃみは出るけど。そっちの方はどんな感じ? 今来訪者が躍起になって解決策探ってるよ。俺たちの元の世界にもさ、同じような症状をもたらす病気があったんだよね。嫌がってる人多かったし、本気の来訪者は怖いよ~すぐなんとかなるさ』

鼻ずるイケメンとか需要あるのかなと思いつつ、そうだなあ、セバスチャンさんは心配だなー。ちょっとダッシュでコーララ草採ってくるか。

始まりの平原の遠くの方まで来ていたので、コーララ山脈は近い。ゲーム内一時間で余裕だろう。

朝まで暇だし行ってくるか~!

ぎょろちゃんに乗り込むとかなりの速さで飛びだした。ぎょろちゃんの後ろ足の火に引火しないか心配だったが、さすがに普通のマップでは関係ないようだ。ポーラの花の特設マップの花粉濃度が尋常じゃないってことだな。

コーララ山脈はそれほど混んでいなかった。プレイヤーが数名採取していただけだ。みんな、俺のぎょろちゃんに釘付けである。へへっ!

俺も一緒になって【持ち物】に収納。そのままアランブレへ帰還してヤーラ婆のお店へ向かう。

非常事態だからさ。アンジェリーナさんじゃないし、時間とか関係なし!

「こんばんは~夜分遅くにすみません」

プレイヤーが来ればNPCはわりと対応してくれる。ということで、奥から軽い咳をしているヤーラ婆が現れた。

「ヤーラさんも、咳出てますね」

「私もいい年してるからね、どうした?」

「コーララ草を一応採ってきたんですよ。よかったら使ってください。焼け石に水かもしれないですけど。あと、できた薬を一つか二ついただきたいです」

「それは助かるね! できた分を持っていきな」

三つもらう。お金を払おうとしたら断られた。まあ、物々交換ってことかな。

ヤーラ婆はそこまでひどくないようだ。

「根本をどうにかしないと、このままじゃ死人が出そうだね」

「来訪者がわりとあっちこっち駆けずり回ってますよ」

「それは頼もしいね」

お礼を言ってそのまま向かうはイェーメール。

『セバスチャンさんは大丈夫? 俺一応普段のポーラの花粉用の薬持ってるけど』

と、メールを送った。

夜中だし返事はないかもと思ったが案外すぐ返ってきたのだ。

『薬は助かる。やはり年齢を重ねていると症状は重くなるようだ』

おお、それはいかん。むむ、てことは ウロブルのじーちゃんもヤバいのか? いや、さすがにあっちは薬は持っているか。あのときも、たまたま手元になくて俺があげたってだけだったし。

アスター家の前で待ち合わせをすると、普段着のヴァージルがやってきた。心なしか目が赤い。そして俺の前でくしゃみを一つ。

……まあ、アリンさんたちの好みがわからないので一応とっておく。

ほら、俺からしたらアンジェリーナさんのくしゃみもご褒美だからさ。同じような物とは思いたくないが、客観的に見たらたぶん彼女たちと俺は同じ穴のムジナだ。

「ありがとうセツナ。ちょうど兄さんからセバスチャンが寝込んだという話を聞いたところだったから……頼ってしまった」

「セバスチャンさんには俺も世話になってるし。薬はちょうど手に入ったところだったからよかったよ」

そのまま中に招かれると、モーゼスさんが咳き込んでいたときのような咳が聞こえてくる。結構ひどいようだ。

ヴァージルが屋敷に帰るといつもすっ飛んでくるセバスチャンが来ないのはやはり心配だった。

やってきたメイドに咳止めを渡すと、いつもは落ち着いているこの屋敷の使用人らしからぬ速度で廊下を駆けていく。

しばらくして、ひどい咳が聞こえなくなった。効き方も怖いんだよね、この薬。

「もう二つあるから渡しておくよ。必要ならコーララ草もう少しとってこようか?」

「いや、咳止めは一度飲めば一週間は効く。大丈夫だよ、ありがとう」

一週間かあ。

ゲーム内一週間は二日ちょいくらいなんだよね。

「やっぱり心配だからもう一包もらっといて」

残り一つは持っておく。