軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

272.アリの毒の素

無事規定数の5爪を集めた。なんとかかんとかだよ。ヒイヒイです。もしかしたら作ってもらえるかもってことで、クランメンバー分も集めておいた。ドロップ率がかなり低くて、2日丸々かかった。しかも狩りが殺伐とした本気狩りでした。

続報を待てとみんなに言い渡して、学院へ移動する。ぴょいっと準備室へ。ドアを開けばブラウン先生がだらっとしてた。

とりあえず登場はだらっとなんだな。

「こんにちは~、爪採ってきたんですよ」

「はやいなあ! OKじゃあベルガナのところに行こう」

足の速さはコンパスの長さの違いか? と思ったがそうでもなかった。ほんとこの先生の廊下の早足の勢いのすごさが謎だ。

「爪が届いたぞ~」

「おおっ!? 早い。さすがは冒険者だ!」

ベルガナ先生が駆け寄ってきて俺から爪を受け取った。この爪、毒がまだ含まれてる。俺が扱うときはビエナちゃんからもらった手袋をしないと毒状態になるのだ。

先生はピンセットみたいなもので掴んでいた。

接敵していたときよりも、ドロップ品になったら急に縮んだ。親指くらいの大きさになった。

「素晴らしい、この爪に含まれる毒を利用して作るのさ。私の研究成果を発表するときが来たっ!!」

「自分たちの分も採ってきたんで、楽しみに待ってます。それで、アリ用の毒のお話を……」

「ああ、そうだったね。うん。ちょっと待ってくれ」

受け取った爪を全部ビーカーに放り込んで、周りに控えていた白衣の研究者に渡すと、彼らもなにやら騒いでいる。

それを横目にベルガナ先生は棚の1つからオレンジ色の花の入ったビーカーを持ってきた。

「これがナガミヒナゲシだ。【調薬】は?」

「一応習いました」

「毒魔法は基本、毒の素とスキル発動呪文で使用できる。スキルは【アントポイズン】」

ステータス画面を見ると毒魔法の【ポイズンボム】からのツリーでスキルが増えていた。

「使う毒の素は、アリの毒の素だ。それをこれから教えてあげよう」

ベルガナ先生はすべてピンセットを使っていた。

必要な材料を教えてくれると、調薬のアリの毒の素の欄に並んでいく。

「ナガミヒナゲシ以外は生産施設に売っているよ。瓶も含めてね」

「了解です」

乳鉢でゴリゴリそれらを混ぜ合わせ、スポイトで分量ずつ分ける。それでできあがりだ。

「アリにはびっくりするほど効くが、他のモンスターにはまったく効かない。注意してくれ」

「ありがとうございます!」

わーい、試してみたい。

今回できあがった分をくれたので、ちょっとヤりにいっちゃおうかなぁ~。

その前にアクセサリーだ。聞いておかないと!

「毒耐性のアクセサリーって、いつ頃できあがりますか? 俺も欲しいから、その商人さんに交渉しようかと」

「1週間もかからずに作り上げることができるね。設計図を売るという形になる。すべての製造をこちらで請け負うというわけにはいかないからな。我々は研究がメインだ」

そうして、1週間後なら商人に聞いてみるといいと、向こうから俺に連絡をするよう取り計らってくれるそうだ。

「かなりやり手の商売人だからな、心して掛からないと金を巻き上げられるぞ」

ベルガナ先生がにやりと笑う。

周りの研究者たちもうんうんと頷いていた。

フレンド交換していないローレンガの領主から、八海山へ連絡が届いたことがあるらしいので、NPCからなら連絡先を交換していなくてもOKなのだろう。

まあとにかく、アリさんを試しに行くのだ。

アリダンジョンに入る。入り口が土なんだよ。うん。本来はこうだよなぁ~ダンジョンっていったら洞窟とか、こう、自然に溶け込んでいる感じ。あの虹色ギミックダンジョンがおかしい。

アリダンジョンはそれなりに人気らしく、人の出入りも激しかった。

確かに1階はそこまで数も多くない。

俺は決壊したときに人様に迷惑がかからぬよう、【隠密】を使ってこっそり入り口から離れた場所へ移動した。どうしたって1階奥や、2階に行って効率をあげようとするので人の流れがある。

それをそれてしまえば大丈夫だろう。

そこへ、羽アリがやってきた。

偵察部隊だ。

なるべく引きつける。

「【投擲】」

石を羽根にヒットさせて落とす。

「【アントポイズン】」

アリの毒の素を投げると、彼らはなんとそれをむしゃりとやった。

そして来た道を戻ろうとする……が、力尽きて倒れる。毒が回ったのだろう。

しかし、むしゃむしゃからの、持って行こうとするのは、

「アリの巣コ○リ?」

実際には辿り着けてないが、アリにとってこの毒は一見ごちそうなようだ。

ものすごく……、経験値が入ってきた。

そりゃそうだろう。クランメンバー総勢7名で狩りをしていても経験値がそれなりに入ってきていたのだ。

【調薬】のための生産施設代、花は採ってくるとして、他の材料代。そこらへんの赤字を考えなければかなりの良い狩り場だ。羽アリを落とす【投擲】持ちであれば、つまり、半蔵門にもかなり美味しい狩場ではなかろうか?

問題があるとすれば未だ人気エリアだというところか。【隠密】はユーザーにも効く。そうなると狩りの事故は起こりやすい。

広めるにしても、狩り場の話などをよく知っている半蔵門線に相談してからだ。

とりあえず手持ちの毒を半分くらいまで使ってみようと動き出したところで、ハトメールがやってきた。

例のケルムケルサの図書室の司書さん、ラシードさんからだ。

要望などの準備ができたから来て欲しいと。

うーむどうしよう。

『空の国の司書さんから準備ができたから要望書を取りに来て欲しいと言われたんですが、テラエトゥーラの司書さんからの連絡はありますか?』

ふふ、師弟チャットです!

アリの巣を抜けるくらいまではお返事待ちかなと思っていたらすぐ返信が来る。

『テラエトゥーラ側も準備できているそうよ』

それなら、調整役としては事前にもらっていろいろ考えたい。先に要望もらわないと。

『テラエトゥーラも準備ができたそうです。どこかで落ち合ってお話をするのはどうでしょう?』

それならばと、ケルムケルサは一室準備することができると言われた。ケルムケルサの王宮とか入るの面倒なんだよなぁ。図書館ならいいけども。アンジェリーナさんへ、こんな風に提案されましたがどうしましょう? と送る。

『了解したわ。テラエトゥーラの司書長様に連絡するわね。日時が決まったらまた連絡ちょうだい。私は、空の国には行けないけど』

あ……あああああああああああ!! 失念していたっ!! くっそ……くっそ、俺のおばかちゃん!!