軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第311話気になるモンスターはいますか?

普通なら、テイムするモンスターなんてそうそう選べるものじゃないだろう。

自分の実力圏内で、運命的な出会いを果たし、なおかつ条件を満たした個体……になるんだろうけれども、僕くらいになるとこんな質問が可能だった。

「じゃあ―――どんな子にしましょうか? エルフの女王様みたいなのにします?」

「……エルフからいったん離れようか?」

「そうですか? 残念……。ビジュアルはバエそうですけどね。頑張ればたぶんハイエルフくらいは行けそうな気もしますけど?」

「それはそれで興味がないわけではないが……」

歯切れの悪い八坂生徒会長に僕はふむと頷く。

いまいちピンとこないというのなら、それもいいだろう。

相棒選びはインスピレーションも大切である。

だがなんとなくだが、もうすでに目星が付いているようだと感じた僕は八坂生徒会長の答えを促してみた。

「そうですか……では希望があればどうぞ?」

「そうだな……」

悩んだ八坂生徒会長はチラリと桃山君を見た。

そして少し迷っていたようだったが希望を口にした。

「その! 以前に桃山君が戦っていた鬼のモンスターが印象的だった……」

「ああ、オーガ系のモンスターですか」

「可能ならば、お願いしたいのだが……」

とんでもなく照れくさそうな生徒会長の言葉にどこに照れる要素があるのかまるでわからないけど、オーガか。

……中々強面を選んだものだった。

とはいえ相当に強くて優秀なモンスターだし、実にいいチョイスである。

オーガ系のモンスターといえば桃山君が担当している階層に生息が確認済み。

その上レイナさんの担当階層に挟まれているのは都合がいい。

開拓が比較的進んでいる階層なら、より強力なモンスターだって見つけやすいというものだった。

「ならレイナさんか……桃山君にお願いしたら間違いないですね」

「そ、そうか! ならお願いしようかな!」

声を弾ませる八坂生徒会長は、やはり嬉しいのだろう。

モンスターが仲間になるなんて、それだけでテンションが上がる気持ちは僕にだってよくわかる。

ただ僕は、ではどちらにお願いするべきだろうと一瞬考えた。

オーガに関して桃山君は詳しいとは思うけど、階層のカバー範囲はおそらくレイナさんの方が広いだろう。

その上、生徒会で面識もあるし、同性というのも案内としてはポイントが高かった。

ならレイナさんに任せた方がいいかと一瞬視線を動かすと、異様に素早くレイナさんが言葉を挟んだ。

「ワタシはちょっと今忙しいです! ここはぜひ! モモヤマに任せるべきですね! オーガといえば彼の右に出る者はいません!」

「そ、そう? じゃあ。桃山君お願いできる?」

「いいでござるよ? では生きのいい奴、紹介していいんでござるよね?」

桃山君の方も話を振ると嫌がるそぶりはないので、いったん大丈夫みたいである。

だが、ちょっと生きがいいオーガを手に入れようなんて甘い考えは感心しなかった。

「生きがいいどころか……この学校の生徒会長だよ? 舐められないように最強のオーガを選りすぐってきてくれないと」

「そ、そうでござるな……それは責任重大でござる」

「いや、まぁ確かに舐められるのは困るが無理をしすぎるのは……」

戸惑い気味に妙なところで遠慮する八坂生徒会長だけど、そうはいかないというのは桃山君の方でも把握していた。

「それはいけないでござるよ! 生徒会長……拙者が全力で最高のオーガを紹介するので大船に乗った気分で任せて欲しいでござるよ!」

「そ、そうか。それは楽しみだな」

「任せるでござる!」

桃山君が胸を張って断言しているあたり、相当に自信がありそうだ。

では担当も決まったので後は行動あるのみだ。

僕はいつものどこでも行ける不思議な非常口から二人を送り出す。

「……よし」

一仕事やり終えた気分で肩の力を抜いていたのだが、しかし扉が閉まった瞬間レイナさんにわき腹をつつかれた。

「……ワタヌキ。ワタシに案内をさせようとしたでしょう?」

「え? ああ、うん。よくわかったね」

「やっぱり! ダメですよ、そういう野暮なことしちゃ」

「……そう。そこは大事なところだと思う」

「え、如月先輩まで? なんかゴメン?」

選択をミスったか!?と焦ったら、よりやれやれという視線が返ってきてしまった。

一瞬何が悪かったのか攻略君にも聞こうとも思ったが、ため息が3つになる予感しかしなかったから、僕は口を噤んだ。