軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第307話最強の盾

「鏡いりますか? いりますよね?」

「目を見たら石になるんでござろう? ここは一つ我がスキル心眼で!」

「いやいや二人とも……もう鏡は必要ないんだ」

「えぇ~。あえて挑戦しましょうよ! あ! カメラを通せば行けるんですかね?」

「どうなんでござろう? 試してみて石化したらやばいでござるね!」

「まぁまぁ、二人とも落ち着いて? 今回はカメラじゃなくて、別の装備を試したいんだよね」

今回のメドゥーサ戦は、実際に解呪が可能かどうかがまず一つ、そして解呪ができたらテイムできるか否かの検証である。

そしてそれらを冷静に実行するために、新作の盾の初陣も兼ねていた。

伊達に同じ場所から9枚も盾をドロップさせたわけじゃない。

僕はさっそく9枚の盾を空中に浮かべて動作を確認した。

「おお……。いいですね! 守られちゃってる感じします!」

「でしょう? ゴルゴンゾーラシステムと名付けてみた」

「……チーズ?」

レイナさんは首を傾げたが、名前に反して性能はガチだと自負している。

「ちょっとノリは入っているけどぉ、まぁ三姉妹から命名したよ? じゃあさっそく始めようか」

僕は気を引き締めて、前を見た。

すぐそこにリポップしたメドゥーサは、盾の力を試すにはうってつけの相手だ。

僕は石化の魔眼にかまわず前に出て、シールドを展開した。

9枚の浮遊盾は全方位を守る様に、空中に広く強固な結界を発生させた。

「まず9枚の盾による範囲防御、フォーメーション M(メドゥーサ) 」

「キシャアアアア!」

なるほど、メドゥーサってこんな顔をしていたのか。

確かにモンスター寄りの姿は恐ろしいと同時になつかしさを感じさせる。

そして目が合った瞬間に飛んできた呪いは、シールドに弾かれる感触があった。

「対呪い性能良し。……おっかないなぁ」

このシールドは魔法を、とりわけ呪いを強烈に弾く守護があるらしい。

続いて飛んで来るこれは初攻撃。

呪いが効かないとわかるとメドゥーサは空中に大量の水の塊を作り出し、すさまじい水圧で無数に撃ち出してきた。

「よし! 撹乱して!」

「! 了解でござる!」

「任せてください!」

範囲攻撃と同時に桃山君とレイナさんは飛び出すが、これは打ち合わせ通りだ。

本来、広範囲に魔法がばらまかれる中で仲間が散るのは、タンクとしては最悪である。

しかし―――そんな時はこうだ。

「フォーメーション E(エウリュアレ) 。三つに分かれた結界がさらに広域の攻撃を弾く」

盾は高速で空中を駆ける。

三機一組で運用される三角形のシールドは高速で自在に動き、水弾を的確に弾いた。

ふむ、ゴーレム達の動きは正確で迅速。ほぼオートで行動している。

易々と弾かれる魔法に焦ったメドゥーサはその原因が僕にあると目星をつけたのか憎々し気な視線が飛んできた。

眼光がさらに凶悪に歪み、その呪いの瞳に魔力が集まっている。

集中した魔力はより強力な呪いとして光さえ伴って放たれた。

「……! すごいな。目からビームとは、随分わかってる攻撃をして来るじゃないか!」

ならば、僕も全力で迎え打とう。

僕はさっと手をかざす。

空間転移で呼び寄せた盾は僕の眼前に一列に並んで多層の結界を形成した。

「そしてこれがフォーメーション S(ステンノ) ! 一番固い結界って感じだ!」

グオンと不気味に空間を歪ませるほどの強力な呪いが直撃しても、ビクともしない。

安定感は抜群で、硬さを追求するならこいつは使えそうだった。

「「おおー」」

パチパチと手を叩く桃山君とレイナさん。

この気楽な拍手は盾の性能の証明である。

「もちろん個別に命令もできるから……ほい!」

ビュンビュンとフリスビーのような軌跡を描いて飛んで行く盾はメドゥーサの周囲をグルグル回る。

焦ったメドゥーサは腕を振り回していたが、盾は器用にかわし続けている。

しばし時間を稼いでくれ。

そして今回は最後の仕上げも残っていた。

既にスタンバイ済みの浦島先輩。

そしてダークひのたま君は限界まで魔力を高めていて、こちらも準備は完了していた。

「じゃあ解呪行きます!」

「任せてよ!」

「――――」

ダークひのたま君も僕を見て頷き、一斉に解呪の魔法を発動した。

呪いをことごとく滅ぼす魔法の光。

それは単純にレベルが高ければ威力も上がる。

しかしメドゥーサに施されたモンスターに変化させる呪いは、筋金入りのスペシャルだった。

それこそ神の呪いそのもののヤバイやつは、対抗するには少々無理が必要だ。

僕はロード化を実行し出力を上げ、そしておまけに呪いの本質を暴き出す。

「二種混合の呪いだ! 姿を変えてる大本を引きずり出せ!」

コクリと頷く頼りになるダークひのたま君は不安になる音を立ててオーラの腕を伸ばしメドゥーサに突き入れると、その根本を引きずり出した。

うーむ、味方なら何て頼もしいんだ……見た目邪悪だけど。

そして握り潰された呪い本体に、僕と浦島先輩は解呪を集中的にたたき込んだ。

「アアアアアアアアアア!」

もはやメドゥーサは蛇ではなく人の声で絶叫していた。

ほとんど魂に食い込む様に溶け込んだ呪いを引きはがすことは、相当なダメージがあるのだろう。

しかし、現状最強の解呪はそれでも呪いの核心を破壊した。

ここまでやって、器に影響がないなんてことはないはず。

猛烈な浄化の光が降り注ぎ一際激しく輝くと―――解呪は終了した。

「っ……どうなったんでござるか?」

僕らの後ろで目をくらませている桃山君はゴクリと喉を鳴らした。

僕らはみんな固唾を飲んで見守っていると、そこには蛇の髪がすべて美しい流れるような髪に戻ったメドゥーサが、金色の翼を持った美女へと姿を変えて立っていた。

「「「「成功だ!」」」」

それは僕らの、そして我がシステマチックシールド、ゴルゴンゾーラシステムの勝利の瞬間だった。

訳も分からずに首を傾げているメドゥーサさん超美人!と思ったけれど……。

「のわ! 危な!」

次の瞬間、生成された魔法の鞭の一撃は、僕の頭の炎を掠って飛んできた。

いくら美女に姿を変えても、まだモンスターはモンスターみたいだった。