軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第246話トラップの城

攻略君は語る。

『拠点の階層は即死トラップの宝庫だ。ああ、ちなみに宝物も沢山あるが……』

あるんだ。

『まぁそれは後から回収した方がいいだろう。トラップをかいくぐるのは大変だからね』

それはそう。

『だが一つ確実に取っておきたいものがある。なに簡単なものだよ。こういうのは得意分野なんだ』

と攻略君は確かに言った。

この場合一番大切なのは簡単なものだってところだと思うんだけど―――。

今回あえてそう口に出したのは、珍しい冗談だったと僕は確信した。

「ぬおおおおお! 左左真ん中右左!」

先行し、石畳を華麗なステップで踏みしめ、ジャンプで抜けたのは、順番通りに踏まないと城の中のどこかにランダムで飛ばされる床だった。

『次はあえて引っかかろう! 上からトゲの天井が降って来る!』

あえて引っかかる事ってあるの!?

何て悲鳴が出そうになりながら、トゲ天井をオーラで受け止めた。

すさまじい重さのそれは、絶対普通の重さじゃない。

「……っ!ケルビム」

咄嗟に天使を呼び出し、重さを緩和することで何とか支え切れていた。

「クマ~?」

クマ型のぬいぐるみみたいになっちゃった上位天使は台詞まであざとい……でかいけど。

「転がり出るように脱出!」

更にそこから3歩歩けば、呪いが発動する床トラップが瞬時にこの身を焼いて、僕は回復しつつトラップごと踏み砕いて破壊した。

『ああ、一秒後壁で挟まれる。解呪は後で。これも受けておいた方がいいね。君以外は即死だ』

「……聖騎士ってホント便利だね!」

半ギレで、アームを展開し壁を受け止めた。

避けようにも足下を一時的に固定される最悪の仕様は的確に僕を平たくしに掛かっている。

だが僕の役目は、前衛タンク。

役割りとしては間違っていないが、こうまで正面から受けるのはとても珍しい。

それは後に続くメンバーへのダメージを極力減らすためで、異論なんてないんだけれども、罠の凶悪さと頻度が段違いすぎて、大変キツイのはどうしようもない。

撃鉄を起こし、止めた壁をパイルバンカーで破壊しながら、僕は前衛の悲哀を噛みしめた。

「はぁー……はぁー……やばぁ」

「だ、大丈夫? ワタヌキ君? ……しんどかったら言うんだよ?」

後ろからついて来ている浦島先輩が心配して聞いてくれるけど、そんなものもちろん平気だと言い張るに決まっていた。

「こんなの全然余裕です。あ、でも僕の体にはしばらく触れない方がいいですよ。今浴びてる呪い、解呪が間に合ってないんで。感染型でアイテム効果貫通してくるみたいです。カエルコインがビンビン反応して治してくれてますけど、持続効果で結構痛いですから。万一喰らったら魔法も使ってください」

「それは大丈夫じゃなさすぎじゃない!?」

「まぁ……アイテムで全部賄われちゃ、僧侶系の立つ瀬がないってもんですよ……」

汗をぬぐい、笑って見せた僕だがそれほど虚勢というわけじゃない。

ちょっと想定よりも過酷なトラップ地獄はもうすぐ終わるはずだった。

そしてそのままいくつかのトラップを突破して進み、僕は何の変哲もない壁の前で、立ち止まる。

『ここだ』

「……ここですね」

そして頭の中に響く声の言うままに恐る恐る壁を触ると、感触がなく通過できた。

「! ワタヌキ氏! 大丈夫でござるか!」

「大丈夫! 見つけた……」

幻術の壁を抜けた僕は隠し部屋の中に転がっていた小箱と、先に進む道を発見する。

ただ小箱を確認して、中に入っているものを見た僕は首をかしげていた。

「……本当にこれか? 攻略君?」

『間違いじゃないよ』

小箱の中に入っていたのは、小さな卵のようにも見える手のひらサイズのアイテムが一つ。

はっきり言って意味不明のアイテムは使い道すらわからなかった。

だが攻略君はその発見したアイテムを持て行くことを強く勧めていた。

『その小箱の中のアイテムが鍵だ―――そしてこの先の道を真っすぐ進めば、守護者のフロアへ直通できる』

「……マジで?」

これはとっても裏技っぽい!

この隠しルートのために、あの極悪トラップのルートだったわけだ。

僕は幻術の壁を抜け直して、パーティーを部屋の中に招き入れる。

「じゃあ。この通路を真っすぐです。覚悟を決めておいてくださいね?」

僕の問いにパーティメンバーはしっかりと頷いた。

ただいつもは言葉数の多い仲間達の口が重いのが、この部屋に入った瞬間変わった空気と無関係だとも思えない。

暗い通路を慎重に進み、突き当たった部屋をこっそり覗き込むと、やたら広い柱の並び立つ部屋があった。

その中心には石で出来た丸い祭壇のようなものがあって、なんだかよくわからないモヤモヤとした黒い影が陣取っているのが見えた。

敵は動かないが、やばい事だけは遠目でも十分すぎるほどに感じ取れる。

―――さぁ攻略の開始である。