軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第24話優先順位はとても大切

内心大いに錬金釜の可能性に身震いしていた僕だが平静を装って、興奮している場をいったん解散した。

「えー。この錬金釜の力は分かってもらえたと思います。それで明日からはこいつを使って二人の訓練をもっと効率化しようと思うんです」

そう言って、なんだか嫌な予感を感じている二人を送り出した。

ちなみにこれは攻略君の提案である。

詳しい話を聞きたくてウズウズしている二人も、すでにだいぶん疲れているはず。

クールダウンするためにもこれは必要な時間だし、僕にも準備が必要だった。

そして次の日、早朝から集まった僕らは1階の特に奥まった場所で、まず錬金釜講座から始まった。

「アイテムボックスの詳細求む! ちょっと詳しく教えて!」

「そこ重要でござるぞ!」

……全然クールダウン出来てなかった。

むしろ体力が回復してヒートアップしている二人に、僕はまぁまぁと今日も持って来た錬金釜をアイテムボックスから出して見せた。

「えーでは今日はこの錬金釜を使っていこうと思います。まずこの錬金釜、必要な素材を適量使用し法則に基づいて使用すればアイテムや装備を生み出すことが出来ますが……昨日先輩から聞いた通りモンスターを呼び出すことも出来ます」

「……なるほど?」

「……やっぱり危険はあるんでござるね」

「これを錬成事故と言います」

「事故なんじゃない」

「危ないでござるな」

自分達に直接関係ある話を聞いて、二人はいったんグッと堪えて頷いた。

「しかしです、事故にも法則性はあるんです。ここに1階の豚の素材を入れます……すると事故を故意に起こすことが出来るんですよ、浦島先輩構えてください」

ボンと今度は煙を噴いた錬金釜から、豚のモンスターが飛び出してきて浦島先輩に襲い掛かった。

「どっこいせ!」

浦島先輩は手慣れた手つきで鞭を振り、豚モンスターを一撃で粉砕した。

「お見事。このように狙って錬成事故を起こすことが出来るわけです」

モンスターを仕留めた浦島先輩は眉間にしわを作ったがすぐに仕留めたモンスターを見て、ピンと来たみたいだった。

「……これってまさか。狙ったモンスターを呼び出せるってこと?」

「そういうことです。ですからコレ、使ってください」

僕は攻略君が何で倒したモンスターの素材は極力持ち帰れと言っていたのかその意味を理解した。

結構お肉とか腐りかけていたからどうしようかと思っていたが、まさに再び再利用が出来そうだ。

「カニの素材は桃山君。豚の素材は浦島先輩で使ってください。だいぶ効率が上がると思いますので。数はしっかり数えてくださいね」

「そういうことか……わかった」

「確かにこれなら効率爆上がりでござるな」

まさしくそうだ。僕も正直これが欲しかったとすごく思う。

ただ説明を終えてもチラチラと視線に落ち着きがない浦島先輩と桃山君は非常にわかりやすかった。

「それでその……錬金釜の使い方は分かったでござるが、拙者もアイテムボックスが欲しいんでござるが」

「そうなのよね……私もまだ持ってないのよアイテムボックス……欲しいなぁ」

鼻息も荒くそう主張する二人に、僕は仕方がないので分かってはいるがと前置きした。

「二人とも……アイテムボックスは確かにいい物です。でも僕らはパーティなんですよ? ゆくゆくは手に入れてもいいと思いますが、ひとまず荷物持ちは一人でいい」

「そんなことないでござるよ?」

「いるよアイテムボックス。何言ってんだ」

「待ってください! 文句を言う前にこいつを見てください!」

うっかりすると収拾がつかなさそうなので、僕は多少強引に愛用のスレッジハンマーを二人の前に差し出していた。

「何でござる? ハンマーでござるか?」

「そう、ホームセンターで買ってきたやつで、今までは自前の魔力で強化して使ってたんだけど……」

地上の武器でモンスターと戦うことは出来るのか?

答えは出来る。

しかしそれは魔力を使えるダンジョン適性者が直接魔力を流せればという前提が付く。

しかしそれも問題があって、ダンジョンから出てきた武器でないと極端に耐久力が落ちるという欠点があった。

「だけど……昨日錬金釜を手に入れてから、僕のスレッジハンマーを新調したんだ。何で僕がそんなことをしたかわかります?」

そう意味ありげに尋ねた瞬間、桃山君のいつもの優しげな雰囲気が一変して、僕の肩をガッチリ掴んだ。

「そこの所……詳しくお願いするでござる」

「へいへい桃山氏、ボクの肩が変な音してる、ミシミシ言ってるから。……もちろんだとも。でも今日のところはモンスター狩りに精を出してくれ……装備の話はそれからだ」

「心得た……」

そう錬金釜で手に入るアイテムはアイテムボックスだけじゃない。

優先順位は重要だとわかってもらえたみたいだ。

「それはそれとしてアイテムボックスは絶対作りましょ? これ絶対」

「……転移宝玉があればすぐ作れますけど」

「……よーし。モンスター狩り頑張りますか」

浦島先輩は転移宝玉の事を知っているみたいだ。

悪名高い10階の鉄巨人は、ダンジョン学園の悪夢である。

未所持と言うなら仕方がない。まぁレアなアイテムを作るには相応にレアな素材が必要なこともわかってもらえたみたいだった。

ちなみに僕のスレッジハンマーは鉄巨人の素材で製作した耐久率増加ハンマーなので同じものが欲しいなら鉄巨人周回推奨である。