軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第234話そろそろ行ってみましょうか?

「フフン……いやぁビックリでござるよね。チョット使って見たくはあったでござるが」

桃山君は思わぬところからもたらされた新しい武器に、ポーズを取って大いにはしゃいでいた。

「うーんでも本当に使い物になるんですか? まともに使えないから銃は廃れたんですよ?」

「まぁそこは普通の銃じゃないんでしょ?」

銃が身近な国から来た、レイナさん。

そして浦島先輩の意見はどちらも正しい物だった。

「簡単に言うと、銃の形をした魔法の杖ですよ。というかレイナさんは荷電粒子砲標準搭載じゃない」

「そういわれるとそうですね……でもアレだって雷属性の魔法みたいなものでしょう?」

「これは無属性の魔法……ショックの魔法やエネルギー弾の系譜だね」

属性をつけず用途を絞って簡略化した衝撃の魔法発射装置。それがこの銃型魔法杖の正体である。

「ああ、なるほど……つまり魔法職じゃなくても使える遠距離の打撃ですか?」

「そういうこと。銃の理屈と一緒でしょ? それに根本が魔法だからモンスターにも通じる。戦士職は遊ばせてる魔力も多いからね」

ガチャガチャと弾倉を弄りつつ、構えて見せている桃山君。

彼の持っているリボルバー式に改造された銃は、弾倉部分にそれぞれ専用に加工した宝石を仕込んで、6発分の外付け魔力弾にできる。

これは威力よりも燃費を抑えるための仕組みだが、素直にリボルバーにはロマンがあった。

それにしても、こうして形になると感慨深い気持ちも湧いてくるものだ。

もっと時間がかかると思っていたが、あまりの爆速っぷりは自業自得の部分ももちろんあるのは分かっていた。

そして完成してしまったものは仕方がない。

僕は桃山君のメインウエポンが三つとも形になった時、一つ決めていたことがある。

僕は深く頷いて揃った顔を見回すと、話を切り出した。

「……実はそろそろ、ダンジョンの攻略を進めようと思うんだけど、どうだろう?」

この攻略は必要なのか?

そう問われた時、おそらく疑問符は付くことだろう。

現状でこの先を目指すことに何の意味があるのか?

とうの昔に、学生のノルマなんてものがあるのだとしたら達成している。

しかし友人達は僕の言葉を聞くと、ちょっと猛々しい頼もしい笑みを浮かべて口々に言った。

「……遂にでござるか。待ちわびたでござるよ」

「ほほう……目指すのかい? 更なる深層を。夏の最後の思い出にはちょうどいいね」

「ホント待ちくたびれました……あんな中途半端なところで終わられて、モヤモヤしましたよ!」

「……めっちゃやる気だなぁ」

「そりゃそうでござるよ! 95階層なんて、中途半端すぎるでござる!」

「うんうん。あそこまで行って、この先がないなんて嘘だよね? 私らのレベルも100は超えてるわけだし」

「当然行くでしょ100階層! 行かないなんてありえないです!」

「おぉふ……」

堰を切ったように文句が飛び交い、僕は申し訳なかったかなぁと唸る。

どうやら僕はずいぶん友人達をやきもきさせてしまっていたみたいだった。

「そうか……いやまぁそうだよね」

かくいう僕とてそうなんだから、そうなのだろう。

ならば攻略を開始しよう。

仲間達の希望という最後のセーフティが解除されて、僕は覚悟を決め直したのだが―――物言いはすぐさま入った。

「ちょっと待ってもらおうか」

しかしそこに割って入ったのは、部員ではなく……それを監督する立場の人間。

そう、顧問の龍宮院先生である。

先生は、実に先生らしく興奮して熱くなっている生徒を止める側に回ったらしい。

「また君達は……無茶なことをしようとしているようだね?」

「……龍宮院先生……止めますか?」

「え?」

だがその時、ニヒルに笑った浦島先輩が何か言おうとした僕の前に割って入る様に立ちふさがる。

そしてレイナさんもおもむろに僕の前に割って入って、龍宮院先生に言い放った。

「先生……止めても無駄です。ワタシ達の決意は本物なのです」

あ、そういう感じ?

汲み取ったのは僕だけではなかったようで、龍宮院先生は静かに首を振って、ちょっと乗って来た。

「……そうだね。止めても無駄なんだろうさ。だから……私も行こう」

あ、先生もそう言う感じ?

止めるつもりとかなかったみたいだ。いや全然ウエルカムなんだけど。

浦島先輩はしかしもったいつけて首を横に振ると、それではダメだと呟いた。

「そういうわけには行きませんよ。……今回のミッションは大きな危険を伴います。先生とはいえ、覚悟を見せてもらわないと」

「その通りです……」

「えぇ!?」

この流れは龍宮院先生も予想外みたいだ。

目が大いに狼狽えている先生にいったい何を言うつもりなんだろうと、僕はなんとなく成り行きを見守っていると、すかさず浦島・レイナペアはどこからともなく新品のいかにもな衣裳一式をとり出してパンと叩いて見せた。

「この服を装着してくれたら! 大丈夫です!」

「その通りです!」

その瞬間、二人の意図をここにいる全員が完全に理解した。

「……ホント君らは……その衣装にかける並々ならぬ情熱はどこから来るの?」

「だって先生だけコスプレじゃないの寂しいじゃないですかー」

「そうです! 人目を気にする必要のないこんな機会にかっこよく決められないのは損失です!」

「……まぁねぇー」

なるほど。そういう事でしたか。

ならば僕もどうせ撮影はするんだろうから、何時も通り顔を隠せる仮面でも作っていく方向で乗ってみよう。

正直この流れ、僕も参加したいです。