軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第232話新スタイル披露

「ちょっと今の装備見せてもらっていいですか?」

レイナさんが大量のお土産と戦利品を抱えて帰ってくると、ひとまず久々にサブカルチャー研究部勢ぞろいとなる。

するとレイナさんがこんなセリフで尋ねてきたので、ではお披露目と相成った。

場所はダンジョン内のカフェ前。

そんなに見たいと言うのなら、僕としては是非とも渾身のコーディネートをお披露目したいところである。

「あんまり期待はしないでくださいね? テイムモンスターが増えた以外はあんまり変わんないんですから。あ、でもちょっと待って?」

ひとまず、ピィ!っと指笛を吹いてみる。

すると、空の浮島から現在待機状態の天使達が一斉に飛んで来て空を旋回し始めた。

そんな光景をレイナさんとたまたまカフェにいた浦島先輩はおおーと声を上げ見上げていた。

「おおう……これはすさまじいですね」

「全くだよ、すごい数になったもんだ。いいなぁ天使」

そして肝心の僕は、背中にアームを背負い、手にはユグドラモドキのダンジョン攻略報酬―――雷属性のトールハンマーを装備する。

頭に赤々と燃え上がる炎もトールハンマーを握ると心なしか火花が多くなっている気がする。

女子二人からマジマジと見られるとファッションをチェックされてるみたいで落ち着かないけど、評価としてはおそらく悪くないに違いない。

「改めて思いますけどちょっと目を離すと……驚きの変化がありますね、さすがはマスターワタヌキ」

「これが今のワタヌキ後輩完全体かぁ……火力高そうだなぁ」

「でしょう?」

攻略君のおすすめルートでかき集めた装備は伊達ではない。

メイン武装がホームセンターの改造品から、ファンタジー仕様のダンジョン発掘品に変わったことで、若干ファンタジー味が増しているのがファッションの決め手である。

浦島先輩は一段とごつくなったフォルムに肯定的だった。

「背負い物と武器で特徴を出していくスタイルは貫いていくのかワタヌキ後輩は。それはだいぶ好きだね。シルエットでキャラが分かるって奴?」

「ワタヌキはそういうとこありますね。衣装適当なのに、ギミックに並々ならないこだわりを感じます。しかし……ワタシと雷属性がかぶっているのはいかがなものでしょう? ワタシは断固抗議したいところです!」

「レイナさんはやっぱりそこ拘るかぁ……まあ、ちょっと待って? なんかそのうちいい方法考えるから」

勝手に雷を発するハンマーはカッコイイんだけど、バランスを考えるともうひとひねり必要かもしれないとは思っていたんだ。

しかしそれもまた良し。

二人の言う通り、そういう工夫は燃えるタイプだと自負していた。

「いいんですか? 我ながら無茶言ってますよ? ワタシ?」

「むしろ望む所だよ、ギミックにはこだわりたいのは間違っちゃいないからね。それに発掘品をそのまま使っていくのも芸がない」

「こだわりあるんだ」

「そりゃあるでしょう? 僕のコスプレは主人公の衣装システムを採用している適当っぷりですけどね」

「あっはっはっ! それは逆にこだわりありませんか? クローゼットにずらっと同じ衣装が並んでたりするんですかね!」

「ふっふっふっ。寮のクローゼットそんな感じにしちゃった」

「「マジで!」」

「マジですとも」

これでいくら服が破れてもイメージが損なわれることもない。

まぁ通販サイトの在庫のジャージが消えてしまったし、私服の種類まで限りなく限定されてしまったけど、後悔はしていなかった。

こだわりが喜んでもらえているようなので、ではダメ押しに僕はとっておきも披露することにした。

「そして実はさらに変身がもう一つ存在します……」

「変身……だと?」

「ほほう……ここから更に?」

浦島先輩はゴクリと喉を鳴らし、レイナさんは冷や汗を拭う。

二人のいいリアクションに気をよくした僕は重々しく頷き、さっそく準備を始めた。

「では二人とも少し距離を取ってもらって……」

「距離を取るって、何事?」

「これはまた期待を煽る演出をしてくれます」

「まぁ念のためね。危ないといけないから。よし……そんなもんで大丈夫」

ではお立合い。

僕は精神を集中して、高くジャンプ!

常人離れした跳躍で空高く飛び上がると、裏スキル“ロード化”を発動した。

「ハッ!」

両手を勢いよく左右に広げたその瞬間、僕の背にはバサリと金色に輝く翼が広々と展開。

一層強く燃え上がった炎の頭の上にはハイロゥが日輪のごとく輝いた。

「「ぶふぅ……!」」

あまりにも神々しい姿を目撃した浦島先輩とレイナさんが同時に吹き出すのを確認して、僕はしてやったりと拳を握るのだった。