軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第223話後日来店

「うーい……てんちょー……ひとつ言わせてくれぇ……あんたは鬼だ、生きた心地がしなかったぜぇ」

ひどく疲れてはいたが、でっかい袋を持った松林君は五体満足で帰って来て、その周囲には護衛の天使達が、大変満足そうに胸を張っていた。

下級天使と中級天使の混成部隊だが、無事怪我なく松林君を守り切ったみたいである。

丁寧に一体ずつ頭を撫でて労い、そして僕も松林君の無事な姿を見てようやくホッとして胸をなでおろすことができた。

「おつかれー。無事帰ってきたようで何よりだ」

「おかげさまでね! 頼もしいお仲間さんのおかげですよねー……いやぁこう、やべぇモンスターがバスバス消し炭にされて圧巻だったわ。見たこともないドロップアイテムがわんさか出て最高だったなぁ!」

どこか皮肉っぽく報告する松林君は、まぁ深めのダンジョンの洗礼を存分に受けていたようだった。

「それは良かった。ドロップ品は全部あげるから好きにしていいよ。それよりどうだった精霊は?」

「ありゃヤバイ。でもおかげさまで超楽々だったわ。あの捕獲用のカプセル、オレももらっちゃダメ?」

「気に入ったのが出たら、普通に契約してみたら? 強化は大事でしょ?」

「ありがとぅ! マジ感謝! 店長愛してる!」

「はいはい」

ひゃっほう!と手放しで喜ぶ松林君は無事商品確保できたようだ。

数は少なめだが、初回にしては十分すぎる。

そして繰り返しているうちにレベルが上がったら、低級精霊のいる階層にだって気軽に行けるようにもなるだろう。

「でも天使さん方も強すぎない? あと数、増えすぎじゃない? でちでち言いながらオレを秒殺できるモンスターをサクサク処していくの、めっちゃ怖かったんだけど?」

「そうだよ、めっちゃ強いよ? ホント喧嘩にならないように気を付けてね?」

「……それはダイジョーブ……だと思うよ?」

「仲良くやってるのは知ってるんだけどねぇ……」

まぁ松林君ならうまくやりそうだけど、そこはモンスターだから気を付けてもらいたいものだった。

さてさっそく最近はちょっとだけ減るようになった商品をみんなで補充していると人の気配がして、松林君はシャキンと接客モードにすぐさま切り変わった。

「客が来たぞ店長! 商品補充ちょっと終了!」

「……! わかった!」

おお、反応が素晴らしい。ではお客さんを出迎えるとしよう。

二人そろってニッコリ笑ってさてお出迎え……そう思ったが、顔を出した彼女は確かに僕の客ではあったけどお店の客ではないみたいだった。

「あら、いらっしゃい」

「……」

誰が来たのか気が付いて僕は声をかけたのだがツカツカと僕の方に歩み寄った服部さんは、ダンッとカウンターに署名済みの魔法の契約書を差し出してくる。

そしてなんとも言えない悔しそうな恥ずかしそうな顔で僕を一睨みすると、言葉を捻り出した。

「……正直驚きました。契約させてもらいます」

「了解です。まぁ後の話は後で都合がいい時にでも」

「……わかりました」

頷いて素早く踵を返すその姿を手を振って見送ると、ふとキラキラした目でこっちを見ている松林君に気が付いた。

「え? 今の誰! なんかかわいい子じゃなかった!?」

「え? 知らない? クラスメイトの服部さんだよ?」

人当たりのいい松林君がクラスメイトの女子を知らないと言うのは驚きだったのだが、そう教えても松林君は釈然としないようで、首を傾げて自分の記憶を漁っていた。

「えぇ? 服部ぃ? あんな感じだったかな? たしか……そばかす多めで、もうちょっとおとなしい印象だったような?」

おや? 知っているじゃないの松林君。

その特徴はほんの少し前まで僕が思い描いていた服部さんに当てはまる。

そばかすもたぶん綺麗さっぱりと消えていたのだろう。攻撃的な態度はまぁ隠していたのだろうけれども。

もちろんその理由は、提供したアイテムの効果に間違いはなかった。

「まぁ……ダンジョンの深淵はまだまだ深いってことだよ」

「ダンジョン関係ある!? なにしたのよ店長!」

「おっとそれは公言できないな。契約違反になりかねない」

「そうなの!?」

僕は含みのある笑みを浮かべて、異物混入を回避したことにようやく安堵していたのだが、松林君はそんな僕の様子を見て長めに唸ると、残念そうに肩をすくめていた。

「いや、てんちょーさ。精霊の話といい、やたらとクラスメイトに怪しい契約とか勧めすぎじゃない? ダメだと思うよそういうの」

「……いや! そんなつもりはないんだけどな!」

予想外の指摘に慌ててしまったけど、確かに思い当たる節しかない自分にビックリだった。