軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第181話緩めの会議

「……確か桃山君を呼びに行ってくれたんだと思ったんだけどなぁ」

「「……ごめんなさい」」

うっかりモンスター討伐なんてしてしまったんだけれども、僕はそういえば会議をするから桃山君を呼びに行ったんだった。

あきれ顔の浦島先輩だったが、つい先ほど職員会議が終わった龍宮院先生がやって来たこともあって、そんなに怒ってもいないようだった。

「まぁいいけど。……大したことじゃないしね」

「よくないです! ニューウエポン誕生なんて面白イベント、混ぜてくれないと困ります!」

レイナさんは桃山氏のニューウエポンに興味津々のようだが、きっと彼女も見たら興味を持ってくれるに違いない。

それだけの価値のある一品に仕上がっているだけに、今後の反応が楽しみだった。

「申し訳ない……修行の流れだったんでござる」

「シュギョウ……そこから詳しく聞く会議にしませんか? シノ?」

「レイナ。確かに気になるけれども、先に聞いておくこともあるからそっちを優先しましょう。ところで二人とも、夏の予定は決まってる?」

「夏の予定ですか? 決まってないですけど?」

「拙者も決まってないでござる」

僕と桃山君二人分の返事が出そろうと、浦島先輩はニッコリ笑ってようやく真の用件を口にした。

「じゃあ夏のイベント一緒に行かない?」

だがイベントと聞いたとたん、僕と桃山君はソワリと浮足立って、お互い顔を見合わせた。

「夏のイベントというと、あのイベントですよね?」

「そうそう。同人誌売りに行くよー?」

「売り子とか?」

「ああ、そっちはいいから。私とレイナでやる」

「あ。そうっすか」

それはホッとしたような、戦力外通告されたのか複雑な気分になったが、浦島先輩の采配に異を唱えるつもりはなかった。

「むしろ設営の準備とか、そういうのお願いしたいなって。そんでついでに―――向こうのダンジョンに挑戦してみない?」

ただイベントのお誘いは想定内だったが、後に続く提案はあまりにも想定外。

しかし噂の東京ビックサイトにダンジョンが存在していることは僕も知識としては知っていた。

「そういえば、ダンジョンあるんでしたね」

「そうなの! 即売会の会場のすぐ横だから、コスプレしたまま自然に入れるって!」

「……ある意味凄いっすね」

「だよねぇ! でも私はイベントに専念するからいけないし、レイナも正直あのダンジョンでまともにアタックできるかと言うと……知名度がね?」

「ちょっと厳しいです……イベントの真っ最中は特に」

「ああーなるほど」

今のコミケはダンジョン探索者要素も取り入れたお祭りになっているからレイナさんがダンジョンに入れば必要以上に注目とトラブルを呼び込みかねないか。

僕らがその辺りの仕切りをプロ並みにうまくできるかというと、中々難しいと言わざるを得ない。

「ひょっとしたら、何かすごい物見つかるかもしれないし、どうかな?」

浦島先輩の目は、確実に僕と外のダンジョンのシナジーに期待しているに違いない。

そして僕もまた、学校のダンジョン以外の攻略を試せばどうなるのか気にならない訳もなかった。

ここの所ダンジョンも楽しくなってきたし、休みの間のダンジョンアタックはむしろ推奨されている。

外のダンジョンを体験しつつ、イベントにも参加できて一石二鳥というわけだ。

「……いいですね。面白そうです」

「拙者も構わないでござる。ちょっとガッツリダンジョンに潜りたい気もするでござるが……未知のダンジョンも興味あるでござるよ」

「いいですねぇ。ダンジョンもイベントも楽しめるなんてゴージャスです! コスプレするんですか?」

レイナさんは残念がるんじゃないかと思っていたがそうでもないらしい。

普通にイベントも楽しみにしているようで、明らかに好奇心を押さえられていない様子で浦島先輩に確認していたが、浦島先輩は新刊の遅れもあってか珍しく本格的にはやらないみたいだった。

「当然やるけど、減量もあるしなぁ……。とりあえず、いつものやつでいいんじゃないかなって思うけどねぇ」

「えぇ? 何かキャラやるんじゃなくて?」

「エキスポの怪人だし、話題だからいけるんじゃない?」

ずいぶん思い切った決断だがレイナさんは苦笑いだった。

「ああ……ワタシはそれでも……でもシノは厳しくない? それにちょっとつまらないような? もはや戦装束ですよ?」

アレはすでに馴染み過ぎているとレイナさんがうぬっと唸るのを見て、今度は浦島先輩共々僕も苦笑してしまった。

「それな……もうなんか着慣れて来て、コスプレ感ないよねぇ」

「えぇ! もうそんな感じなんでござるか!?」

ただ丹精込めて作った本人からするとさすがに聞き捨てならなかったようで桃山君は愕然として声を上げたが、不足があるってわけじゃないのが難しいところである。

そして浦島先輩は何やら考えがあるようで、我に秘策ありとニヤリと微笑んでいた。

「ゴメンゴメン。ちゃんと気に入ってるからってことね。大丈夫、少し新鮮味って意味なら考えがあるから。そういうわけだから行くなら外用の仮免許証申請しておいてよ。他所のダンジョン入る時、必要になるからね」

「分かりました」

「了解でござる」

しかし会議と言うから何を話すのかと思ったら、休みの予定の確認か。

最近色々あったから重大な話かと思って身構えすぎてしまったみたいだった。

「まぁ私の用事はこんなものだねー……ああそれと、これはみんなに聞いておきたいんだけどさ。いい?」

「なんです?」

油断していた僕は何気なく聞き返すと、浦島先輩は何でもない風ににこやかに続きを話し始めた。

「うん。最近、生徒会にいろいろ頼まれちゃってるのは知ってるでしょ? まぁそれは私がモンスターにやらせるから別にいいんだけどさ。……これからひょっとするともっと深い階層に他の生徒が来ちゃうかもしれないじゃん?」

「そうかもしれませんね」

「だからさ……そろそろ―――階層別に担当決めない?」

「「「「……!!!!」」」」

浦島先輩の提案に全員の脳裏に電撃が走る。

最後についでのように付け加えられた用件こそ本命だと、僕達は瞬時に理解した。