作品タイトル不明
第160話緊急ミッション
疑惑の視線はどうしようもないとして、一先ずは食事の時間も大切である。
そしてここで一番生き生きし出したのは如月副会長その人だった。
キラリンと目を輝かせ、まっすぐ僕の所にやって来た副会長はさっそく要求を口にした。
「……モンスターを食べさせて」
だけど一斉に止められていた。
「副会長! 死にますよ!」
「大丈夫」
「一個も大丈夫ではありません! 考え直してください!」
「すでに体験済み」
「いやいや! だとしたら病院に行きましょう!」
「やだ」
如月副会長の即答での手早いコメント処理は鮮やかだった。
生徒会の面々の心からの忠告は一言で却下され、八坂生徒会長も肩をすくめてこうなったらもう止められないという反応である。
「あの時のことが忘れられなくて……」
などと頬を赤らめ手を当てる如月副会長は完全に食欲に囚われている目をしていたが、本日誤解を招く発言二発目は更なる動揺を生徒会にもたらしていた。
これはいけない。
そしてこの場を一番丸く収めるなら、食事で黙らせるのもまた一興ではある。
「これはもう……やるしかないか……」
本日は交流だって目的の一つだ。
僕はそういうのあんまり得意ではないけれど、食事という案自体は悪くないと思う。
サプライズの過酷な修行も終わったし、これからの事を考えると他の生徒会の方々に語る土産話にモンスター料理なんてかなり刺激的な料理はインパクトもちょうどいいかもしれない。
「そうですね。そう言えばあれ以来ごちそうしてもいないですし、じゃあ何か食べたいものはありますか?」
「……肉?」
「……わかりました。特別うまい奴をごちそうしますよ」
「楽しみ」
食いしん坊なリクエストありがとうございます。
ここは猛獣渦巻くジャングル階層。生態系どころか、常識すらまったく当てはまらないモンスター共がうろうろしている魔境には肉だけはゴロゴロある。
僕はここは一つ、最高にうまい物をごちそうするつもりだった。
「じゃあ何にしようかなと……」
僕はここにいる人数を数え直しながら献立を考えていると、そこであれ?っと声を上げた。
「なんか……人数少なくありません?」
勘違いでなければなんか少ない気がする。
そう言うと、全員がきょとんとして周囲を見回して、生徒会長は目を丸くして叫んだ。
「いつの間に! 会計の烽火はどうした!」
「……逃げたな」
「全く調子のいい奴だ」
「まぁ入り口の時点で引き返してました。怪しかったですし」
怪しかったはいいすぎじゃない?
しかし当然のように受け入れられているあたり、あの生徒会先輩の評価がかわいそうになってきたが、正直それどころでじゃなかった。
「えぇ……いやそれまずいですよね? 皆さん疑っておられるとは思うんですがここ……本当に20階オーバーの階層ですよ?」
僕がそう口にした瞬間、ぶわっとメンバーは変な汗が流れ僕らは一斉に立ち上がった。
「緊急事態発生! 遭難者一名! すぐ救助に行きます!」
楽しいランチタイムが一転、緊急事態は突然―――と言うわけではなかったが、まさかのタイミングで判明した。
こちらの指示を聞いてくれるなら、攻略君は身の安全を保障してくれる。しかし……それはしたがってくれればという話。
正直……もうダメかもしれない。
久々に青くなりながら僕はすぐさま探索に入った。