軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

48.

部屋で休んでいるとレオとロンそれぞれの侍女から子供たちが夕食を共にしたいと言われる。

私はそれを承諾した。

ただどちらにも兄弟が同席する旨は説明して欲しいと伝える。

その上で私と一対一で話したい時は私が彼らの部屋に行くとも。

侍女たちは伝言を了承し恭し気に礼をして公爵夫人室から去って行った。

その後一時間程待っても子供たちから新たな連絡は無い。

これは二人とも三人で食事をするのを了承したということだろう。

私はアイリに命じ夕食は食堂で三人で取ると伝えた。

彼女はそれを他の使用人に伝えに部屋から消える。

(三人で食事をするだけなのに身軽さから程遠いわね)

今まで孤食が基本の家庭だったのだから仕方がない。

そう言った部分も少しずつ変えて行けばいい。

レインも夕食に誘おうかと思ったが、今日は止めることにした。

(夕食の席でレオやロンに確認してからにしましょう)

当然レイン側の意思確認も必要だ。

ただ彼女は子供たちの精神状態を気にしているから、食事を共にするのは観察目的でも良案な気がする。

本日キャンセルしたスケジュールの補填や繰り延べを考え、アイリを介しオルソン伯爵家への間諜を手配する。

そしてオルソン伯爵夫人の兄についてカーヴェルに調査を頼んだ。

空いている時間に本で作法についての独学などをしているとあっという間に夕飯の時間だ。

私は軽く身支度を整えてから食堂に向かった。

子供たちは既に着席しており大きなテーブルには御馳走という呼び名が相応しい料理が載っている。

普段食べているものとグレードが違う筈も無いが、やはり食堂で血が繋がらないとはいえ親子で揃ってだと料理も華やかに見えた。

「待たせたわね」

「待ったぞ!」

レオが素早く言い返す。ただ言葉ほど怒ってはいないようだ。

「ごめんなさいね、では頂きましょう」

私は軽く謝罪すると食前の祈りを唱えた。この国の貴族は食前にお祈りをする。

孤食の時は正直雑にしていたが子供たちの前で同じ真似は出来ない。

神への感謝を丁寧に口にする。

(練習しておいてよかったわ)

そう思いつつも正直上手く言えた気はしないがレオも特に批判はしなかった。

私の若干たどたどしい祈り口上が終わり食事が始まる。

前世の子どもたちとの食事みたいに喋る合間に食事という形にはならない。

基本食事に集中しつつ、合間合間に一言二言会話をするという形だ。

(貴族というのはこういう感じなのかしら?)

わからない。参考に出来る知識が無いからだ。

伯爵家に居た頃のエリカは貴族扱いされていなかった為ちゃんとした晩餐など知らない。

ただ空気が重い訳では無いので、これでよしとした。

あからさまにおかしければレオ辺りが指摘するだろうとも。

メインの食事を終えデザートの皿が配膳された頃にロンが初めて自分から口を開く。

「あの、僕、あのおじさんと和解したいなと思って……」

私とレオは打ち合わせ無しに顔を合わせる。

「和解っていうのは、謝らせるってことで良いよな?」

レオがロンへ確認するように言う。ロンは頷いた。

「謝って貰って、それで僕もわかりましたって受け入れてそれでちゃんと終わりにしたいなって」

そう言いながら私を見つめて来るので微笑んで口を開いた。

「私は良いと思うわ。ロン君は先に謝ったものね」

私の答えにロンはホッとした顔をした。

「ならそのように店側に意向を伝えるわ。店に行く日は大人たちで決めてもいい?」

「駄目だ!」

ロンに確認したのに何故かレオが割って入る。

「ちゃんとした服で格の違いを見せつけろ」

「ちゃんとした服でって……」

今だって別にだらけた格好なんてしていない。私もロンもだ。

それに外出する時はレオの言う通りもっとちゃんとした格好をするに決まっている。

「俺もお前も新しく仕立てて貰う服で行く。つまり遊園地の後ってことだ」

「……そういうこと」

私は半分納得した。

確かに移動式遊園地に遊びに行く約束をして、その為に私も子供たちも新しい服を仕立てて貰っている最中だ。

つまり新品の外出用の服で画材店に行けとレオは言っているのだ。

「確かに新品の服は自信に繋がるけれど……」

「そうだ、お前は気が弱いんだから外見だけでも強くなってからにしろ」

レオがびしりと言う。まるで年長者の様だ。

いや実際ロンの兄なのだが。

「どうするの、ロン君?」

私が話を向けるとロンは少し黙った後でわかったと答えた。

「確かに新しい服の方が、強い気持ちでいられる気がする」

弟の言葉にレオが満足げにする。私は改めて日程を考えることにした。

「じゃあ店に行くのは移動式遊園地の前、それとも後?」

「……後が良いかな、欲しい絵の具が増えるかもしれないから」

はにかんだ様子でロンが言う。きっと遊園地での出来事を絵画にしようと計画しているのだろう。

私は笑顔で了承した。

そんな私たちの様子を見ながらデザートのケーキをフォークでつついていたレオが言う。

「遊園地だけど、レイン先生もくればいいのに」

彼やロンは私や使用人たちの真似をしてかレインを先生と呼ぶ。

私も特にそれを直す気は無かった。

「その日は無理ですって。また今度の機会にね」

外出の際に保護者は何人いても良い。

レインにはこっそり打診していたが王都へ往診の予定が入っていると断られ済みだ。

「レイン先生にはお土産を買いましょうね」

不満そうなレオにそう声をかけると渋々と頷いた。

(父親に来て欲しいとは言わないのね)

そんなことを考えつつ当たり前かと納得し私もデザートに手を付ける。

和やかに三人での晩餐は終わった。

そして移動式遊園地に向かう当日、我が家に一人の男が訪れる。

金色の髪が眩しい、ケビンと同世代のへらへらと笑う美男子だった。