作品タイトル不明
第61話 体育大会そのさん
体育大会も大詰め、残るはリレーと騎馬戦のみだ。
『続いては2年の騎馬戦です!東軍と西軍、いったいどちらが生き残るのでしょうか!』
どうやら俺たちの出番のようだ。
「和也、お前が将をやれ」
「え、俺が?」
「だってこの中で一番身軽なのはお前だしな」
他の子も同意見らしく、俺が将をやることになった。
馬を組んだ上に俺が乗る。
「お、おおー」
なんというか馴染んだ景色だ。
ちょっと高さは低いものの実際の乗馬に近いものを感じる。
「行けそうか?」
「ああ、いける」
「よし!」
『それでは両軍各々の位置へ、勝鬨を上げるのどちらか!よーい』
スターターピストルの音で両軍一斉に駆け出す。
駆けるといっても落ちないように配慮しつつだからゆっくりだ。
鎧を確かめつつ俺たちも進軍する。
「作戦どうする?」
「睨み合ってる奴らの後ろを取る。いける?」
「ああ、いけるさ!」
睨み合っている敵の背後を取り、鉢巻を奪う。
「ああそんな」
「ひっでぇ!」
『挟み撃ちがうまく決まっています!東軍が優勢か?』
動きやすい。感想はその一言に尽きる。
まず、馬と意思疎通が取れるのが大きい。
足並みがゆっくりなところが欠点と挙げられるかもしれないが、それは敵軍も一緒なので大したアドバンテージにはならない。
そして、鎧がないのですごく動きやすいのだ。
逆にその重さがないので多少の不安感を感じるが、それもさほど問題ではない。
「和也、次で最後でいいか?ちょっとキツイわ」
「了解、じゃあ最後は正面から行こうか」
馬役の体力を考えるとこれが最後。せっかくなので正面から立ち向かうことに。
相手の手を避けつつ自分も攻撃を加える。
一合、二合。
中々譲ってはくれないか……。
「カズヤさん!がんばってください!」
「お父様!頑張って!」
「お父様?」
「やばっ……ッと」
アリシアの言葉で動揺を誘えたのかなんとか取ることができた。
これはさすがに聞こえたか……?
「ははっ、セレスティーナさんの声援で取れるなんて、さすがだな」
「そ、そうでもないぞ?」
どうやらそこまで気にしている様子はない。
ほっと胸を撫で下ろす。
『今、東軍が最後の西軍を打ち取りました!』
「終わったみたいだな」
「おう」
◇
自陣に帰ると、セレスが出迎えてくれた。
「お二人ともお疲れ様でした!」
「ありがとう、セレスティーナさん」
「……カズヤさん」
「どうした?」
「アリシアの声……大丈夫でした?」
「多分、気付かれてないと思う」
「それは……良かったです」
耳打ちしてくる彼女の声がどうにもくすぐったい。
が、その衝動を抑えつつなんとか会話する。
「アリシアには後でお説教が必要ですね」
「はは、お手柔らかに頼むよ」