軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

閑話 ホラー

俺とセレスは一旦屋敷の自室に戻っていた。理由は――

「んん~!」

セレスである。

ソファのクッションをしっかりと抱きこみ、何かを堪えるような表情を浮かべる。

「そう言えば、アストラル系のモンスター苦手だったね」

「……いじわるです、知っててあんなビデオを流すだなんて」

「ごめんって、ついさっきまで忘れてたんだよ」

謝りながら彼女の頭を撫でる。

「そう言えば、アリシアは驚いてはいたけど、そんなに怖がってなかったね」

「私の恐怖は過去の出来事からくるものなので、遺伝とかは関係ないかと」

「出来事?」

「はい、だいぶ昔なので記憶は定かではありませんが、夜中に城の中を歩く白い物体を見たのです。ついては消えてを繰り返しながら私の方へと飛んできて……まだ魔法が使えない歳だったので余計に怖かったのを覚えてます」

「メイドさんだったんじゃない?」

「城の中のメイドたちなら顔と名前が一致しますし、そもそも顔がなかったわけですし……」

クッションに頭を沈み込ませながら彼女は言う。

その様子がなんともいじらしく、後ろから思わず抱きしめた。

「どうかしたのですか?」

「いや、ちょっと可愛くて」

「かわ、いいですか?」

「うん」

鼻から息を吸う。

すると、彼女の匂いが胸を膨らませる。

まるで全身が彼女に置き換わるような感覚に陥る。

彼女もそうであればいいのにと思いながら。

「ちょっとくすぐったいです」

「うん」

「聞いてます?」

「うん」

腕の中で身じろぐ彼女。向き直って抱き直す。

「気持ちいいですね」

「うん」

全身に感じる熱。

見かけによらず逞しい体。

大好きな匂い。

そっと鼻から吸って彼の匂いで胸を膨らませる。

まるで全身が彼に置き換わってゆくような感覚に陥る。

……いや、そうであればいいのにとさえ思ってしまう。

少し苦しいぐらいに抱きしめてくれる彼。

少し早い鼓動が彼から伝わってくる。

きっと私の鼓動も早いだろう。

ちょっと気恥ずかしいけれど、私の全てをあげるから。

だからあなたも――。