作品タイトル不明
第134話 帰省
翌日、1月2日。普段なら車で帰省するところだが、人数的に乗れないことから今回、電車での帰省となる。
電車で揺られること、1時間。ギリギリ渚沙が移動できる距離でよかった。
「ここがお祖父様のお家ですか……」
平屋の日本家屋。俺からすれば10年ぶりの帰省だ。なんだかひどく懐かしい。
「お父さん〜千尋ですよ〜」
母さんを先頭に俺たちはおじいちゃんちに入っていく。
「お〜、千尋に裕人君。唯に和也もよく来たなぁ」
家の奥から出てきたのは身長170cmぐらいの綺麗な白髪をした男性。俺たちの祖父、 矢島司(やじまつかさ) その人である。
「今日は私たちだけじゃないのよ〜」
「そういえば電話で驚くなとか言っとたの、どういうことじゃ?」
「ほら、入ってきて〜」
「お邪魔致します」
「お、お邪魔します」
「あう!」
セレスたちを見て一瞬固まるおじいちゃん。
「こ、こらぁまた別嬪さんを連れてきたなぁ、あれか?和也の彼女かい?」
「紹介するよおじいちゃん。こちら俺の 妻(・) のセレス、そして 娘(・) のアリシア、あと 息(・) 子(・) の渚沙だよ」
「妻!?娘!?」
今年一番大きい声でおじいちゃんは驚く。
「儂、ボケたかもしれん。和也はまだ17じゃなかったか?なのに妻どころか娘!?説明を、説明を頼む!」
「うん、色々あったんだ。話すよ、もちろん」
「ほら、立っててもしょうがないから居間に行きましょうね〜」
母さんに促されるがままに居間に移動した後、俺は異世界に行ってきたこと、そこでセレスと出会った事、そこで娘が産まれたこと。そして、最近息子を授かったことを話した。
「は、はぁ〜じゃあつまり、和也は今、27なわけなんじゃな?全然前見た時と変わっとらん……背は伸びたかもしれんが変っとらんように思うがなぁ」
「神様がこの世界に帰る時に17歳の俺に戻してくれたからね」
「神様って、本当にいるんじゃなぁ」
ぽつりぽつりと染み入るように話すおじいちゃん。
「それにしても異世界か、あれか?『転生したらジェルだった話』みたいな感じの世界なのか?」
「おじいちゃん知ってるの?」
「おうとも、孫の流行りを押さえておこうと思ってな、ちょっと前に見たのよ」
「じゃあ話が早いや。あの物語みたいな世界に召喚されて勇者として戦ったんだよ」
「そこで、セレスと出会って、結婚して、アリシアが産まれたんだ。ひょんなことから帰ってきて、その先で神様から渚沙を授かったんだ」
視線が二人の方へ移る。
それに合わせて二人は居住まいを正した。
「セレスティーナ・ヴィ・ユグドラシアです」
「娘のアリシア・羽鳥・ユグドラシアです」
おじいちゃんは二人をじっと見つめる。
まるで何かを見抜かんとするように。
「は〜こんな別嬪さんを捕まえてくるなんて、和也やるの〜」
「おじいちゃん?」
「アリシアちゃんと言ったか?顔の雰囲気が和也の幼い頃に似ておる」
「おじいちゃん、信じてくれるの?こんなぶっ飛んだ話……」
「勿論だとも。和也も唯もこの子達もみんな嘘をついている目をしておらん」
おじいちゃんの発言に俺たち一同はホッと胸を撫で下ろす。
「まあ、いきなり嫁と娘と息子を連れてきたのにはびっくりしたがの!」
そう言って笑い飛ばすおじいちゃん。
「それは私たちもそうでしたよ」
「本当に、びっくりしたものね〜」
「どれ、渚沙くんだったか?ひいおじいちゃんに顔を見せてくれ」
「あう〜!」
「可愛いの〜まだ三ヶ月にもなってないじゃろ?外に連れ出して大丈夫なのか?」
「そこは魔術で保護しているから大丈夫」
「は〜便利じゃの、魔術」
驚きはありつつもなんとか受け入れてもらえたようだ。
おじいちゃんの人柄はよく知っているので、たいして心配ではしていなかったが、なにぶんとんでもない話だ。受け入れるのに手間取るかと思った。
が、おじいちゃんの予備知識もあってくれたお陰でスムーズに受け入れてくれた。
「のお和也、魔術見せてくれんかの?」
「勿論いいよ」
7人揃ってでの帰省、また楽しくなりそうだ。